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5章 過ぎ去る厄災舞い戻る平穏

第38話 優秀なメイドたち

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  来栖と決闘しておっぱいを触った後日……

  おれの日常はとても平穏とは言い難いものである。

  いつの間にか家も狭くなったものだ。

  賑やかな五人娘がいつものようにせっせと仕事をしている。

  おかげさまでおれたちが開いたカフェは連日大盛況である。

  理由は明白。

  この五人がかわいいからだ。

  「あれ?ひょっとしておれって傍から見たらものすごい羨まなシチュエーションにいるのでは?」

  こんな美少女五人に囲まれることなんて普通に生きていたらありえない。

  ましてや一緒に生活しているなんて……

  「そんな所でニヤニヤしてるならご主人も手伝って欲しいの」

  メイド服姿で食器を運ぶ芽衣がさも忙しいとばかりにアピールしながら言ってきた。

  どうやら気持ちが顔に出ていたらしい。

  「すまないな、何をすればいい?」

  「ご主人様は……食器洗いをお願いします」

  申し訳なさそうに、遠慮勝ちに胡桃がおれに指示をだす。

  「仕事のとき全く役に立たないからね、春臣は」

  美紗希の言う通り、店のことは最近は全くノータッチだ。

  しかももう既に料理スキルも胡桃と菫に追い抜かれてしまった。

  男のおれが給仕する訳にもいかず、本当のところやることが無い。

  と言うよりもむしろ胡桃と菫を中心に五人が優秀なおかげで、おれが居なくても店の運営は成り立ってしまっているのだ。

  「ご主人様、私もお手伝い致しますのでどうかお気を悪くなさらず」

  「菫だけはおれをいたわってくれるのな」

  「ダメですよ菫さん、菫さんが抜けたらホールが回らなくなります」

  ホール全般の責任者である皐月が菫とおれの食器洗いランデブーを邪魔する。

  「菫、お前が抜けたら確かにやばそうだし、気持ちだけ受け取っておくよ、ありがとう」

  「まぁ、そんな勿体ない。ではお言葉に甘えて失礼します」

  結局一人寂しく食器洗いをするハメとなった。

  「そう言えば来栖さんからご主人様に言伝を預かっておりました」

  「ん?来栖はなんだって?」

  「えっと……仕事の話があるから七海家の領地まで来るようにとのことです」

  仕事の話か……来栖とはあの一件以来暫く口も聞いていないがわざわざ伝言を残すくらいだ、急ぎの用事なのだろう。

  「分かったよ、ありがとう、じゃあ今から行ってくる」

  というと同時に店を飛び出した。

  「あっ!春臣!逃げんな!」

  美紗希の罵声を背におれは来栖の待つ七海領まで向かった。
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