学院最弱底辺の僕にだけ従う最強生徒会長

塞翁が馬

文字の大きさ
74 / 85

鬼会計、夏の空の下に降臨

しおりを挟む
 夏休み、午前八時。
 校門前の通学路に、いつもの制服姿がぽつぽつと集まり始めていた。

「……それにしても、夏休みに学校集合ってどうなんだよ……」

 スーツケースを引きながら、僕──天城悠真は小さくつぶやいた。

 額にじんわり汗を浮かべながら、ふと視線を上げると──
 校門の前、日陰に佇むひときわ目立つ人影があった。

「ん? あれって──誰?」

 パステルピンクに近いハイトーンの髪。
 毛先はくるんと巻かれ、日差しを反射するような艶。
 カーディガンをゆるく羽織り、制服のスカートは規定より短く、足元は白ソックスと厚底ローファー。



 ──見るからに“チャラそうな女の子”がひとり。
 なのに手には、分厚い帳簿とタブレットを両方持っていた。

「おっそー。生徒会連中、集合八時って言っといたんだけど?」

 彼女が口を開いた瞬間、全員が振り返る。

「……誰?」

「まさか……噂の“あの人”?」

「しーっ! あの子って……生徒会会計の──」

「は~い、正解。アタシが噂の会計係、白石玲花でーす♡」

 勝手に自己紹介したその子は、ニカッと笑ってタブレットを掲げた。

「えっと、あなたが天城悠真くんね? ふんふん、聞いてたよりは普通。
 でもまー、今回の合宿、あんたのおかげでセラ会長が財布開いたって話。感謝しとくわ」

「……いや、どういうことですか」

「ざっくり言えば、“あんたをこき使う分の予算”が上乗せされたってこと!」

 なんかすごく嫌な言い方された。

「まあ冗談。つっても、あたし合宿中は“現場の金庫番”なんで。
 水の本数からレトルトカレーの袋数まで、全部チェック入れるんでヨロシク☆」

 そう言って彼女は、ぱん、と帳簿を手で叩いた。

「ちなみに──昨日の買い出し、天音ちゃん。ポカリ32本ってどういうつもり?」

「えっ!? あっ……えっと、その……たくさん飲むかなって思って……」

「“飲むかな”じゃないのよ~。1人2本で24本が最大値でしょ?
 8本オーバーは“ムダ”として生徒会ポイントから減点ね。了解?」

「うう、はい……」

 天音がしょんぼり肩を落とす。

「ちなみにさー、セラ会長の手配した貸切バス、
 前日に急遽グレードアップされてるの見逃してないからね?」

 その声の先で──
 セラフィーナ・ルクレールが、わずかに視線をそらした。

「……静音性と冷房効率を考慮しただけです」

「え、でも“前日変更料金+3万”ってのは会長持ちでOK?」

「……総合予算から捻出できるはずですが?」

「却下。持ち出し処理しとくね、会長の口座から♪」

 にこっ、と笑って鋭い目で一発カウンター。

 ……この子、ギャルみたいな見た目なのに。
 生徒会のエリート連中すら何も言い返せてない。

「ってわけで、合宿中の無駄遣い・勝手な買い物・予定外の贅沢行為は──
 全部、アタシの目が見逃しませんので。
 不明瞭支出は即、帳簿に“赤字”で刻まれまーす♡」

 それだけ言い放つと、玲花はスーツケースを引いて校門の影に戻っていった。

 ──ギャルっぽいのに無駄が一切ない。
 ──しかも財布は超絶シビア。

 僕は思わず天音の方に顔を寄せた。

「……あの人、マジで“生徒会の金庫番”なんだな……」

「はい……セラフィーナさんも“お金のことだけは逆らえない”って……」

 そんなわけで、合宿前からすでに緊張感が漂っていた。

 白石玲花──
 夏の太陽すら節約対象にしかねない“最強のギャル会計”、ここに見参である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...