はろー、まいわーるど。

神琴坂祝麗

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1.こんにちは、世界。

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僕は産声をあげる
この世に産まれたを賛美するために
大きな産声をあげる
勿論、その時
親がどんな顔をしていたかなんて
覚えているはずがない
だって、昔のことだから



...



というわけで
語り手である僕、断華 涙たちばな るい
実年齢12歳の子供である
全ての教育機関が一貫である学校へ通い
過去の世界で順風満帆と呼ばれる人生を
謳歌している最中だ
まぁ、この世界では
全ての教育機関が
一貫で無い方がおかしいぐらいだけど
...えっ?
何故そんなことを僕が知ってるかって?
うーん...さぁ、なんでだろうね
僕でもわかんないかなぁ(笑)
まぁそれは置いといて
とりあえず学校の紹介でもしましょう
此処は私立未来ヶ咲学園
まぁ、それっぽい妥当な名前の
学校の初等部で
僕はさっき言った通り12歳なので
小学六年生にあたります
って言わなくてもわかりますよね
普通に計算していけばいいだけですし
僕のことの話はいいので
話を元に戻しますけれど
全ての教育機関が一貫であるので
幼稚園から大学院まであります
敷地は別ですが
保育園や専門学校もあります
今の僕にはほとんど関係ない話です
幸せしかない世界には
少子化なんてありませんよ
なんてったって子供を産むことだって
幸せの一つですから
晩婚?ナニソレオイシイノ??
っていう世界です
いや、1ミリ単位ともないとは
誰も言ってませんけどね
なんて
色々説明しているうちに
大学の研究室に着きました
小学生が何故ここにいるかって??
さっき言いましたよね?
幼稚園と専門学校以外は同じ敷地だって
...
あれ?言ってませんでしたっけ??
まぁ、言ってないならそれでいいですけど
僕が放課後向かうのは...
あっ、言ってませんでしたけど
今放課後なんですよ
学校終わりなんです、そうなんです
それで向かうのが
言祝国重ことほぎくにしげ先生という幸福学を研究されている
大学の教授兼高校の現文の教師さんです
この世界の人間には珍しい性格で
現実主義リアリストなのが特徴です
...ってこんな風に説明すると
僕が人間じゃないみたいですけど
ちゃんと人間ですからね
本当ですからね!!
ま、まぁ
とりあえず研究室に入ろうと思います

トントントントン

ちゃーんと四回ノックしますよ
僕は礼儀正しいですからね!!

「煩い、断華。開いている、入れ」
「はーい、失礼しまーす」

...
いくら礼儀正しくても
それが面倒な方も居ますので注意です(泣)
涙とのお約束ですよ!!
でも礼儀正しいのは
僕のアイデンティティーですし
これは仕方ありませんね!!!!

「...はぁ...またお前か」
「はい、僕です」
「...お前は暇なやつだな」
「僕だって暇じゃありません。
一刻も早くこの世界を壊さなければ」

僕の発言を聞いて
フッ、と鼻で笑う言祝先生ですが
一応唯一話を聞いてくれる人です
なんか『世界を壊す』とかは
禁止事項タブーらしく
人前で堂々と発することは駄目らしいです
他の正常ではない・・・・・・人々の前で
言ったとしても聞いてくれません
だって、そんなこと知らないから
禁止事項は使わないから覚えない
まぁ、つまりそういうことです
本能的に駄目な言葉と
わかってるらしいんですけどね!!
ですが、例外な人間だっています
専門家やら僕のような人間とか...ね

「それで?お前はこの世界を
破壊する方法でも思いついたのか?」
「...いえ」
「ただ争いを産んだり
自ら広告塔のような役割をして
暴れ回るだけじゃ駄目なのか?」
「...それは、わかりません」

やってみないとわからない
でも、完璧な方法じゃないと
世間の常識というやつに押し潰される
失敗したらいつだって変わらない
僕を不条理が待っているだけですから
慎重かつ大胆に行かないといけない

「全く、お前は馬鹿だな。」
「...まだ子供ですからね」
「それが言い訳として通じるのは
小学生までだからな、覚えとけ」
「覚えてなくてもわかってるので
言われなくても大丈夫ですよ」

とは言っても
そろそろ考えないとヤバイ
もう僕が産まれて12年もたっている
子供の成長が早いとよく言うものだ
今までの人生で『幸せ』と思うことは
一度も無かったが
親の前では建前として
『幸せ』を繰り返してきたけれど
そろそろ呆れてきた
まぁ、初めから飽きてはいましたけどね
そろそろなんとかしないと
この世界に飲み込まれてしまいそうで
正直言えば、恐怖しかない
どうしようもない非力な自分に
怒りを覚えることしか出来ないのは
嫌だからどうにかしないといけない
けど、どうすればいいんだろう

「なぁ、断華、手伝ってやろうか」
「...えっ、本当ですか!?」
「あぁ、力にはなれないだろうが
アイデアだけ出してやろう。」

珍しく言祝先生が乗り気になっている
というかそれ物凄く力強いんですが
幸福学を研究していますし
どういうことで幸せになるとか
知ってそうですし!

「とりあえず、やるべきことは
固定概念としての幸せを無くせばいい。
それが無くなれば自滅もするし
お前が動きやすくなる。」
「...と言いますと?」
「全人類とは言わないが
固定概念となりつつある幸せは
どのような形であれ
幸せであることに変わりない。
歪な形だろうが、一般的なものだろうがな。
元々定義は人それぞれであるが
その定義がほとんどの人間
幸せ=全てになっている。
まぁ、とりあえずやるべきことは
固定概念として定着しているものを消す。
つまり
幸せという感情を忘れさせればいい。
幸せとは何かを知った人間から
幸せを無くせば正常な人間・・・・・に戻るだろう。」
「具体的には?」
「それは今からお前が探せ。」
「えっ...というか、言祝先生。
本当にアイデアしかくれませんでしたね」
「俺は言うことしかやらない男だからな。
...なぁ、断華。お前には、
幸せを消すのも、世界を破壊するのも
なにもかも出来ないのか?
何も出来ない子供なのか??」

嗤いながらそう言う
全く、言祝先生は酷い人だ
出来てたら先生にも相談せずに
すぐに行動している
確かに無力な子供であることは
間違いない、間違いあるはずない
でも、僕にだってやれば出来ることぐらいある
あり...ますよね...??
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