シルバーナイトガーデン~刀使いのハンターと氷のヴァンパイア~

遠鐘みすず

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3章

3.14*

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 触れ合った場所にトウリが体重を掛けると、エミリオの蕾がゆっくりと花開いていく。ゆっくりと先端が沈み、いよいよ最も太い部分に到達すると、トウリは根元まで一気に腰を押し付けた。
「ぁああっ……!」
「っは……、……」
 トウリは静かに息を詰め、そのぬめった粘膜の感触と温度をしばし味わう。
 想像していたよりもずっと柔らかくあたたかな海の中を、早く泳ぎたい。そうして、激しく波立たせたい。そう思いながら、トウリは白い胸が上下するほどに深く呼吸を繰り返しているエミリオの頬に触れる。
「……痛くなかったか?」
 エミリオは瞳に涙を滲ませながら、全身をわなわなさせながら頷いた。
「だ、けど……苦、し……」
 トウリはエミリオの下腹部にそっと手のひらを押し当て、小さく笑う。
「直ぐに慣れる」
 エミリオの気を紛らわせるように白い肌にキスを落としながら、トウリは少しずつ腰を動かし始めた。
「ぁ……トーリ……ひ、ぅ……」
「……エミリ……、……」
「は……ぁ、……っ……」
 アナルセックスの快感に、トウリは酔いしれていく。けれど、エミリオは小さく吐息を漏らして、耐え忍ぶ様子を見せた。
 体の奥で快感を得るのは、初めてであれば尚のこと難しいことだろう。見かねたトウリは、エミリオのペニスを手のひらで包み込んだ。
「あっ……待って、それっ……!」
「……男なら、これは嫌いじゃないだろう?」
「っ……イジワルッ……!」
 エミリオのペニスを上下に扱くと、繋がった場所がキュウと締まるのがわかった。どうやら悪くないらしいと見て、トウリは手の動きとともに腰使いを大胆にしていく。
「は、ぁ……く、ぅんっ……」
「……聞いてもいいか? エミリ……」
「ぁ……ん、……トーリ……」
「君は、俺の実力に惚れたのか?」
 最初にシルバーナイトガーデンに訪れたとき、エミリオはこう言っていた。
 ――自分より強い人間がいるなんて、僕、今まで知らなかったんだ……。
 エミリオは身を襲う緩やかな衝撃に耐えるようにシーツを掴みながら、目を細めて微笑む。
「優しいところ……」
「……え?」
「トーリの、優しいところを好きになったんだよ……」
 事件現場で刃を交えてからシルバーナイトガーデンで再会するまでの間に、トウリがエミリオに優しさを向けたことなどあったろうか。
 だが、今のトウリにとって、もはやそんなものはどうでもいいことだった。初めて抱くヴァンパイアの初心で甘美な肉体に、トウリはただ、溺れていく。
「ぁ、んっ……トーリ……もう……っひぁ、ん……」
「っ……俺も……そろそろ……、……」
 トウリの手の中のペニスがダラダラと涙を流し始め、トウリ自身の限界も近くなる。トウリは手に力を込め、腰使いを激しくする。
「ぁ、う……き、ちゃ……ひぁ、あんっ……きちゃぅっ……」
「っ……エミリッ……!」
「あっ、ぁ、あ、あ、ぁあっ……トーリッ……!」
 エミリオの躰がビクンと跳ね上がって、トウリの目の前がスパークする。
「、ひ、っ……ぁああああっ!」
「、っく……!」
 手の中で熱が弾けるとともに、トウリは一気に腰を引いてエミリオの腹部に射精しながら、自分と同じように快感にうち打ち震える彼の蕩けきった顔を見詰め、ヴァンパイアのオーガズムも人間とそう変わらないのだな、と漠然と思う。
 二人は脱力し、シーツの海に沈み込んだ。エミリオが頬を火照らせながら、トウリに尋ねてくる。
「トーリ、気持ちよかった……?」
「……よかったよ」
 トウリが答えると、エミリオは安心した様子で微笑み、そっと身を寄せてきた。
「トーリ、君の役に立ちたいんだ。僕には、大したことなんて出来ないけれど……」
 トウリはその理由を尋ねようとしたけれど、微睡の縁でうとうととしていたエミリオは、ついにその瞼を閉じてしまう。充足感に満ちた、無防備な寝顔だ。調査や戦いの場では頼もしく勇ましいが、こんな風に、ふとした瞬間にあどけない一面が覗く。
 そんなところにどうしようもなく心が惹かれていくのを感じながら、トウリは穏やかな心地で目を閉じた。
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