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運命は変わるのね…
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婚約ね…。
フィリプ様が私の事を気にかけて下さっているのは嬉しいわ。国外追放でも平民になるのでもないのも嬉しいわ。
でも人選が可笑しすぎる。平等に考えすぎよ、この人大丈夫?
フィリプ様が打診した方、一緒に暮らしている兄ですもの。
「フィリプ殿下、アーロンは私の兄でございます。どなたかとお間違えではございませんか?」
「いや、間違えてないよ。私の姫。僕はずっと君に恋をしていた。」
お兄様、勘弁してください。
「ひゃー!!!」
悲鳴…サオリ様達…。彼女達は雑食でしたか。
物語みたいにみれたら私も楽しいと思いますわ。
私もそっち側に行きたいわ…。
私の様子を見て何かに気がついたフィリプ様が、お兄様に耳打ちした。
少しユリース様が膨れっ面で見つめてるわ。うん、その顔は可愛いわね。
「アリソンは知らなかったんだね。僕は君の実の兄ではないんだ。僕は2歳の頃に親に虐待されていた時に公爵夫妻が助けてくれたんだ。そして、そのまま養子にしてくれた。」
そう言いながらお兄様は私に距離を詰めてくるのだけれど、ちょっと待って。今整理するから!ストップ!
「アリソン?フフッ。混乱している顔も可愛いね。周りにはポーカーフェイスに見えても僕には丸わかりだよ。」
ちょっとうるさい、黙ってくださいお兄様。
「ねえ、アリソン。僕のお嫁さんになってはくれないかな?」
そう言いながらお兄様は、私の扇子を持つ右手を掴み、強く自身の体に引き寄せた。
私はあまりの早業にそのままお兄様の方に倒れるが、流石にそのまま体を預けるほど軟弱ではございません。
足にぐっと力を入れ、寸前で止まりました。
しかし、お兄様の方が何枚も上手でしたわ。
止まった私にニヤリと笑みを向けると、社交ダンスをするときの様に私の背中に手をまわし、私の左手を自身の脇に挟み、そのまま私の体を固定しました。
そして引き寄せた右手にキスを落とすと、柔らかい笑顔を乗せながら私の瞼に息がかかるくらい顔を近づけました。
「アリソン…どう?」
こんなお兄様知りません!フィリプ様とだって友人の様に手を繋いで歩く位しかしなかったのに!
待って待って
「分かった!分かったからお兄様お願い離れて!……はっ!」
私は今何を言った?
お兄様はにやーと笑みを深めた。
「言ったね?ありがとう。国王様、王妃様。許可を得ました。」
「今は…違うのです。違くはないけれど、違うのです!それに、書類にサインしなければ婚約すらできませんわ!」
「そんな事を心配していたの?大丈夫だよ。」
お兄様!貴方の思考回路はどこで間違えたのですか?!
「この前婚姻の書類を記入しなかった?」
「だって、あれはフィリプ様との……まさか。」
「うん、アリソンは婚姻って字だけ見て内容に書いてあった名前は見なかったよね。」
「だって、私は王宮におりましたし、書類も確認されたもののみ。しかもその時はお母様や王妃様がいらっしゃいました。勿論フィリプ様も。」
「フィリプ殿下はさっき君を一番愛している人って僕を推薦しただろう?最初からその3人は協力的だよ。」
「でも!婚姻には書類に加えて声明承諾も必要ですわ!」
「さっきそれもあんなに大きな声で宣言してくれたよね?」
お兄様は、小さなガラス玉の様なものを懐から取り出した。
『ねえ、アリソン。僕のお嫁さんになってはくれないかな?』
『分かった!』
この短時間で編集されてるわ。その有能さを他で是非発揮していただきたいですが。
「いや、めでたい!結婚式はダブルでどうだろうか?」
ずっと行く末を見守っていたフィリプ王子が満面の笑みでアリソン達の元へやってきた。勿論ユリースの腰を抱きながら。
「フィリプ殿下!本当に良かった。ご協力ありがとうございました。」
「いやー、アーロンの自覚してからの15年間は無駄じゃなかったな!」
えっ!?
私は未だにお兄様に体を固定されているため、首だけ勢いよく上げると、お兄様が珍しく狼狽えて、顔を真っ赤になさった。
お兄様のこんな顔初めて見ましたわ…。
ぽかーんと見ているアリソンに気がつくと、アーロンは眉を下げながらまだ赤みの引かない顔で笑った。
「あ、アリソン様が落ちたわ。」
サオリ様!冷静な分析を発表しないで下さい!
だって、だって。今まで異性として見ていなかったにせよ、お兄様の事はとても好ましく思っておりましたし。その状態に加えて兄弟ではないと言われてこんな顔を向けられてみたら…。
今度は私の顔がどんどん熱くなっていくのが感じられますわ。
お兄様、完敗です。
「どうしよう、アリソン。そんな顔を今向けないで。そんなに可愛らしい顔をしているアリソンはずーっと僕の部屋に閉じ込めておきたくなるから」
お兄様の息が耳を撫でて、何故か背骨辺りからぞくぞくします。
やられっぱなしは私の性に合いません。目には目を。
私はそっと背伸びをしてお兄様と同じようにお兄様の耳に当たるように囁きましたわ。
「そうしたら私が寂しくないように一緒にいてくださる?アーロン様。」
アーロン様が素早くわたしから耳を押さえて離れると、今度は口を押さえながら熱い目で私を見つめる。
私が落ちたのだから、貴方はもっと私に堕ちて下さいな。
フィリプ様が私の事を気にかけて下さっているのは嬉しいわ。国外追放でも平民になるのでもないのも嬉しいわ。
でも人選が可笑しすぎる。平等に考えすぎよ、この人大丈夫?
フィリプ様が打診した方、一緒に暮らしている兄ですもの。
「フィリプ殿下、アーロンは私の兄でございます。どなたかとお間違えではございませんか?」
「いや、間違えてないよ。私の姫。僕はずっと君に恋をしていた。」
お兄様、勘弁してください。
「ひゃー!!!」
悲鳴…サオリ様達…。彼女達は雑食でしたか。
物語みたいにみれたら私も楽しいと思いますわ。
私もそっち側に行きたいわ…。
私の様子を見て何かに気がついたフィリプ様が、お兄様に耳打ちした。
少しユリース様が膨れっ面で見つめてるわ。うん、その顔は可愛いわね。
「アリソンは知らなかったんだね。僕は君の実の兄ではないんだ。僕は2歳の頃に親に虐待されていた時に公爵夫妻が助けてくれたんだ。そして、そのまま養子にしてくれた。」
そう言いながらお兄様は私に距離を詰めてくるのだけれど、ちょっと待って。今整理するから!ストップ!
「アリソン?フフッ。混乱している顔も可愛いね。周りにはポーカーフェイスに見えても僕には丸わかりだよ。」
ちょっとうるさい、黙ってくださいお兄様。
「ねえ、アリソン。僕のお嫁さんになってはくれないかな?」
そう言いながらお兄様は、私の扇子を持つ右手を掴み、強く自身の体に引き寄せた。
私はあまりの早業にそのままお兄様の方に倒れるが、流石にそのまま体を預けるほど軟弱ではございません。
足にぐっと力を入れ、寸前で止まりました。
しかし、お兄様の方が何枚も上手でしたわ。
止まった私にニヤリと笑みを向けると、社交ダンスをするときの様に私の背中に手をまわし、私の左手を自身の脇に挟み、そのまま私の体を固定しました。
そして引き寄せた右手にキスを落とすと、柔らかい笑顔を乗せながら私の瞼に息がかかるくらい顔を近づけました。
「アリソン…どう?」
こんなお兄様知りません!フィリプ様とだって友人の様に手を繋いで歩く位しかしなかったのに!
待って待って
「分かった!分かったからお兄様お願い離れて!……はっ!」
私は今何を言った?
お兄様はにやーと笑みを深めた。
「言ったね?ありがとう。国王様、王妃様。許可を得ました。」
「今は…違うのです。違くはないけれど、違うのです!それに、書類にサインしなければ婚約すらできませんわ!」
「そんな事を心配していたの?大丈夫だよ。」
お兄様!貴方の思考回路はどこで間違えたのですか?!
「この前婚姻の書類を記入しなかった?」
「だって、あれはフィリプ様との……まさか。」
「うん、アリソンは婚姻って字だけ見て内容に書いてあった名前は見なかったよね。」
「だって、私は王宮におりましたし、書類も確認されたもののみ。しかもその時はお母様や王妃様がいらっしゃいました。勿論フィリプ様も。」
「フィリプ殿下はさっき君を一番愛している人って僕を推薦しただろう?最初からその3人は協力的だよ。」
「でも!婚姻には書類に加えて声明承諾も必要ですわ!」
「さっきそれもあんなに大きな声で宣言してくれたよね?」
お兄様は、小さなガラス玉の様なものを懐から取り出した。
『ねえ、アリソン。僕のお嫁さんになってはくれないかな?』
『分かった!』
この短時間で編集されてるわ。その有能さを他で是非発揮していただきたいですが。
「いや、めでたい!結婚式はダブルでどうだろうか?」
ずっと行く末を見守っていたフィリプ王子が満面の笑みでアリソン達の元へやってきた。勿論ユリースの腰を抱きながら。
「フィリプ殿下!本当に良かった。ご協力ありがとうございました。」
「いやー、アーロンの自覚してからの15年間は無駄じゃなかったな!」
えっ!?
私は未だにお兄様に体を固定されているため、首だけ勢いよく上げると、お兄様が珍しく狼狽えて、顔を真っ赤になさった。
お兄様のこんな顔初めて見ましたわ…。
ぽかーんと見ているアリソンに気がつくと、アーロンは眉を下げながらまだ赤みの引かない顔で笑った。
「あ、アリソン様が落ちたわ。」
サオリ様!冷静な分析を発表しないで下さい!
だって、だって。今まで異性として見ていなかったにせよ、お兄様の事はとても好ましく思っておりましたし。その状態に加えて兄弟ではないと言われてこんな顔を向けられてみたら…。
今度は私の顔がどんどん熱くなっていくのが感じられますわ。
お兄様、完敗です。
「どうしよう、アリソン。そんな顔を今向けないで。そんなに可愛らしい顔をしているアリソンはずーっと僕の部屋に閉じ込めておきたくなるから」
お兄様の息が耳を撫でて、何故か背骨辺りからぞくぞくします。
やられっぱなしは私の性に合いません。目には目を。
私はそっと背伸びをしてお兄様と同じようにお兄様の耳に当たるように囁きましたわ。
「そうしたら私が寂しくないように一緒にいてくださる?アーロン様。」
アーロン様が素早くわたしから耳を押さえて離れると、今度は口を押さえながら熱い目で私を見つめる。
私が落ちたのだから、貴方はもっと私に堕ちて下さいな。
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