犬はボクの為に鳴く

犬派のノラ猫

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犬はボクのために鳴く

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君はどうして鳴かないの?
君はどうしてなかなか動かないの?
君はどうしてもうおじいちゃんなの?




ボクが産まれたときには
ジョンはもうおじいちゃんだった。

ジョンってゆうのはボクのうちで
飼ってる犬で
ゴールデンレトリバーって犬らしい

お母さん達が結婚したときに譲ってもらって
それから7年後、ボクが産まれた。
つまりジョンはお兄さんだ。
ようやく出来た子供ってやつらしくて
お母さん達とおじいちゃん達は
ボクを甘やかしてるらしい
本人の事なのにらしいって変だと思うけど
本人からすれば甘やかされてるか何て分からないよ…

ボクが5歳に成る頃には
ジョンは12歳になっていた。
お年寄りらしい
変なの…おじいちゃん何てもっと歳上なのに…
近所のお姉ちゃんも12歳だけど元気だよ?

お母さんはそんなボクに
『犬と人間だと大きくなる時間が違うの、だからジョンはおじいちゃんなのよ?』

だって…ボクには難しくとよく分からない…
一緒に大きくなれないの?
一緒に大人になれないの?
一緒に長く居られないの?

ボクは最近知ったことがある
生き物は死んじゃう
それは、大好きな
おじいちゃんでもおばあちゃんでも
おじさんもおばさんも
お母さんもお父さんでも
変わらないみたい。
大好きでも、一緒に居たくても
死んじゃうみたい…それにボクも…

ボクはすごく怖くなった
怖くて怖くて仕方なくなった
お布団で目をつぶったらそのまま
目が覚めないかもって怖くなった。

それからしばらくしてジョンはしんどくなったみたい
一日中横になって遊んでくれなくなった
ご飯の時に何とか起きて柔らかくした
ご飯を食べる。
それだけ…


「ねぇお母さん…」

「どうしたの?」

「ジョンは死んじゃうの?」

「……分からない、でももしそうなるとしてもね最後まで幸せだったと思わせてあげましょ?」

「うん」

ボクはジョンに沢山遊んでもらった
ジョンと離れたくない…もし寝ちゃって
目が覚めてジョンが死んじゃってたら
ボクは悔しくて泣いちゃうと思った

だから、ボクはジョンの横にお布団を持ってきた
ジョンの横でずっと居られるように
寝ちゃっても大丈夫なように
ジョンはほとんど鳴かないから
夜もうるさくないし大丈夫

お母さんもお父さんもいいよって言ってくれた。

ボクはその日からジョンと夜ずっと一緒だった。
静かなジョンの温かさを感じて
息をするのを感じて安心して寝る
そんな毎日だった

最初の夜から数回目の夜
いつもみたいにジョンを撫でて
温かさを感じて呼吸を感じて
目を閉じようとしたら

《ワンッ》

「ジョン?」

ジョンが鳴いた
顔は向こうを向いて背中をこっちに向けてるけど
ジョンが鳴いた

「どうしたのジョン?珍しいね…」

ボクはそのまま目を閉じた


目が覚めるとジョンは冷たくなっていた
気付けなかった…こんなに近くに居たのに…
ごめんね…ジョン


ボクは泣いた…産まれてきて何て言うには
まだ、足りないかもしれないけど
間違いなく一番泣いた

泣いて泣いて泣いて泣きつかれて
寝ちゃったあとにお母さんとお父さんに
昨日の夜のことを話した

「ジョンがね昨日、鳴いたの」

「ジョンがかい?」

お父さんが見たこと無い顔で驚いたあとに
お母さんもお父さんの顔を見ながら驚いてた

「ジョンはお礼が言いたかったのかもね」

「ボク…ジョンのために何も出来てないよ?」

「そんな事ないさ…ジョンは弟と最後まで一緒に居られて幸せだったと思うよ?」

「きっとジョンはお礼が言いたかったのね」


そうだったんだ…じゃあ、ジョンは

「ボクのために鳴いてくれたんだね?」

気付くてボクはまたジョンを思って泣いていた。

    
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