ペーパーバック・ファンタジア2012

yoshimax

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*この物語はSFフィクションです。

 アドベンチャーのはじまり
 もう十年も前のことだ。十年ひと昔というが、この記録も今ではひと昔のメモリーと言えるのかもしれない、今ではもうペーパーバックにしかならない・・・そんな冒険の思い出として・・・そんなものとして味わって頂けるとしても有難い。

『ペーパーバック・ファンタジア2012』

 わたし、TAKA KURA(蔵鷹)は一人の学者として、クリントの手記や、ギャルソンのレポートも譲り受け、此の壮大なる冒険旅行の報告書をマケドニア共和国のオフリドにて纏めて居る。キャピタルシティ・スコピエから四時間ドライブで此の湖岸の町に着く。
 美しい町だ・・・。造形的色彩的に宮崎駿監督アニメーション映画作品『魔女の宅急便』を私はリコールして居る。丘の斜面に集合して居るハウスホールド群を通り抜けた処の、古教会下方に設置されたアンダークリフ・スイミング&ベイジングエリアでは、ヨーロッパ中から集まった様々な人々が水辺で遊ぶ。オフリドの港から二時間程舟で行くとトリニタリアニズム(キリスト教に於ける、創造主なる神・その神の子なるイエス・そして聖霊ホーリースピリットが、三位一体ホーリートリニティで在ると信じる主義)を主張したアレクサンドリア(現在カイロに次ぐエジプト第二の都市と成って居る町)のアタナシオス(296~373AD)を記念する古教会も在る。
 文化人類学者の私としては、一体シバリンガムとは何だったのか、を言及する事に為る。
 兎に角シバリンガム遺跡から超古代のゴーレムが蘇った。そして其のゴーレムが赤い有翼大蛇と戦ったのだ。我々は其の事を目撃した。あれは『アルマゲドン(決戦)』だった。我々は幻想を見たのだろうか? そうでは無い、『アルマゲドン』は全ての人の心の中で巻き起こる戦いなのだ。その中で、我々は聖霊の大いなる助力を受ける。そして荒振る有翼大蛇に勝利した。オフリドの雄大な景観は勝利を祝福した。
 日常は大切だ。そこから時々飛び出して冒険に出たいとしても・・・。二十世紀の或る偉大な著作家は、かつては人と人とが、グループを互いに組み、それが国家だとか民族だとかの集団になり、その集団同士が戦った、・・・だが、それは前時代の事だ、・・・今は其の戦いは個人の心の中で行われる時代になった、と言った。我々は自分の心を見つめ其れをコントロールする事を習得しないといけない。今世紀は、そういったマインドシフトのマイルストンの時代となるのだろう。マザーテレサやダライラマの様な人々が其の先人なのだろう。だが、旧約聖書外典の中で天使はたしか、人がむやみに時を区分するべきではないと云っていたと思う。すべてはひとつの中に在るのだ・・・。おわりとはじまりは一緒だ。境目は無いのだと。

 スコピエ・マザー・テレサ通り

 十時三十分頃目覚めた。
 私はブンカー・コミックショップ(マザー・テレサ記念教会を少し過ぎた所に位置する、ラムストアモールの向いに在る)へ行って見た。
 平日十一時開店か・・・。未だ暫く有るな。其れではブランチと行こうか、そう思い私はモールのフードコートへ行った。フードコートには大抵一軒はチャイニーズが在る。そう言えばサイファイ・フィルム・ディレクターのルーカス氏はオーストラリアのフードコートでチャイニーズを食べて居る姿をパパラッチされた事が在ったな、私はルーカス気分でチャーハンをかっこんだ。
 ブンカーに行くと色々な漫画が売って居た。エンターテインメントに寄ったモノから、アート漫画迄。私はイタリアの漫画『ディランドッグ』のファンだが、此の漫画はヨーロッパ全土で人気が有る様だ。プレジデントが漫画文化に注目して居るのもよく分かる。私はブンカーで少し買い物をしてオールドバザールの方迄散歩する事にした。バザール迄の、アレクサンダー広場やストーンブリッジを抜ける道のりが好きだ。
 バザールに入ってほぼ道為り直線に進んだ突当りにひとつモスクが在る。其の脇に在るカフェは私のフェーバリットプレース。其処で珈琲をオーダーしテーブルに着き、PCを開けた。『靴下を穿かないアジア人は美女にもてる』と云うジンクスをプレジデントに聞いてから私は靴下を穿いていない。オープンカフェでの文筆作業は心地よい。もう一杯ターキッシュコーヒーとドーナツをオーダーした。カフェでの文筆は何故か捗る。今は特に急かされて居無いのでリラックスして作業出来るのだがね。気が付くと午後二時に為って居た。アラビアの人々の礼拝が行われる。
 やがてディナータイムと為り、イタリアン・スパゲティを。
 私はしばらく、ロンドンで学生だった頃を思い出して居た・・・・・・。ペーパーバックをいつも持ち歩いていた。わかくて、知りたがりの時期だった。世界の不思議に興味をいつもいだいていた。冒険を待ち望んでいた。映画が好きだった。映画のなかには冒険があった。今考えると、少年のこころをときめかせていたんだろう。甘酸っぱい日々だった。

 時代がおおきく変わろうとしていた・・・。

 太陽光を集中させる円形集光プレースに配置された巨大なメガソーラーが見える。
 二十一世紀・・・。再生可能エナジー社会へ変貌しつつ在る時代・・・。

 学者という仕事は、様々なところから資料・手記を入手する。それらは断片であり、作者・筆記者もばらばら。それらをどう繋げて読み解くか、それが仕事でもある。世界を再解釈しなきゃいけないことにも出会う。さながら、エンターテインメント・フィクションとでも思われる物語だってある。

 @クリントの手記
 車のラジオから何かドキュメンタリーチャンネルの音声が流れ聞こえる、「かつて存在した多くの陸地が今は海面下に沈んで居るのです。その一つ、『スンダランド』と呼ばれる場所があります。今はタイ王国のプーケット地域を含む海域です。その海域で海底調査をした所、海底構造物が発見されたのは有名なニュースでした。これは自然の造形ではなく文明の遺構なのです。氷河期の終わりの海面上昇によって海底に沈んだ『スンダランド』には文明(シビライゼーション)が在った。スンダランドは大陸と呼べるような広大な面積を有していた、・・・それはタイランド湾を含む、マレー半島からインドシナ半島の間に在るビッグエリアだ」私クリントはラジオをちゃんと聞いているわけにはいかない。追手が迫る。
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