ペーパーバック・ファンタジア2012

yoshimax

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X4 ひとつのファンタジーのおわり

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 プレジデントは云う、何事も自分より上が居ると。彼は教会でイエスへのとりなしの聖母マリアに祈りを捧げる中で其れを感じると云う。彼は直感的目利きでも在る、此の一見エンターテインメントVRとして造られた仮想スペース(BUSAN-b)に、秘密を知る者がアバタールとなって住んで居ると感じた。次元宇宙船の正確な位置を知る者が。
 TAKAKURAは既に感じて居た、エネミーはテサロニケ迄追って来て居る、と。
 なぜなら昨日、TAKAKURAの別れたはずのかつての恋人が、彼のルームに現われたから。だが其れはホログラムだったから。きっと『奴』だ。『奴』はTAKAKURAを監視していた。メカヘッドは既に、TAKAKURAのバイオ・エレクトリシティ・ウェーブを手に入れた。
 再びホログラムが彼の前に投影された其の時、TAKAKURAはルームの窓から脱出しBUSAN-bへジャンプインした。メカヘッドも又、(TAKAKURAのバイオ・エレクトリシティ・ウェーブの波動を追い)BUSAN-bへとジャンプインした!

[BUSAN-b]
 BUSAN-bにおけるTAKAKURAの活動報告(後に受領した)
 ---by TAKA KURA---
XXXXXXXXXX 其処はあくまでも仮想スペースとしてのBUSANだ。実際のサウスコリアBUSAN広域市をVR上に再現した空間ではあるが、それは地理のみ。ここには、ハンフリー・ボガード映画の様なハードボイルドな体験をバーチャルでやってみたいという、好事家が集まる。だから平和な本当のBUSANとは大違い。ヤバイ処だ。
 『サウスコリア』の玄関でもあるBUSANだが、それゆえに港からメイン駅への地理はダイナミックに設計されている。BUSAN-bも同様の景観だ。VRテクノロジーの凄さに驚愕だ。空にはアシアナ・エアのフライト便も飛んでいるという凝り様だ。レイト・ティーンの頃、親の都合でLAのハイスクールへ転校した。其の時のフライトがアシアナだった事を今も覚えて居る。正直な所、ハイスクールでは殆ど勉強しなかった。否、決して学問を軽んじて居たつもりは無い。母方にはユダヤ系も多く、常に「学校に行って只座って居るだけでも良い、其れが学問に敬意を払う態度に成るから」と教えられた。下校後はハリウッドスターの載って居るマガジンばかり見て居た。其の幻惑にクラクラした。其の事で頭が一杯だった。一九九〇年夏、LAライフは其の様に過ぎた。
 私TAKAKURAは其の事を懐かしく思い出した・・・・・・。
 90年代以降、世界に於ける東亜細亜のハブ・ロケーションのウェイトとして『SOUTH KOREA』、つまり韓国の存在は大きく成るばかりだ。非常に元気な国でも在る。其の食文化も世界に知られて居る。『辛』銘柄の拉麺を時々食べたく為るファンも世界中に居る。ハリウッドもSFアクション映画『ダイ・アナザーデイ』や『クラウドアトラス』等で此の地を描く程注目して居る。
 プレジデントから私への『インフォ』は特殊サテライト回線を通って、私のヘッドフォンに送られて来るが、ハイスクール時代からの癖で、又、其れを聴きながら村上春樹の小説を読んだりして居るのだ。(ハイスクールでテクストを見ながら、陰でハリウッドスターの写真集を眺めて居た頃と何も変わっちゃ居無い)
 兎に角『インフォ』に依れば、釜山港建造の時に海底で発見された遺跡は其のままの姿で、釜山港地下ドームに保存され続けて居ると云うのだ・・・!

 BUSAN-b内・釜山港到着後ホテルに居た私のセルフォンが鳴った・・・・・・。
「TAKAKURAサン、早速で申し訳有りませんが、地下ドームへ同行願います」聞き覚えの有る声だった。昔、プレジデントから紹介を受けた事が有る・・・。そう、『宇宙の女』(The Space Girl)だ。地球人類に非常に似て居るが肌の色がグリーン、という現在の地球人類には居無い種なのだ。私は『宇宙の女』と共に行った。彼女はスーパーエレベータへ私と共にENTERすると、『GO UNDER』のボタンを押した。
 釜山港地下ドームへ・・・。
 そして、やはり海底に鎮座して居たのはラージスケール・シバリンガムで在った。
(『宇宙の女』:)「TAKAKURAサン、そう、此れは言うまでも無く、シバリンガムよ。一万二千年前のパワージェネレータね」宇宙の女は、古来、此のシバリンガムを我物にし世界を征服しようと企てる者らが居る事を、私に話した。
「おそらくシバリンガムは古代スンダランドのテクノロジーよ」そう宇宙の女は言った。

Sundaland was most recently exposed during the last glacial period 'bout 12,000 years ago.
(そういえば米加州バークレーの研究室に居た時、スンダランドの事を少し聴いた)
 
 シバリンガムが幾つ存在するのか分からないが、安全なベースを建造し保管せねばマズい事に為るのは明白だ。一つは(沖縄周辺海域に在り)既に南アジアのパワーカンパニーが十分な管理をして居る。そして又一つは、ちょっと前に私のアーキオロジー・チームがテサロニケで発見した。其れは、(通称)『東マレーシア映画社』の管理下に置かれた。そしてこの釜山港アーティファクト(第三シバリンガム)だ。此の第三シバリンガムは最も研究が進んで居る。
 伝説に依れば、シバリンガムは巨大ロボットと成り、ゴーレムさながら魂を吹き込まれたかの様に動き出し、都市を襲った怪物と戦い、古代の人々を守った、と云う。 
 
 私は、そしてVR内の正教会司教からこんな言葉をもらった、「兎と亀、・・・を知って居ますか? 在り得ない事に亀が勝った・・・。何故だと思う? 兎はずっと、亀を見てたんだ。亀は兎を見なかった。只、ゴールだけを見てたんだ」

 私TAKAKURAはVR内BUSAN-bでエネミー(メカヘッド)に遭遇した。
 おそらく私には天使の守りがあった。VR内銃撃戦となったが、私はメカヘッドを出し抜き、奴を一時的に機能停止させた。そして、然るべきアバタール(PK)に会い、然るべき情報(次元宇宙船の在処)を入手した。(TAKAKURA報告了)

 XXXXXXX XXXXXXX
 
 私、クリントはテサロニケ入りした。
 積荷の秘宝(衣)を、テサロニケで待って居たTAKAKURAに渡した。
 TAKAKURAは、テサロニケからエーゲ海へ古代の哲人さながらに、衣を抱え、小型船舶で出港した。私、クリントも同乗した。

TAKAKURA:「キリストの力を受けた衣、此れこそが、光の速度を超えるパワー其のものだ。イエズスの力を受けた衣・・・・。イエス、そうだ、此れが次元宇宙船(THE INTER-DIMENSION SPACESHIP)のエンジンを動かす!」

クリント:「次元宇宙船、・・・其の話は聞いた事が有る。しかし眉唾だと思って居た。
写真は見た事が有るが、でっち上げだと・・・。あの写真は九〇年、サンタモニカに出現した時に撮影されたものだった。」

TAKAKURA:「古代スンダランド人は次元の扉を開くテクノロジーを持った。気候の危機に依る水没から逃れる為、民全体が別次元へ移住した。次元宇宙船に乗って」

クリント:「そうか、スンダランド人に会う為には次元宇宙船に乗らねばならない、そう云う事か。我々のテクノロジーは稚拙過ぎて次元エンジンを稼働させる程のエナジーを作り出せない。其れ故に、秘宝に秘められた力が必要・・・」

TAKAKURA:「そうだ」
 TAKAKURAがエーゲ海に衣を沈めると、異変が起こり、海底から『次元宇宙船』が出現する。次元宇宙船は、現代のメカニカルとは異なった文明システムの中で建造されていることは疑う余地は無かった。その独特のマテリアルの光沢は我々が造り出して来たものとは発生源の異なる異様さを持っていたし、形状は我々のメカニカルと全く違うバイオニックな幾何学性を見せていた。それは『生きているロケット』とでも表現したくなるような乗り物であった。
 突然イーストウッド主演SFメカアクション映画『ファイアーフォックス』の飛行メカが海面を飛ぶときに巻き起こるような水柱が立ち起こった。上空に飛行メカが! ギャルソンが新開発のフライングカーでやって来たのだ。そして彼は上空から縄梯子で降りて来た。

ギャルソン:「ふたりについて行きたくてね。きちまったのさ。アレクサンドリア図書館でスンダランドについても色々読んだ。次元宇宙船は、古代スンダランド人の末裔が今も住むと云う別次元(ANOTHER DIMENSION)へ行く事が出来る乗り物らしいな。半信半疑だったが、実際在ったんだな・・・」
TAKAKURA:「スンダランドとアトランティスは同時代に繁栄した古代国家だったと云って居るヨーロッパの研究者も居る。彼らの末裔に会いにゆこう」

 TAKAKURAと私クリント、そしてギャルソンは次元宇宙船に乗り、次元を超えた。
 
 だが、あの『メカヘッド』も次元宇宙船の尾翼に摑まって居た!

 次元宇宙船は、スンダランド(別次元)へ到着する。
 其処は一面の砂漠だった・・・。
ギャルソン:「此処には何もない・・・。在るのは一面の砂の海だ・・・。」

 砂丘に突然、UFOが降りて来た。
 中から、女性型エレクトリックドール(ロボット)が姿を現した。
TAKAKURA:(エレクトリックドールに訊く)「君の名は?」
「エルゴス。」 彼女はそう名乗った。エルゴスは砂丘をスタスタと歩いて行った。
エルゴス:「砂丘の陰に、良いオアシスが在るの。其処で時々、水を浴びるわ。」
 エルゴスは砂丘のオアシスで水浴びをした後、三人の方へ戻り、言った、「貴方たちをずっと見て居ました。私は、エレクトリックドール。もう、此処には私しか居ません。」
 エルゴスは三人をUFOの中へ招いた。

##### 登場キャラクター エルゴス:
エルゴスは別次元で製造されたエレクトリックドールの最後の一体・・・。その金色の髪が風になびいている・・・・・・・・・・。
 エルゴスは言う、「此の次元の土地は『コルエレツ・ハビラー』(ヘブライ語:全地砂地の意)、もう、砂しかないわ・・・。」
 別次元スンダランド文明は既に滅亡して居た。戦争が彼ら自身を滅ぼしたのだ。全てが砂漠となり、エレクトリックドールだけがUFOに乗って、其の世界を彷徨って居た。その世界を見た事で、三人は『戦争の末路』を思い知った。

 其の時、次元宇宙船に摑まって、やって来て居たメカヘッドが、こちらに向かって銃を向けて居た!
メカヘッド:「スーパーテクノロジーを頂く!」
 一瞬、騒然と為るが、ギャルソンがメカヘッドを制止する。
ギャルソン:「銃を下ろせ。スンダランド・テクノロジーはもう必要無い・・・。」
 ギャルソンこそが、メカヘッドの主人で在り、謎の独裁者だったのだ・・・!
ギャルソン:「私は怒りと憎しみに捕らわれ、世界に君臨しようと考えて居た。だが、其れは間違いだった。今、怒りと憎しみに依って滅びた文明を見た・・・。此の選択はしてはならない、と分かった。」
 三人は全人類共存の志を持って、元居た次元に帰って行くのだった。
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