ザ・ライヤーズ・ジャーナル

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nineteen

臺灣

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ギャルソンとも呼ばれるマウントサイド

KAOHSIUNG(思い出)
それはまだ百年前にもならない。ジャポネーゼがNAZIと共闘してクダラナイEGOを持って東南アジア侵略をした時代があった。KAOHSIUNGには、其の時代の遺構が残る。だがまだ夏真っ盛りの十月の其の土地では、椰子の木々の気怠い騒めきで、人間のクダラナイEGO等、忘却の彼方へ飛ばされかねない。そんなネイチャーの圧倒性が其処に在った。自然とは恵みであり、時に狂暴なものだ。だが我々の体は汚されたネイチャーの中ではおかしくなってしまう・・・。ネイチャーを狂わせるような原子力を使用する文明は駄目だ。それはすでに原発事故によって知らしめられた。私は『ギャルソン』と呼ばれて久しい。何故仏蘭西語でギャルソンと呼ばれるのかはもう様々な場所で語った事があるが、此れ以上は止そう。ただ、仏蘭西映画はどの国の映画よりも好きだ。数年前、私は東アジアから東南アジアを放浪した。京都から始まり、上海、ソウル、釜山、大邱、香港、広州、恵州、バンコク、アユタヤ、マレーシア迄。共生文化の未来を見た。さて私、ギャルソンは妻の故郷ジャポン・FUKUOKAのカレッジで最近まで暫し教鞭を執って居た。ホトボリヲサマス為。自分の在りかたに反省もした。今、私はFUKUOKAエアポートに居る・・・。今しがた、TAIWANドルを四千五百クレジット程購入した。
(二万ジャパニーズ円)
十月二十日。プレジデントの呼び出しを受け、17時55分PM発のKAOHSIUNG(高雄)行きフライトに乗るのだ。機はタイガーエア。到着まで約二時間半の飛行と為る。東南アジアは島々から成るゾーンである。これ等はかつて地上で在った土地の高地群の名残であると海洋考古学者らは言う。やがて台湾島が見えてくる。KAOHSIUNGは島の南部に位置する。其の国際エアポートへの着陸寸前に、機はオレンジ色のライトで点灯された巨大インダストリアルエリア上空を通過する。景色は甘美な気怠さに満ちている。
エアポートに降りると、其処に既にプレジデントが居た。「やあ、ギャルソン。久しぶりだね」プレジデントはいつもの様な落ち着いた面持ちで言った。プレジデントはいつもスマートに事を運ぶ。彼が今の時期をミーティングに選んだ理由は明らかだ。高雄映画祭の期間中なのだ。此の期間、KAOHSIUNGには世界中から人々が訪れる。映画祭とは常にインターナショナルなイベントなのだ。我々は其処に紛れる事が出来る。『映画』という芸術が百年をとうに超えて、その目新しさが然程感じられなくなってさえ、人々は映画という幻惑に引き付けられる。だからこそ、プレジデントは『東マレーシア映画社』の看板を掲げて居るのだろう。其の看板のおかげで、表向きには我々はフィルムインダストリーを装って居る。実際は国際諜報組織なのだが・・・。我々の目的は常に『ワールドピース』と『生命・ライフ』だ。此の原則を譲らない。
プレジデントは言う。「ギャルソン、君のルームは既に用意して居る。まず、此の高雄国際空港からMRTレッドライン地下鉄にライドし、美麗島ステーションへ行く」
美麗島ステーションで交差する地下鉄路線に乗り換え、ひと駅だ。そのステーションが、信義國小(小学校)駅。其の5番出口から地上に上がり、中正三路を東へ五十メートル歩くと、民族二路と交差する。民族二路を北へ8ブロック歩く。其処が七賢一路。七賢一路を右に曲がり百メートル程行った処に、この町での私の五日間のルーム、RUI・GUホテルが在った。RUI・GUはマイナーだが居心地は良かった。プレジデントは六合夜市に私を連れて行ってくれた。臺灣系チャイニーズのナイトライフは夜市だ。ストリートは煌びやかなライトで彩られナイトマーケットと化す。プレジデントはいつもソコソコのヒントをくれるが、その後は人任せだ。今回も彼はこう云った、「ギャルソン君、では、ここからの探求はお任せするよ。君の探求の旅の出発を記念して其処の屋台で一緒に臭豆腐をいただこう」臭豆腐とは、臺灣フードカルチャーに欠かせないTOFU料理である。プレジデントは此れが大好き。此れと臺灣麦酒。彼は酒が入ると饒舌にも成る。臺灣ナイトマーケットは食べ物に事欠かない。臺灣チョーメン、臺灣ビーフステーキ、ミントティー、ロータスミルクティー、羊肉の串焼き、・・・夜は満腹しながら過ぎて行く。そこでプレジデントは話を切り出すのだ、「ギャルソン、もう、少しは知っていると思うが、スンダランド文明と人魚グリーンマーメイドの事だ。もう今では一般化した知識だが、今の様に世界規模で陸地が海洋に覆われる前には、ずっとずっと沢山の地表がアジアに在った」
「そうですね」私は応えた。彼は続ける、「海洋遺跡は人類の興味をそそるものだ。多くの意味で明るみに出すべきだろう。しかし、
蘇らせてはならない力も在る。グリーンマーメイドの遺跡の封印は解いてはいけなかった・・・・・」
私は聞き返す、「グリーンマーメイド?」
「そうだよ。ギャルソン君。わたしの調査では、グリーンマーメイドは今の人類の勃興が起きる以前に地球上で最も繁栄した知的生命体だ。ビブリカル・スクリプト『アポカリプス』に記された邪悪な赤色有翼大蛇を地中に閉じ込めた種族でもある。シバリンガムは有翼大蛇レッドドラゴンと其のコントローラーでもある『仮面』を封印していた。動かしてはいけなかったんだ。しかし既にシバリンガム遺構は発見された・・・。これらの出来事の一切をカヴァーストーリーとして封じるのが、『東マレーシア映画社』に託された今回の大仕事と為ったのだ」
 私はプレジデントに尋ねた、
「プレジデント、貴方はスンダランドを秘密のベールに包まれたままにして置く方がいい、そう考えていますね?」
「部分的にはそうだ。今の人類にはまだ・・・」
我々は六合夜市の福澤カフェでもう一杯ロータスミルクティーをオーダーし、暫し其れを飲みながら夜市を見て居た。プレジデントはふと、脇道(明星街5號)に在る教会を指し、あそこで少し祈ろう、と言った。そうなんだ、いつの時代も、テクノロジーがどんなに進歩しようとも、祈りは大切だ。いや、それこそが大切なんだ。
 アベマリア、アベマリア、アベマリア、全ての呪いを断ち切って下さっているアベマリア・・・。
 翌日プレジデントと私、ギャルソンは、T老師(学者)とランチの時間を持った。ミルクフィッシュ・スープは此のKAOHSIUNGのローカルグルメとして知る人ぞ知る美味。店に入るとサクソフォン奏者が曲を奏でていた。
 T老師は話好きだ。
「人魚って、いろいろ伝承があるけど、ほんとうに居たんだろうか? 古代神話の中では、後に西遊記の主人公のモデルとなった、東南アジア・インドの伝説ラマヤナに登場する、猿の英雄ハヌマーンの妻が人魚であった、とされる。タイに行ったときに、ハヌマーンの妻の絵が描いてある土産を買った。ハヌマーンの妻も、超自然的な存在としてローカルの信仰対象になっているのだ。大学院のころ、神話リサーチセンターにいた。人類学は結構すきだ。わたしら(T老師、プレジデント、そして私ギャルソン)は記念写真をサッと撮り、ミルクフィッシュのシンプルながら深みあるテイストで楽しい話が出来た。
 古代の事は常に想像の域だ。見て来た訳では無い。それだから面白いとも言える。私、ギャルソンも香港図書館の考古學文献を沢山読んだ。古代から世界はキャラバンによって繋がって来た。ユダヤ人キリスト教徒(ネストリウス派)がユーラシアを横断してジャポンへ行った事も近年話題だ。ジャポン八幡系シュラインは彼らが造ったという。内部に飾られる天狗の様な面がジューイッシュの顔を模したものであると言われている。古代はワンダーだ。
 プレジデントがT老師と会う理由は、ほんとうのところ、老師から『キー』を受け取るためだった。老師は紙袋をプレジデントに渡
した、「プレジデント・・・、わたしが発見した此れが、おそらくキーであるとオモイマス・・・」
古代ハイテク・デバイス。それが、『キー』だ。そしてT老師は其れを我々に渡した。
このキーこそが、ゴーレムを稼働させるのである。
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