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大覚醒

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数千年前の古文書は問う『マスター・オブ・ゴーレムとなるものは誰か』
1995 年。片木刑事はタイ王国バンコック市に呼ばれる。スワンナブーム空港に降り立つ。
バンコック、人口1600万人で人口密度が体感としても高い・・・。クロスカルチャーで、
メガシティ。
片木刑事:「私はこの町と奇妙な縁があるようだ。この町で邦人関係の調査が入るといつも私
が呼ばれる
(そういう、片木刑事を待っていたのは倉ホーク。)
倉ホークは日英合弁財団(倉財団)バンコック支部長。バンコックでも信用がある片木刑事だ
と市内調査がスムースに行われるだろうと、倉ホークは片木刑事を招聘した。
倉ホーク:「今回、片木刑事をお呼びしたのは事件性を感じているからです。日本からようこ

倉ホークは、自分が乗って来たフライングカーのドアを開けて、片木刑事をその助手席に乗せ
た。90 年代はまだ、フライングカーは一般的には実現していない理論上の乗り物だったが、
倉ホークは倉財団の開発プロジェクトの一環で、数台のプロトタイプを特別に持っていた。
倉ホーク:「日本バブル経済は欲望の時代でした。しかし数年前にバブルが破裂し、この国に
集結していた日本企業らはニッチもサッチもいかなくなりつつある。方向性も見失い始めてい
るのです。そのせいか、なにかカルト懸かった不思議な動きがヤワラートに見られるように
なった。『大覚醒』と書かれた落書きが散見されるようになっている・・・。そしてティーン
エイジャーらが行方不明になる報告が増えている」
片木刑事は、またそういうカルトケースか、という顔をする。経済崩壊のあとに起こりやすい
現象だ。少し前の、バブルの時代は無尽蔵に研究費があり、日本企業は異国の地で、当時まだ
秘密裏に設計されたプロトタイプ量子コンピュータ(『愛 2000』)ではあるが、それを搭載
したロボットを地下で製造していた。このロボットタイプは、愛 2000 を搭載しているため、
頭脳明晰で精細な作業が出来る、これらの作業能力は平均的人間の100000倍。しかし、
その設計方法は明らかにされていないが人間の感覚とほぼ同じレベルの感性を持つ AI ブレー
ンを持っているので、「人間の心」「愛するということ」「揺れる感情」をも内包する。この
プロジェクトは、ヤワラート地区開発担当の倉ホークが統括していた。ヤワラートを未来都市
化するためだ。
当時ヤワラートにアジア本部があった日本企業(架空);
I ゾニイは、1,995 年、バンコック市ヤワラート地区にアジア本部を置いていた日本のエレク
トロニクスメーカーである。当時最新の AI を秘密裏に開発していた。
II パン・トニックは、1995 年に、タイ・バンコック市ヤワラート通りに東南アジア本部を
置いていた。世界的電気製品製造企業である。当時ハイパー土木ロボットアームを開発してい
た。
III 日泰合弁モーター企業TONDA。1995 年には、ヤワラート通りにアジア本社があった。
オートモビール・テクノロジーでアジアをけん引。
・・・・・倉ホークはヤワラート中華街に用意していた滞在施設に片木刑事を案内する。
ヤワラートで片木刑事はキムリーという女性に出会う。それは倉ホークの妹だということだ。
片木刑事はキムリーにある種の一目惚れのような感覚を持つが、その時は表に出さないよう努
めた。
倉ホークのその時の説明では・・・キムリーは倉ホークの妹。バンコック市内マッカサン地区
の、ドンボスコ工業大学に通った。かなり頭がいい。独学や博物館通いで、考古学をも学んだ。
その後、しばらく香港に住んでいた。男と同棲していたようだが破局し、中米メキシコにて考
古学と古代テクノロジーのリサーチをしていた。現在、倉ホークの計らいによりバンコック警
察の女性警官となっている。片木刑事のバンコックでのバディ刑事となる。
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