101 / 229
第百二話 優しい時間
しおりを挟む
「なーおっちゃん! ちゃんと聞いてるのか?」
レイラは酒を飲みながら、俺にくだを巻く。
「聞いてるぞ……今、受けている仕事に不満があるんだろ」
「そうなんだ! 警護依頼は別に嫌ではないが、依頼者は魔獣を見たら逃げろと言うんだぜ。冒険者は戦ってなんぼだろ」
それにどう答えていいのか少し悩んだ末に
「まあ、戦って怪我をするより効率的だな」
「それならもっと下のランクの冒険者でも出来る仕事だ」
レイラの言わんとすることが分からない訳ではない。要は暴れ足りないだけなのだが……。
「依頼者はお前たちに安心を担保して貰って、作業を進めてると思うぞ」
そう答えながら、俺は酒を口に運ぶ。
「まあ、それを言われたら嫌とは言えないけど……魔の森の地図をつくって何になるってんだ」
レイラは納得いかない顔を作った。
「冒険者に凄く役立つ仕事じゃないか!!」
「ハハハハ、この地図はギルドには見せないらしいぞ」
「きな臭い仕事だな!」
「だな」
酒飲みの会話は何処に飛ぶのか分からない――
「そういやおっちゃん、卵を産むって聞いたけどマジ?」
「まったくの嘘ではないな」
「ガセネタじゃあなかったのか!! 」
思わず声をあげる。
俺は腹に巻いた卵を取り出した。
「何、これ!? 」
レイラは愕然として目を見開いた。その直後、腹を抱えながら笑い転げた。
「卵を拾ったから、孵化させようと暖めてるのよ」
「卵ではなく石だと思うけどな」
疑いの目で卵をじっと観察する。
「たまに殻をコツコツ叩くぞ」
「みせて、みせて」
子供のような人懐っこい仕草を俺に向ける。
「いや、もう見せてるじゃないか」
「そうじゃなくて」
長い手を伸ばし、俺から卵をひったくる。
「宝石みたいで綺麗だな、でも音などしないぞ」
そう言って、卵を耳で当てた後、卵を上に放り投げて遊び始めた。
「そんな揺らしたら死ぬし、落としたら割れるし」
「落とすわけないじゃないか」
そう言ったとたん、レイラの手から卵がするりと滑り落ちた。『がたん!』と床を大きく叩いた音が鳴り、その場が一瞬、凍りついた……卵がころころと転がる。レイラは、ばつの悪そうな顔をした。
「わ、悪りぃ~……落としちゃった、てへぺろ」
「てへぺろで済ますな!!」
俺は床に転がった卵を慌てて拾い上げ、ひびが入っていないか確認した。卵には小さな傷もなく、胸を撫で下ろした。
卵を身体に当てて包帯を巻き直す。
「それぐらいじゃ、卵は暖まらないんじゃないのか?」
「まあ、そうだけど気持ちだな 」
レイラが俺に近づき耳元で囁く
「こうした方がもっと暖まるよな」
手を俺の首に巻き付けながら、顔を近づけてくる。悪戯っぽい眼差しを俺に向けた。そして卵を巻いた腹の上に、自分の腹を押しつけ二人で卵を挟んだ。彼女の火照った身体で卵を暖める。
「そんなに押すと、卵が割れちゃう……」
俺は乙女のように嫌だと撥ね付けようとした。
「それぐらいじゃ割れないさ……」
男前のレイラがそう言って、さらに身体を押しつけてきた。お互いの悪のりに熱が帯びる。卵がカタカタと動き出す。
「だめっ……あ、赤ちゃんに見られちゃう」
「それなら、これはどうだ」
レイラは上下に腰をグラインドさせる。二人の温もりが卵に伝わり、卵が答えるかのように打ち震える。
「ふああああ」
攻めているはずのレイラの身体がビクンと弾ける。ここぞとばかりに、彼女の性感帯を指で刺激する。
「や、やめてっ」
口をぱくぱくさせながら哀願する。
「レイラが始めた事じゃないか、可愛そうだから止めちゃうか」
「……や、止めないで……」
俺からの視線を外しながら、小さな声で否定する。彼女を担ぎ、よたよたしながらベッドに運ぶ。精一杯の見栄がばれ、彼女はプッと吹き出した。彼女の髪を優しく掻き上げ、俺も笑う。
優しい時間に溺れながら、ゆっくりと意識を手放す……
レイラは酒を飲みながら、俺にくだを巻く。
「聞いてるぞ……今、受けている仕事に不満があるんだろ」
「そうなんだ! 警護依頼は別に嫌ではないが、依頼者は魔獣を見たら逃げろと言うんだぜ。冒険者は戦ってなんぼだろ」
それにどう答えていいのか少し悩んだ末に
「まあ、戦って怪我をするより効率的だな」
「それならもっと下のランクの冒険者でも出来る仕事だ」
レイラの言わんとすることが分からない訳ではない。要は暴れ足りないだけなのだが……。
「依頼者はお前たちに安心を担保して貰って、作業を進めてると思うぞ」
そう答えながら、俺は酒を口に運ぶ。
「まあ、それを言われたら嫌とは言えないけど……魔の森の地図をつくって何になるってんだ」
レイラは納得いかない顔を作った。
「冒険者に凄く役立つ仕事じゃないか!!」
「ハハハハ、この地図はギルドには見せないらしいぞ」
「きな臭い仕事だな!」
「だな」
酒飲みの会話は何処に飛ぶのか分からない――
「そういやおっちゃん、卵を産むって聞いたけどマジ?」
「まったくの嘘ではないな」
「ガセネタじゃあなかったのか!! 」
思わず声をあげる。
俺は腹に巻いた卵を取り出した。
「何、これ!? 」
レイラは愕然として目を見開いた。その直後、腹を抱えながら笑い転げた。
「卵を拾ったから、孵化させようと暖めてるのよ」
「卵ではなく石だと思うけどな」
疑いの目で卵をじっと観察する。
「たまに殻をコツコツ叩くぞ」
「みせて、みせて」
子供のような人懐っこい仕草を俺に向ける。
「いや、もう見せてるじゃないか」
「そうじゃなくて」
長い手を伸ばし、俺から卵をひったくる。
「宝石みたいで綺麗だな、でも音などしないぞ」
そう言って、卵を耳で当てた後、卵を上に放り投げて遊び始めた。
「そんな揺らしたら死ぬし、落としたら割れるし」
「落とすわけないじゃないか」
そう言ったとたん、レイラの手から卵がするりと滑り落ちた。『がたん!』と床を大きく叩いた音が鳴り、その場が一瞬、凍りついた……卵がころころと転がる。レイラは、ばつの悪そうな顔をした。
「わ、悪りぃ~……落としちゃった、てへぺろ」
「てへぺろで済ますな!!」
俺は床に転がった卵を慌てて拾い上げ、ひびが入っていないか確認した。卵には小さな傷もなく、胸を撫で下ろした。
卵を身体に当てて包帯を巻き直す。
「それぐらいじゃ、卵は暖まらないんじゃないのか?」
「まあ、そうだけど気持ちだな 」
レイラが俺に近づき耳元で囁く
「こうした方がもっと暖まるよな」
手を俺の首に巻き付けながら、顔を近づけてくる。悪戯っぽい眼差しを俺に向けた。そして卵を巻いた腹の上に、自分の腹を押しつけ二人で卵を挟んだ。彼女の火照った身体で卵を暖める。
「そんなに押すと、卵が割れちゃう……」
俺は乙女のように嫌だと撥ね付けようとした。
「それぐらいじゃ割れないさ……」
男前のレイラがそう言って、さらに身体を押しつけてきた。お互いの悪のりに熱が帯びる。卵がカタカタと動き出す。
「だめっ……あ、赤ちゃんに見られちゃう」
「それなら、これはどうだ」
レイラは上下に腰をグラインドさせる。二人の温もりが卵に伝わり、卵が答えるかのように打ち震える。
「ふああああ」
攻めているはずのレイラの身体がビクンと弾ける。ここぞとばかりに、彼女の性感帯を指で刺激する。
「や、やめてっ」
口をぱくぱくさせながら哀願する。
「レイラが始めた事じゃないか、可愛そうだから止めちゃうか」
「……や、止めないで……」
俺からの視線を外しながら、小さな声で否定する。彼女を担ぎ、よたよたしながらベッドに運ぶ。精一杯の見栄がばれ、彼女はプッと吹き出した。彼女の髪を優しく掻き上げ、俺も笑う。
優しい時間に溺れながら、ゆっくりと意識を手放す……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる