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第百四話 台風はいつもの如く【前編】
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玄関の呼び鈴が二度鳴った――
リビングで待機していたテレサが真っ先に出迎えに走る。扉を開けるとクリオネが立っていた。テレサが招き入れする間もなく、彼女の横をすり抜け部屋に入ってきた。いつもの事だが、テレサにとってはいささか不満が残った。俺は彼女と、久しぶりの再会であった。
「あんたたち、私に何かすることがあるでしょ」
リビングに上がり込んだ早々、クリオネは切れだした。その理由は完全に分かっているが、無視を決め込んだ。
「ほらほら、そんな怒った顔をしていると幸せが逃げるぞ」
俺は彼女の背を押しながら、ご馳走の並んだテーブルに座らせた。
「な、何よ!? こんな事をしたって、私は誤魔化されないんだから!」
「わりーとは思ってんだ……だから二回目の退院祝いをしてるんだぞ」
「えっ!? 二回目って?? 私は王都でテレサの安否を知らせて貰えなくて怒ってたのよ。退院祝いはまで、はぶられたわけ!?」
「おい! テレサ。クリオネに謝りに行ってたんじゃないのか?」
テレサは真っ青になりながら、土下座をする勢いでクリオネに謝罪した。
「申し訳ないが、退院祝いのことまで頭が回らなかった」
レイラと俺は大爆笑した。
「ほら、みんな腹ぺこなんで早く食べようぜ!」
「本当に仕方がない人たちね……」
彼女は大きな溜息を一つついて、持ってきたバスケットの中から、手作りのつまみを取り出した。
「いつも美味しい差し入れ、ありがとうな」
「あんたのために作ったんじゃないんだから! 王国一の手料理を感謝して食べなさい」
これさえなければ、良い子なんだがと心から思う……。
「テレサの完全復帰とクリオネの男気に乾杯ッ!」
レイラが乾杯の音頭を取った。
「「「「カンパーーーーイ!!」」」」
それを合図に、カップを片手に持ちながら、料理を次々に口へと運ぶ。この年になると、自分が食べるより、人が沢山食べている姿を見る方が、酒のつまみになったりする。家の雛たちはもちろん、クリオネも美味しそうな表情を浮かべながら食べていた。
「テトラが無事にエルフ皇国に帰れたことは、テレサから聞いたけど、ちゃんとした話は聞いていないので話しなさいよ」
おっちゃんは吟遊詩人の様に語り出す――
勇者は女と共に冒険に旅立ったぁ~! 旅先で数十匹の大鬼に襲われたぁ~~、俺の薙刀で蹴散らし勝利するぅ~。ドワーフ国を経由してぇ~エルフ皇国に行くためにぃ~密輸団を使う~~。道中ぅ~五十人の部下を引き連れた大盗賊に合い、大バトルを繰り広げぇ~~~そいつらを返り討ちにするぅ~~。苦難を乗り越え遂に勇者はエルフ皇国に到着した!! テトラを皇国に届けたら、国家を上げて大歓迎を受けるぅ~~~~ううううぅ~~。何故ならテトラは……皇妃の娘で皇女でしたぁ~~~~~。
クリオネは目を丸くして俺の話を聞きいった。
「おっちゃん、話しを盛りすぎだぜ!!」
レイラはテーブルをバンバン叩いた。
「ええ~~~~~~っ!! 作り話なの!?」
「半分以上はあってるし、テトラが皇女ってのも事実だぞ」
クリオネがジト目で俺を睨みつけた。俺は ばつが悪くなったので自分の部屋に駆け込み、クリオネにお土産を手渡した。
「テトラからだ」
「あ、ありがとう、開けるわね」
沢山の衣服を抱えながら、彼女は涙を流していた。
「おまえら、これが普通の反応よ」
三人の雛はその感動場面から目をそらし
「私たちも同じだったわ」
「うんうん」
「自分の身体に合う服を選んでいただけだ」
「服の奪い合いで大揉めだったじゃないのかよ」
俺は三人に呆れた表情を見せた。
「そういえば、おっちゃんは卵を暖める変態って聞いたんだけど、その卵を見せて頂戴」
俺はレイラを睨みつけた。
「変態じゃねーし! まあ、見せてやらんこともない」
俺は腹の包帯をほどき、卵をテーブルに載せた。
「ふあ-、綺麗な卵ね……ちょっと触らせて」
「落とすなよ」
俺は渋々卵をクリオネに手渡した。
「凄く美味しそうな食材ね!! どんな味か楽しみだわ」
彼女は目をキラキラさせながら、料理人の顔に豹変した。
「うがっ!! こいつ本気で食べる気だ」
俺は背中から冷たい汗が吹き出るのが分かる……。
「幾らでも払うからこれ頂くわね!!」
満面の笑みを浮かべながら、恐ろしいことをさらっとおっしゃる、わがまま姫……。俺は必死で、食材になりつつある卵を守らなければならなかった。楽しい祝いが、とんでもないことになりそうになったとき、玄関の呼び鈴が鳴った。こんな夜に何事かと思い出ようとしたら、クリオネが卵をテーブルに置いて席を立った。
「私の荷物が来た」
そう言って、玄関先まで走って荷を取りにいった。俺はその隙に卵を取り返す。
彼女は重そうな荷物をよたよたと歩きながら、テーブルに持ってきた。
先ほどまで卵に執着していた事など無かったように、楽しそうな顔をしながら、梱包された荷を開き始めた。
「これをテーブルの上に載せて頂戴」
俺は彼女に言われるままに、テーブルの上に荷物を置いた。
リビングで待機していたテレサが真っ先に出迎えに走る。扉を開けるとクリオネが立っていた。テレサが招き入れする間もなく、彼女の横をすり抜け部屋に入ってきた。いつもの事だが、テレサにとってはいささか不満が残った。俺は彼女と、久しぶりの再会であった。
「あんたたち、私に何かすることがあるでしょ」
リビングに上がり込んだ早々、クリオネは切れだした。その理由は完全に分かっているが、無視を決め込んだ。
「ほらほら、そんな怒った顔をしていると幸せが逃げるぞ」
俺は彼女の背を押しながら、ご馳走の並んだテーブルに座らせた。
「な、何よ!? こんな事をしたって、私は誤魔化されないんだから!」
「わりーとは思ってんだ……だから二回目の退院祝いをしてるんだぞ」
「えっ!? 二回目って?? 私は王都でテレサの安否を知らせて貰えなくて怒ってたのよ。退院祝いはまで、はぶられたわけ!?」
「おい! テレサ。クリオネに謝りに行ってたんじゃないのか?」
テレサは真っ青になりながら、土下座をする勢いでクリオネに謝罪した。
「申し訳ないが、退院祝いのことまで頭が回らなかった」
レイラと俺は大爆笑した。
「ほら、みんな腹ぺこなんで早く食べようぜ!」
「本当に仕方がない人たちね……」
彼女は大きな溜息を一つついて、持ってきたバスケットの中から、手作りのつまみを取り出した。
「いつも美味しい差し入れ、ありがとうな」
「あんたのために作ったんじゃないんだから! 王国一の手料理を感謝して食べなさい」
これさえなければ、良い子なんだがと心から思う……。
「テレサの完全復帰とクリオネの男気に乾杯ッ!」
レイラが乾杯の音頭を取った。
「「「「カンパーーーーイ!!」」」」
それを合図に、カップを片手に持ちながら、料理を次々に口へと運ぶ。この年になると、自分が食べるより、人が沢山食べている姿を見る方が、酒のつまみになったりする。家の雛たちはもちろん、クリオネも美味しそうな表情を浮かべながら食べていた。
「テトラが無事にエルフ皇国に帰れたことは、テレサから聞いたけど、ちゃんとした話は聞いていないので話しなさいよ」
おっちゃんは吟遊詩人の様に語り出す――
勇者は女と共に冒険に旅立ったぁ~! 旅先で数十匹の大鬼に襲われたぁ~~、俺の薙刀で蹴散らし勝利するぅ~。ドワーフ国を経由してぇ~エルフ皇国に行くためにぃ~密輸団を使う~~。道中ぅ~五十人の部下を引き連れた大盗賊に合い、大バトルを繰り広げぇ~~~そいつらを返り討ちにするぅ~~。苦難を乗り越え遂に勇者はエルフ皇国に到着した!! テトラを皇国に届けたら、国家を上げて大歓迎を受けるぅ~~~~ううううぅ~~。何故ならテトラは……皇妃の娘で皇女でしたぁ~~~~~。
クリオネは目を丸くして俺の話を聞きいった。
「おっちゃん、話しを盛りすぎだぜ!!」
レイラはテーブルをバンバン叩いた。
「ええ~~~~~~っ!! 作り話なの!?」
「半分以上はあってるし、テトラが皇女ってのも事実だぞ」
クリオネがジト目で俺を睨みつけた。俺は ばつが悪くなったので自分の部屋に駆け込み、クリオネにお土産を手渡した。
「テトラからだ」
「あ、ありがとう、開けるわね」
沢山の衣服を抱えながら、彼女は涙を流していた。
「おまえら、これが普通の反応よ」
三人の雛はその感動場面から目をそらし
「私たちも同じだったわ」
「うんうん」
「自分の身体に合う服を選んでいただけだ」
「服の奪い合いで大揉めだったじゃないのかよ」
俺は三人に呆れた表情を見せた。
「そういえば、おっちゃんは卵を暖める変態って聞いたんだけど、その卵を見せて頂戴」
俺はレイラを睨みつけた。
「変態じゃねーし! まあ、見せてやらんこともない」
俺は腹の包帯をほどき、卵をテーブルに載せた。
「ふあ-、綺麗な卵ね……ちょっと触らせて」
「落とすなよ」
俺は渋々卵をクリオネに手渡した。
「凄く美味しそうな食材ね!! どんな味か楽しみだわ」
彼女は目をキラキラさせながら、料理人の顔に豹変した。
「うがっ!! こいつ本気で食べる気だ」
俺は背中から冷たい汗が吹き出るのが分かる……。
「幾らでも払うからこれ頂くわね!!」
満面の笑みを浮かべながら、恐ろしいことをさらっとおっしゃる、わがまま姫……。俺は必死で、食材になりつつある卵を守らなければならなかった。楽しい祝いが、とんでもないことになりそうになったとき、玄関の呼び鈴が鳴った。こんな夜に何事かと思い出ようとしたら、クリオネが卵をテーブルに置いて席を立った。
「私の荷物が来た」
そう言って、玄関先まで走って荷を取りにいった。俺はその隙に卵を取り返す。
彼女は重そうな荷物をよたよたと歩きながら、テーブルに持ってきた。
先ほどまで卵に執着していた事など無かったように、楽しそうな顔をしながら、梱包された荷を開き始めた。
「これをテーブルの上に載せて頂戴」
俺は彼女に言われるままに、テーブルの上に荷物を置いた。
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──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
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