146 / 229
第百四十七話 プリンは飲み物です
しおりを挟む
大量の卵、獣乳、砂糖を市場で買い込み帰宅する。辺りはもう薄暗くなっており、扉の前に置いてある桶から、黄色い光が漏れていた。まだ花祭りに桶に浮かべた梵天の花が枯れずに咲いている。
いつものように風呂に火を入れ、台所で調理を始めた。卵から卵黄を二十個ばかし取り出し、鍋の中に入れてよくかき混ぜる。流石にこの数の卵を一度に溶いたことは初めてだったので手がかなり痺れる。陶器のカップで二十杯分の獣乳と砂糖を加えて、弱火でゆっくりと掻き混ぜた。
十分ほど暖めた後、このプリンの溶液を、プリン専用の粗布でこしながら(カラメルソースの入った)容器に移し替える。それを水を敷いた鍋に容器を並べて、フタをして蒸す。
「プリンが出来たの! ねえ、プリン早く食べよう」
今まで黙って俺の作業を見ていたチックが、堰を切ったように喋り出す。
「慌てるな、ここからもう少し時間が掛かるからもう少し待て」
「何年も待てないの!」
俺はそれを聞いて、訂正するのも面倒臭いのでプリンが固まるまで口を閉じた。鍋から盛れる湯気を見ると不思議とワクワクする。蓋をずらし中の様子を覗くと。プリンが良い感じで固まってきた。
鍋から熱々の容器を取り出し、台に並べる。プリンは湯気を上げながら、美味しそうに出来上がる。
「ふひゃーーーあっ!!」
チックが悲鳴を上げた。
「熱い! おっちゃんが意地悪した」
涙目でチックは俺を睨みつけた。
「馬鹿な奴だな……これを冷やさないと完成しない」
俺はチックがプリンに顔を突っ込んで大惨事になることを想像して、後からゾッとした……。
冷蔵庫にプリンをギッチリと詰めた後、頭に妖精を乗せて風呂に入る。湯船に浸かりながら、背泳ぎしている妖精をぼんやり長めて一日の疲れを癒す。もちろん全部間違っていることは、理解している。突っ込んだら負けなので、自分が茹で上がるまで風呂に浸かっていた。
二人してフラフラしながら風呂から上がると、三人の雛鳥が家に帰っていた。
「お疲れ。飯を用意するので、早く風呂に入れよ」
「「「ふあーい」」」
気の抜けた返事が返ってくる。プリン作りでかなり疲れたので、味噌をベースに野菜と肉をぶち込んだ鍋を作る。以前はこれでも喜んで食べていたが、悲しいかな、近頃はおっちゃんが手を抜いた料理だと文句を言われたりする。
テーブルの中央に大きな鍋を一つ置き、四人分の取り皿を並べる。日本に住んでいたときには、友人や会社の飲み会以外で、鍋をつつくことはしなくなった。当たり前のように彼女たちと食卓を囲んで飯を取っている事が、夢ではないかと温めのプリンを頬張っているチックを見ながら思った……。
「美味しいです!! プリンは至高の食べ物です」
青いゴミバケツの中に、首を突っ込んで残飯をあさる野良犬を彷彿させる。
「そんなに慌てて食べなくても、逃げやしないさ」
小説やドラマでしか使わない台詞が俺の口からこぼれ落ちた。
「ふはーーっ、幸せです! ここは桃源郷ですか」
異世界の妖精が桃源郷って!? と、野良妖精を見ながら吹き出した。
いつの間にか二つ目のプリンに挑戦しているフードファイター。身体の大きさから鑑みれば、一つのプリンでも大きすぎるのに、四つはいけると五月蠅く騒いだ。完食は無理だと思ったが、このままのペースで食べ続ければ、雛鳥たちが食卓に着く前にチックの食事が終わりそうだった。
「「「「お疲れーーーー」」」」
俺たちが鍋をつつき始めると、チックは俺の膝元で幸せそうに眠りこけていた。彼女の腹は幼女のようにお腹がぽっこりと膨らんだイカ腹になっている。俺はべとべとになったチックの身体を、テーブルふきで綺麗に拭き取ってやった。
「酒が切れたから、おっちゃん頼む!」
レイラがおっさんの様に、空になったカップをゆらゆらと左右に振った。
「わりーが、見ての通り動けないので、自分で取りに行ってくれ」
レイラは此奴、なに言ってるの……という冷たい表情を作り席を立つ――
――「どれだけプリン作ってんだよ!」
と、台所の奥から彼女の突っ込みが聞こえた。
いつものように風呂に火を入れ、台所で調理を始めた。卵から卵黄を二十個ばかし取り出し、鍋の中に入れてよくかき混ぜる。流石にこの数の卵を一度に溶いたことは初めてだったので手がかなり痺れる。陶器のカップで二十杯分の獣乳と砂糖を加えて、弱火でゆっくりと掻き混ぜた。
十分ほど暖めた後、このプリンの溶液を、プリン専用の粗布でこしながら(カラメルソースの入った)容器に移し替える。それを水を敷いた鍋に容器を並べて、フタをして蒸す。
「プリンが出来たの! ねえ、プリン早く食べよう」
今まで黙って俺の作業を見ていたチックが、堰を切ったように喋り出す。
「慌てるな、ここからもう少し時間が掛かるからもう少し待て」
「何年も待てないの!」
俺はそれを聞いて、訂正するのも面倒臭いのでプリンが固まるまで口を閉じた。鍋から盛れる湯気を見ると不思議とワクワクする。蓋をずらし中の様子を覗くと。プリンが良い感じで固まってきた。
鍋から熱々の容器を取り出し、台に並べる。プリンは湯気を上げながら、美味しそうに出来上がる。
「ふひゃーーーあっ!!」
チックが悲鳴を上げた。
「熱い! おっちゃんが意地悪した」
涙目でチックは俺を睨みつけた。
「馬鹿な奴だな……これを冷やさないと完成しない」
俺はチックがプリンに顔を突っ込んで大惨事になることを想像して、後からゾッとした……。
冷蔵庫にプリンをギッチリと詰めた後、頭に妖精を乗せて風呂に入る。湯船に浸かりながら、背泳ぎしている妖精をぼんやり長めて一日の疲れを癒す。もちろん全部間違っていることは、理解している。突っ込んだら負けなので、自分が茹で上がるまで風呂に浸かっていた。
二人してフラフラしながら風呂から上がると、三人の雛鳥が家に帰っていた。
「お疲れ。飯を用意するので、早く風呂に入れよ」
「「「ふあーい」」」
気の抜けた返事が返ってくる。プリン作りでかなり疲れたので、味噌をベースに野菜と肉をぶち込んだ鍋を作る。以前はこれでも喜んで食べていたが、悲しいかな、近頃はおっちゃんが手を抜いた料理だと文句を言われたりする。
テーブルの中央に大きな鍋を一つ置き、四人分の取り皿を並べる。日本に住んでいたときには、友人や会社の飲み会以外で、鍋をつつくことはしなくなった。当たり前のように彼女たちと食卓を囲んで飯を取っている事が、夢ではないかと温めのプリンを頬張っているチックを見ながら思った……。
「美味しいです!! プリンは至高の食べ物です」
青いゴミバケツの中に、首を突っ込んで残飯をあさる野良犬を彷彿させる。
「そんなに慌てて食べなくても、逃げやしないさ」
小説やドラマでしか使わない台詞が俺の口からこぼれ落ちた。
「ふはーーっ、幸せです! ここは桃源郷ですか」
異世界の妖精が桃源郷って!? と、野良妖精を見ながら吹き出した。
いつの間にか二つ目のプリンに挑戦しているフードファイター。身体の大きさから鑑みれば、一つのプリンでも大きすぎるのに、四つはいけると五月蠅く騒いだ。完食は無理だと思ったが、このままのペースで食べ続ければ、雛鳥たちが食卓に着く前にチックの食事が終わりそうだった。
「「「「お疲れーーーー」」」」
俺たちが鍋をつつき始めると、チックは俺の膝元で幸せそうに眠りこけていた。彼女の腹は幼女のようにお腹がぽっこりと膨らんだイカ腹になっている。俺はべとべとになったチックの身体を、テーブルふきで綺麗に拭き取ってやった。
「酒が切れたから、おっちゃん頼む!」
レイラがおっさんの様に、空になったカップをゆらゆらと左右に振った。
「わりーが、見ての通り動けないので、自分で取りに行ってくれ」
レイラは此奴、なに言ってるの……という冷たい表情を作り席を立つ――
――「どれだけプリン作ってんだよ!」
と、台所の奥から彼女の突っ込みが聞こえた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる