働くおじさん異世界に逝く~プリンを武器に俺は戦う!薬草狩りで世界を制す~

山鳥うずら

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第百六十話 亡国の姫君【其の三】

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「んっごっ!!」

 俺は腹に衝撃を受け目を覚ます。

「すまないのう……まさか床に、人が転がっとるとは、思いもせんかった」

 ノエルに腹を踏まれて上半身を起こすと、そこはベッドの床下だった。

「そういや、いつ帰ったか覚えているか?」

「時間は覚えていないが、馬車を呼んで店から出たのが最後じゃった」

「うわ……思い出したわ。店から歩いて帰るのが面倒臭くなって、金貨を使っちまったよ!」

 と、俺は頭をかかえてみせる。

「ぶははは、ごっつあんです」

 ノエルはそう言って豪快に笑った。

 「そうじゃ……呼び鈴が鳴っとったから、起きたんじゃが」

「もう、そんな時間か……取りあえず奴らには悪いが、先に着替えようぜ」

 俺とノエルは着替えをてきぱきと済ませて、外出する準備をしてから玄関に向かった。案の定、玄関の前には、リザードマン二人とドワーフ一人が、重苦しい雰囲気で待ちぼうけしていた……。

「待たせて悪かった……それじゃあギルドに行こうか」

 俺はそんな空気を全く気にすることもなく、あっけらかんと口にして、依頼者たちと一緒にギルドに向かうことにした。

「そういや、コージーたちは何処で一夜を明かしたんだ?」

「けっ! 今更かよ……俺たちは森の近くに拠点を張ってたよ。流石に軍事用の馬車で、人間国に乗り込むほど分別のない行動はしないさ」

「あの四つ足の魔獣で貿易・・をすれば、楽で大儲け出来るのにな」

「わっはっは! ちげいねえ!」

 コージーは俺の背をバンバン叩きながら笑う。

 そうこうするうちにギルドに着いたので、コージーを連れてギルドに入った。換金所で宝石を鑑定して貰い、当座の金貨を得る。その担当者に、自分が数ヶ月ギルドに顔を見せないことも忘れずに伝えておいた。

 ギルドの前の広場で待たせていた三人と合流する。

「必要経費と前金だ。王女をよろしく頼む」

 コージーから金貨のつまった袋と王女を、出来るだけ表情を変えずに受け取る。

「承知した、二ヶ月後に熨斗のしを付けてお返してやる」

 俺はわざと彼に分からない言葉で気持ちを伝えると、嫌みはちゃんと通じたらしく、苦笑いで別れの挨拶を返してきた。

 そうして俺は彼らと簡潔な言葉を交わし別れることにした。王女とグルガムの別れが思いのほか時間がかかっている。

「今度はいつ会えるか分からんが、達者でな」

 ノエルは俺に別れを告げる。

「忘れもんだぜ」

 俺はノエルの胸元に向けて酒瓶を放り投げた。

「なっ……」

 その酒瓶を慌てて受け取り、彼の表情がとろけた。

「結構高いんで、リズさんとゆっくり飲めよ 」

 俺は秘蔵の酒を挨拶代わりに手渡した。ノエルは何も言わずに、その酒を大事そうに抱えながら帰って行った。俺と王女は彼ら一行が小さくなるまで見送ることにした――

「王女さんよ……暫くの間よろしく頼む」

 右手を差し出すと「バシッ」と強い力で俺の手を弾き飛ばす。

「人間ごときが、私の手に触るとはおこがましい」

 彼女は目を細めて俺を睨む。

 そういや、王女さんの名前を聞きそびれていたな……これから始まる警護を考えると、暗澹たる気持ちに襲われた。

「はーー、この分では先が思いやられる……」

 そう呟きながら天を仰いだ――
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