34 / 44
第三十四話 ひきこもり、勿体ぶる
しおりを挟む
ベッドの傍らに置いてあるスマホから、最近殆ど鳴ら無くなった着信音が聞こえてきた。画面を見ると、知らない番号からの電話であった。
「……」
電話には出たものの、暫く無言で押し通す。
「あ、あの~異次元まこと様ですよね……」
耳元で不安げに尋ねてくる、男の声が聞こえてきた。
「そうですが……」
「あっ……私、テレビ夕日の吹雪和宣です」
そこで、超常現象Xファイルを担当していたADだと、遅まきながら気が付いた。
「先日は、ありがとうございました」
もう数ヶ月も前の出来事であったが、どう話して良いか分からず、スマホ越しで頭を下げてみる。
「こちらこそ助かりました。実はですね……あの番組が好評だったもので、今度また特番をやることが、正式に決まったんですよ。そこで異次元さんには、またゲストとして番組に参加して欲しいんです」
「はあ……」
俺は突然の連絡に、歯切れの悪い返事をしてしまう。
「今回は『異世界レジスタンス』と超常現象否定派との討論を、ワンコーナー全部使って、収録する予定です。そこで、ユーチューブに上げられていた、写真の画像、異世界の通貨、革の服を科学的に解析する動画を、スタジオにて公開する形になります」
「あの……通貨と服などは、自分の持ち物では無いんですよね……」
「そうなんですか……。今回は出演料を十万円お払いしますので、是非ともそれこみで、お願い出来ないものでしょうか……」
申し訳なさそうな声で、吹雪さんが話す。
「即答出来ませんが、数日後までにこちらから連絡させて頂きます」
「是非ともお願いいたします! 『異世界レジスタンス』の反響が大きく、恥ずかしながら自分の評価も上がり、このコーナーを一つ任されることになったんですよ。前向きでよろしく検討して下さい」
「そうですか……では後日……」
俺は肯定も否定もせずに、通話を終わらせた。そして、直ぐに健ちゃんに連絡を取り、貸し出しの許可を貰う。心の中では、電話を貰った時から参加する事は決まっていたが、出演を検討すると夕日テレビのADには、勿体ぶって依頼を即答しなかった。
数日後、異世界通貨と革の服を丁寧に梱包して、夕日テレビに発送することが決定した――
「……」
電話には出たものの、暫く無言で押し通す。
「あ、あの~異次元まこと様ですよね……」
耳元で不安げに尋ねてくる、男の声が聞こえてきた。
「そうですが……」
「あっ……私、テレビ夕日の吹雪和宣です」
そこで、超常現象Xファイルを担当していたADだと、遅まきながら気が付いた。
「先日は、ありがとうございました」
もう数ヶ月も前の出来事であったが、どう話して良いか分からず、スマホ越しで頭を下げてみる。
「こちらこそ助かりました。実はですね……あの番組が好評だったもので、今度また特番をやることが、正式に決まったんですよ。そこで異次元さんには、またゲストとして番組に参加して欲しいんです」
「はあ……」
俺は突然の連絡に、歯切れの悪い返事をしてしまう。
「今回は『異世界レジスタンス』と超常現象否定派との討論を、ワンコーナー全部使って、収録する予定です。そこで、ユーチューブに上げられていた、写真の画像、異世界の通貨、革の服を科学的に解析する動画を、スタジオにて公開する形になります」
「あの……通貨と服などは、自分の持ち物では無いんですよね……」
「そうなんですか……。今回は出演料を十万円お払いしますので、是非ともそれこみで、お願い出来ないものでしょうか……」
申し訳なさそうな声で、吹雪さんが話す。
「即答出来ませんが、数日後までにこちらから連絡させて頂きます」
「是非ともお願いいたします! 『異世界レジスタンス』の反響が大きく、恥ずかしながら自分の評価も上がり、このコーナーを一つ任されることになったんですよ。前向きでよろしく検討して下さい」
「そうですか……では後日……」
俺は肯定も否定もせずに、通話を終わらせた。そして、直ぐに健ちゃんに連絡を取り、貸し出しの許可を貰う。心の中では、電話を貰った時から参加する事は決まっていたが、出演を検討すると夕日テレビのADには、勿体ぶって依頼を即答しなかった。
数日後、異世界通貨と革の服を丁寧に梱包して、夕日テレビに発送することが決定した――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる