魔道を極めた最強賢者は遥か未来の世界でスローライフを謳歌する

烏の人

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難儀なカノン-2

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 この城の地下には図書館が存在する。とてつもなく膨大な数の本を収容し、おおよそ歴史のその全てを把握することが可能だ。
 さて、私がこの場に来たのは理由がある。

「確か…ここら辺だったかしら?」

 そうして私は赤い背表紙の本を探す。あの中に彼女は閉じ込めてあるのだが...。

「ああ、あった。」

 そして、その本を手に取り開く。中は殆どが白紙。だが、パラパラと捲っていくとやがて檻の中に人が描かれたページまでたどり着く。

「居た。」

【心界顕現】

 その魔法を発動した。この本は私が作り出した檻である。私の固有魔法、心界顕現は私の心の中を現実に亜空間として顕現させるもの。その魔法を応用し、2次元に定着化させることに成功したのがこの本だ。

「さてさて、久しいわね。」

「おまえは………!」

 手枷、足枷をつけた彼女はそこに居た。

「怯えなくてもいいじゃない。ベルアちゃん。」

 ベルア·フェボス。魔王軍幹部の1人。以前、魔王との戦いがあった際に私が捕らえた魔族である。額には魔族である証として1本の角が見受けられる。

「に、人間ごときが私に何の用だ!」

「1つ、貴方に仕事を与えたくてね。」

「私に?ふん、乗ってやるものか?」

「あら、自由にしてあげようと思ってたのに。」

「…そんな言葉に私が乗るわけないだろ!!」

「あらそう。まあ、どっちにしたってやってくれなきゃ困るのよ。イールとルージュって奴について知りたいの。」

「イール?ルージュ?知らないね。」

「なら、直接探ってきてもらおうかしらね。」

「そんなこと言ったって―――――。」

「つべこべ言うな。」

 途端に牢屋は形を変える。変化後の光景は絞首台そのもの。

「いっ………。」

「この場に居る以上。貴方の命は私の手の上にあるの?だから私のお願い、聞いてくれるよね?」

「………解った。」

「うん。ありがとう。ああ、一時的に自由にはするけど逃げようなんて思わないでね?まあ、逃げれないけど。」

「くっ………。」

―――――――――――――――
――――――――――
―――――

 さて次の日。私はその本を持ち出し、城壁の外まで出てきた。そうしてその森に向かい歩き出す。メイ様には留守にすると伝えてある為今日は1日自由である。

「さて、この辺まで来たらいいかしらね。」

 そうして、私はそいつを解放する。

「………。」

「そんな目でみないでよ。怖いじゃない。」

「よく言うよ。それで、探すのはどんな奴らなんだ?」

「あら、素直で嬉しいわ。探して欲しいのは男女の2人組。男の方がイール。女の方がルージュと言う名前よ。この森の近辺、中もくまなくお願いね?」

「ま、待てよ!情報はそれだけなのか?」

「それだけ。見つけたらどんな人たちなのか報告してね。それじゃあこの本を渡すから、お願いね?」

 そうして私は檻として使っているその本を渡す。

「ああ、その本を捨てたり傷つけたりしたら瞬時に貴方はその本の中に封印されるから。もちろん、逃げようとしても同じよ?調査が終わったらその本を開いてね?」

 そう言って、私はその場を後にする。これでも、色々とやることがあるのだ。

 そう言って、その女はその場を後にした。悪魔め。私は…魔王軍幹部のこの私はあの女から逃げることが出来ない。それほどまでに強い相手であった。

「やるしかないのか………。」

 そうして私は、その森の中へと入っていく。おおよそ普通の人間が暮らせるような魔素濃度ではない。そしてそれは際深部に行く程濃くなる。ここはそのくらい危険な場所だ。
 本を抱え、人が歩けそうな場所を辿る。誰かが住んでいるような痕跡は今のところ見当たらない。

「まあ、人間が住めるわけがないもんね………。」

 そんなことをポツリと呟いた。

「おやおや、お嬢さん。この森に1人で入るとは命知らずな。」

 その声は背後から聞こえた。振り返ったときにはもう遅い。初撃が飛んできていた。

「くっ…!!」

 なんとかその蹴りをガードする。

「その身のこなし、その角…やはり魔族だな?」

 人にしては異常に強い。こいつが...ルージュ…まさか戦闘になるとは思わなかったが、これ程の強者…久方ぶりに心が高鳴る。

「そう言う貴様が…ルージュ…。」

「ほう、知っているのか………。」

 本だけは落とさないように注意しながら、睨み合う。こいつの異常な強さ………なんなのだろうか。
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