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捨てられた第三王子
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自分が捨てられたと自覚したのはいつの話だったか。
発端は、僕が3つになっても西洋式の魔力回路が発現しなかったことが由来だろう。この国で生きていくには、西洋式の魔力回路が絶対である。ましてや、王族である僕にそれが発現しなかったのは致命的である。故に僕は、獣人の跋扈するこの四足の森に捨てられた。
ある日、目が覚めたらすでにこの森であった。あの母の優しささえ、全てを疑った。
この森に捨てられ、早7年が経とうとしていた。なぜ、僕がまだ生きているのか。なぜ、僕が年数を割りと正確に把握しているのか。その理由は1つである。
「おいツカサ、なにボサッとしてんだよ?王位を取り戻したいんじゃなかったのか?」
「は、はい!すみません!!」
僕を叱責したのは、タヌキの獣人であるシャカであった。
「まあ、まあ、シャカ姉。ツカサもまだ10才だ。その辺にしたらどうだ?」
そう突っ込むのはキツネの獣人、ハクネ。
「ハクネは甘すぎるんだよ。」
この四足の森には獣人の集落があったのだ。そして、僕はそこで拾われ育てられている。王位を取り戻すためにも、過去を払拭するためにも、僕は強くならなくちゃいけない。だからこうして、この集落で随一の実力を持つ4人に修行を付けてもらっているのだ。
今はそのうちの1人、シャカに魔法を教わっていたところである。
何でも僕は西洋式の魔力回路はないものの、東洋式の魔力回路を持ち合わせているらしい。
恐らくは母の血が関係しているのだろう。どことなく、面影の雰囲気が周りと違ったのを覚えている。ただ、もうはっきりとは思い出せない。
「にしてもだ、ツカサ。」
そうシャカに呼ばれる。
「なんでしょう?」
「本当に攻撃魔法のセンスないな…。」
「…あ、あはは…。」
ここ最近は的に向かい火球を放つ魔法の練習をしているが一向に上手くならないどころの話ではない。そもそも、火球の1つも出やしないのだ。
「だからそんなにツカサを責めないでって。ほら、回復魔法とか身体強化、強化付与魔法はすっごく得意なんだから。」
ハクネがそうフォローしてくれる。
「んまあ、そうなんだけどよぉ………別にけなしてるとかでも何でもないんだけどな。」
「まあ、言われてみればちょっと変よね。全く使えないどころか、治癒や強化をさせれば、この集落ではもう勝るものは居ないくらいなのに、攻撃においては全くなんて。」
「まあ、アタシから言わせりゃあんまり無い物ねだりはしないほうがいいってことなんだけどな。今あるものを伸ばせばそれでいいと思うぞ?」
それも一理ある。あるのだが、多分それじゃ駄目なんだ。
「それだけじゃ…多分王位を取り戻すなんて無理なんです…。」
僕には、東洋式の魔力回路しか備わってない。だから捨てられた。だったらその絶対的な固定観念を覆さなきゃいけないのだ。
「まあ、ツカサがそう言うならとことん付き合ってやる。」
「私も、尽力するわ。」
そうして、かれこれ数時間ほど魔力を巡らせ、練りを繰り返していたが灯火の1つも出てきてはくれなかった。
「それで、今日も駄目だったと。」
「はい…。」
と、相談に乗ってくれているのは猫の獣人、クロエだった。格闘を僕に教えてくれる師匠であり、こうして相談を聞いてくれることもある。
「まあ、私もシャカと同じ意見かな。有るものを伸ばしたほうがいい。現に、多分ツカサは人間の中でもかなり強い部類だと思うし。」
「そう…ですか。」
「浮かない顔だね…焦ってる?」
「ちょっとありますね。」
「うーんまあ、そうだよね…難しい話だよ。王位を取り戻すだなんてさ。」
「焦ってたってどうにも出来ないことは解ってるんですけど―――――。」
そこまで言うと、ぽんと彼女はその手を僕の頭の上に乗せた。
「ツカサはすごいよく頑張ってると思うよ。王位を取り戻すってそんな簡単な話じゃないんだ。だから、劣等感は覚えるな?」
そう言って、僕の頭を撫でるクロエ。それだけで少し、心が晴れた気がした。
そうして、僕は自分の家…といっても居候をして居るのだが、そこに帰ってきた。
「あぁ、お帰り。ツカサ。」
「ただいま、アオイ」
その名前を呼ぶ。この集落で恐らく一番強い存在であり、僕を最初に拾ってくれた恩人。狼の獣人、アオイである。
発端は、僕が3つになっても西洋式の魔力回路が発現しなかったことが由来だろう。この国で生きていくには、西洋式の魔力回路が絶対である。ましてや、王族である僕にそれが発現しなかったのは致命的である。故に僕は、獣人の跋扈するこの四足の森に捨てられた。
ある日、目が覚めたらすでにこの森であった。あの母の優しささえ、全てを疑った。
この森に捨てられ、早7年が経とうとしていた。なぜ、僕がまだ生きているのか。なぜ、僕が年数を割りと正確に把握しているのか。その理由は1つである。
「おいツカサ、なにボサッとしてんだよ?王位を取り戻したいんじゃなかったのか?」
「は、はい!すみません!!」
僕を叱責したのは、タヌキの獣人であるシャカであった。
「まあ、まあ、シャカ姉。ツカサもまだ10才だ。その辺にしたらどうだ?」
そう突っ込むのはキツネの獣人、ハクネ。
「ハクネは甘すぎるんだよ。」
この四足の森には獣人の集落があったのだ。そして、僕はそこで拾われ育てられている。王位を取り戻すためにも、過去を払拭するためにも、僕は強くならなくちゃいけない。だからこうして、この集落で随一の実力を持つ4人に修行を付けてもらっているのだ。
今はそのうちの1人、シャカに魔法を教わっていたところである。
何でも僕は西洋式の魔力回路はないものの、東洋式の魔力回路を持ち合わせているらしい。
恐らくは母の血が関係しているのだろう。どことなく、面影の雰囲気が周りと違ったのを覚えている。ただ、もうはっきりとは思い出せない。
「にしてもだ、ツカサ。」
そうシャカに呼ばれる。
「なんでしょう?」
「本当に攻撃魔法のセンスないな…。」
「…あ、あはは…。」
ここ最近は的に向かい火球を放つ魔法の練習をしているが一向に上手くならないどころの話ではない。そもそも、火球の1つも出やしないのだ。
「だからそんなにツカサを責めないでって。ほら、回復魔法とか身体強化、強化付与魔法はすっごく得意なんだから。」
ハクネがそうフォローしてくれる。
「んまあ、そうなんだけどよぉ………別にけなしてるとかでも何でもないんだけどな。」
「まあ、言われてみればちょっと変よね。全く使えないどころか、治癒や強化をさせれば、この集落ではもう勝るものは居ないくらいなのに、攻撃においては全くなんて。」
「まあ、アタシから言わせりゃあんまり無い物ねだりはしないほうがいいってことなんだけどな。今あるものを伸ばせばそれでいいと思うぞ?」
それも一理ある。あるのだが、多分それじゃ駄目なんだ。
「それだけじゃ…多分王位を取り戻すなんて無理なんです…。」
僕には、東洋式の魔力回路しか備わってない。だから捨てられた。だったらその絶対的な固定観念を覆さなきゃいけないのだ。
「まあ、ツカサがそう言うならとことん付き合ってやる。」
「私も、尽力するわ。」
そうして、かれこれ数時間ほど魔力を巡らせ、練りを繰り返していたが灯火の1つも出てきてはくれなかった。
「それで、今日も駄目だったと。」
「はい…。」
と、相談に乗ってくれているのは猫の獣人、クロエだった。格闘を僕に教えてくれる師匠であり、こうして相談を聞いてくれることもある。
「まあ、私もシャカと同じ意見かな。有るものを伸ばしたほうがいい。現に、多分ツカサは人間の中でもかなり強い部類だと思うし。」
「そう…ですか。」
「浮かない顔だね…焦ってる?」
「ちょっとありますね。」
「うーんまあ、そうだよね…難しい話だよ。王位を取り戻すだなんてさ。」
「焦ってたってどうにも出来ないことは解ってるんですけど―――――。」
そこまで言うと、ぽんと彼女はその手を僕の頭の上に乗せた。
「ツカサはすごいよく頑張ってると思うよ。王位を取り戻すってそんな簡単な話じゃないんだ。だから、劣等感は覚えるな?」
そう言って、僕の頭を撫でるクロエ。それだけで少し、心が晴れた気がした。
そうして、僕は自分の家…といっても居候をして居るのだが、そこに帰ってきた。
「あぁ、お帰り。ツカサ。」
「ただいま、アオイ」
その名前を呼ぶ。この集落で恐らく一番強い存在であり、僕を最初に拾ってくれた恩人。狼の獣人、アオイである。
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