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第1話 限りなく悪役へ
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出会ってしまった。目があってしまった。うっかりと足を滑らせた駅のホームのその先には茂みがあり、僕はそこから出てきた。
「おや?」
自分の安否など心配する暇もなくそれと邂逅する。そこに居たのは1人の少女。いや、違うな。そいつには見覚えがあった。少し記憶をたどり、思い出す。
スキュラ。僕が読んでいたラノベの敵キャラ。魔王軍幹部である。
「人間か…。」
こいつは夢なのか…?いや、どうだっていいさ。夢なら夢で楽しめる。
このシーンには見覚えがある…ああ命乞いをする男。魔王軍の配下に下るあの盗賊の青年だ。主人公から命からがら逃げ出しその先でスキュラと出会う不運な男。
「殺されに来たのか?人間。」
「いいや、違う。」
殺気立つ彼女に、僕は答えた。何故だろうか。恐ろしく冷静だった。まあ、心がとっくに壊れているからだろう。
極論、生きてさえいればいい。そして、悪役なら悪役なりに生きればいい。それだけだ。
「ほう?まさか…我々の傘下に入りたいとでも?」
「そのまさかだ。」
「そうか…変わった奴もいるものなのだな。我々は貴様らを滅ぼそうとしているのに。」
「僕の知ったことじゃない。僕が良ければそれでいい。」
実際、僕はこの世界の住人ではない。
「人の強欲さを煮詰めたような奴だな。」
「そりゃあどうも。」
そう生きているのだ。当然である。
「いいだろう。気に入った。私直属の部下になれ。」
「ああ、ありがとうな。」
礼を一言言う。
僕は悪役としてこの世界に生を受けた。それも大悪ではない。ただの小悪投。ただ主人公に人を切らせる為だけに作られたどう足掻いても死ぬことしか出来ないキャラ。まあ、あの瞬間に電車に轢かれるよりも先延ばしになった程度だ。
死ぬことが解っているのであれば、僕はとことんやる。悪として生まれたのなら、その限りを尽くしてやろう。
さて、それから僕はスキュラに連れられて魔王城へと連れ込まれる。今の僕の立ち位置は捕虜だ。生きてさえ居ればそれでいいし、やれと言われたことならそれなりにやる覚悟だ。
「スキュラよ…それはなんだ?」
いやはやしかし、初っぱなこいつは魔王と対面してたんだな。形こそ人であるが、額の1対の角とその体格を見れば人間でないことなど一目で解る。たぶんこいつに殴られたら死ぬ。
「はっ、捕虜の男でございます。」
「捕虜か…して使えるのか?」
「使えなければ殺すまでです。」
なるほど、どんなことでもやってのけろと。そう言うわけだ。
「なるほどな。」
「こいつを私直属の部下にしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「いいだろう。おまえは特別成果を上げている。許そう。」
そう言うわけで僕は魔王軍に正式に下ったと言うわけだ。さてと、人らしい生活はもうやめにしようか。いや、もとから人らしい生活なんてしてなかったな?
それから僕は、スキュラの部屋へと向かう。
「早速だが、貴様に1つ仕事をやろう。」
「なんでしょう?」
「何、簡単な偵察任務だ。」
「偵察というと…ここより東南の砦の件か?」
「話が早いな。助かる。」
ここより東南の砦には現在、人族側の勢力が進行の用意をしている。確か、原作でも僕のもととなった人物が偵察をしていた。
「あそこなら確か兵の数は4000程度。主要な人物はいない筈だが?」
あそこはブラフだ。本丸は南方から来る勇者率いる50の少数精鋭。ま、結果的に魔王が勇者らを奈落に落とすことになるのだが…。
「ほう、何故そんなことを?」
「チラッと聞いただけだ。」
「まあ、いい。未だ信頼には足らんからな。どちらにせよ出向いてもらう。」
まあ、そりゃそうだよね。フラッとは入った捕虜が都合良くそんな情報なんて…ちょいミスったな。
「解りました。出向くに当たって1つお願いが。」
「お願い…?」
「音響魔法の使い方だけ教えてもらえますか?」
「音響魔法…?何をする気だ?」
「まあ、いざってときの保険です。」
この世界の知識についてはある程度把握している。一般人もそれなりに魔法が使えることも知っている。何よりこいつ…と言うか僕は決戦時に普通に魔法を使っていた。
そう言うわけで、軽くスキュラから音響魔法を学び偵察へと出向く。さてと…地理はそんなに得意ではないが、日の向きとかでどうにか頑張ろう。
で、あれから2日経った。そうして気がつく
「妙に疲れがない。」
朝起きてから森の中を歩き続けている筈なのに全然余裕だ。こいつの体力は相当すさまじかったらしい。
少し、駆け足になる。水とある程度の食料は持たされたが…このペースならもう少しで着きそうだ。
さてと…習っておいた音響魔法が生きてくる。
【ノイズキャンセリング】
自分の出す音と真逆の周波数を出す魔法。やっぱ偵察は隠密行動が大事だからな。
さてと…じゃあ始めていきますか。
「おや?」
自分の安否など心配する暇もなくそれと邂逅する。そこに居たのは1人の少女。いや、違うな。そいつには見覚えがあった。少し記憶をたどり、思い出す。
スキュラ。僕が読んでいたラノベの敵キャラ。魔王軍幹部である。
「人間か…。」
こいつは夢なのか…?いや、どうだっていいさ。夢なら夢で楽しめる。
このシーンには見覚えがある…ああ命乞いをする男。魔王軍の配下に下るあの盗賊の青年だ。主人公から命からがら逃げ出しその先でスキュラと出会う不運な男。
「殺されに来たのか?人間。」
「いいや、違う。」
殺気立つ彼女に、僕は答えた。何故だろうか。恐ろしく冷静だった。まあ、心がとっくに壊れているからだろう。
極論、生きてさえいればいい。そして、悪役なら悪役なりに生きればいい。それだけだ。
「ほう?まさか…我々の傘下に入りたいとでも?」
「そのまさかだ。」
「そうか…変わった奴もいるものなのだな。我々は貴様らを滅ぼそうとしているのに。」
「僕の知ったことじゃない。僕が良ければそれでいい。」
実際、僕はこの世界の住人ではない。
「人の強欲さを煮詰めたような奴だな。」
「そりゃあどうも。」
そう生きているのだ。当然である。
「いいだろう。気に入った。私直属の部下になれ。」
「ああ、ありがとうな。」
礼を一言言う。
僕は悪役としてこの世界に生を受けた。それも大悪ではない。ただの小悪投。ただ主人公に人を切らせる為だけに作られたどう足掻いても死ぬことしか出来ないキャラ。まあ、あの瞬間に電車に轢かれるよりも先延ばしになった程度だ。
死ぬことが解っているのであれば、僕はとことんやる。悪として生まれたのなら、その限りを尽くしてやろう。
さて、それから僕はスキュラに連れられて魔王城へと連れ込まれる。今の僕の立ち位置は捕虜だ。生きてさえ居ればそれでいいし、やれと言われたことならそれなりにやる覚悟だ。
「スキュラよ…それはなんだ?」
いやはやしかし、初っぱなこいつは魔王と対面してたんだな。形こそ人であるが、額の1対の角とその体格を見れば人間でないことなど一目で解る。たぶんこいつに殴られたら死ぬ。
「はっ、捕虜の男でございます。」
「捕虜か…して使えるのか?」
「使えなければ殺すまでです。」
なるほど、どんなことでもやってのけろと。そう言うわけだ。
「なるほどな。」
「こいつを私直属の部下にしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「いいだろう。おまえは特別成果を上げている。許そう。」
そう言うわけで僕は魔王軍に正式に下ったと言うわけだ。さてと、人らしい生活はもうやめにしようか。いや、もとから人らしい生活なんてしてなかったな?
それから僕は、スキュラの部屋へと向かう。
「早速だが、貴様に1つ仕事をやろう。」
「なんでしょう?」
「何、簡単な偵察任務だ。」
「偵察というと…ここより東南の砦の件か?」
「話が早いな。助かる。」
ここより東南の砦には現在、人族側の勢力が進行の用意をしている。確か、原作でも僕のもととなった人物が偵察をしていた。
「あそこなら確か兵の数は4000程度。主要な人物はいない筈だが?」
あそこはブラフだ。本丸は南方から来る勇者率いる50の少数精鋭。ま、結果的に魔王が勇者らを奈落に落とすことになるのだが…。
「ほう、何故そんなことを?」
「チラッと聞いただけだ。」
「まあ、いい。未だ信頼には足らんからな。どちらにせよ出向いてもらう。」
まあ、そりゃそうだよね。フラッとは入った捕虜が都合良くそんな情報なんて…ちょいミスったな。
「解りました。出向くに当たって1つお願いが。」
「お願い…?」
「音響魔法の使い方だけ教えてもらえますか?」
「音響魔法…?何をする気だ?」
「まあ、いざってときの保険です。」
この世界の知識についてはある程度把握している。一般人もそれなりに魔法が使えることも知っている。何よりこいつ…と言うか僕は決戦時に普通に魔法を使っていた。
そう言うわけで、軽くスキュラから音響魔法を学び偵察へと出向く。さてと…地理はそんなに得意ではないが、日の向きとかでどうにか頑張ろう。
で、あれから2日経った。そうして気がつく
「妙に疲れがない。」
朝起きてから森の中を歩き続けている筈なのに全然余裕だ。こいつの体力は相当すさまじかったらしい。
少し、駆け足になる。水とある程度の食料は持たされたが…このペースならもう少しで着きそうだ。
さてと…習っておいた音響魔法が生きてくる。
【ノイズキャンセリング】
自分の出す音と真逆の周波数を出す魔法。やっぱ偵察は隠密行動が大事だからな。
さてと…じゃあ始めていきますか。
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