12 / 18
本当の誕生日は…… 4
もしかしたら極度の恥ずかしがり屋だから、二人きりになると少し無口になって、目を合わせることができなかったのかな?
そう思うと葉月のこれまでの素っ気ない態度にも納得がいって、嬉しさが胸一杯に込み上げてきた。
「じゃあ俺から改めて言うけど……俺は木村が好きだよ。めちゃくちゃ好きだから、今から木村を……葉月を俺の彼女にするけど、いい?」
しっかりと抱きしめたままそう言うと、葉月は俺の腕の中で小さくうなずいた。
「……はい」
葉月の返事があまりにも嬉しくて思わず雄叫びをあげそうになったけれど、夜も遅いのでその衝動をグッとこらえ、葉月の顔を両手でグイッと持ち上げて唇にキスをした。
すると葉月は驚き慌てふためいて、俺の体を思いきり押し返した。
「いっ、いきなり何するん!」
「いや……あまりにも嬉しくて、つい……。それに葉月、めちゃくちゃ可愛いし……」
「恥ずかしいから、そういうのは人目につかんとこでして!」
葉月はそう言うけれど、周りには誰もいないし、誰にも見られていない。
「誰も見てないけど?」
「誰も見てなくても外ではアカンの!」
葉月はそう言って俺の手を振り払い、両手で顔を覆った。
本当に恥ずかしがり屋なんだな。
会社での毅然とした姿からは想像もできないほどの可愛さに、俺の独占欲が煽られた。
葉月のこんな可愛い顔、他の男には絶対見せたくない。
もっともっと、葉月の恥ずかしがる可愛い顔が見たい。
俺は葉月を抱き寄せて、耳元に唇を近付けた。
「じゃあ……外じゃないところで二人きりならいいの?」
あわよくばこのまま朝まで二人きりになれる場所で、俺に見つめられたり触れられたりして恥じらう葉月を堪能したいと思ったけれど、現実はそんなに甘くはなかった。
葉月は両手で俺の顔を押さえて引き離し、思いっきり頬をつまんで引っ張った。
「……もう!なんでそんな恥ずかしくなることばっかり言うん!調子に乗んなアホ!」
「……はい、すんません……」
つい調子に乗って手痛いダメ出しをされてしまったけれど、この日から俺と葉月は付き合い始めた。
それから6日後の4月9日。
その日が俺の本当の誕生日だとは言い出せないまま、仕事の後に二人で食事をして葉月を家まで送り届けると、マンションの前で葉月は立ち止まり、鞄から綺麗にラッピングされた薄い長方形の箱を取り出して俺に差し出した。
「伊藤くん、誕生日おめでとう」
なんの前触れもなく葉月がそう言ったので驚いて葉月の顔を見ると、葉月はおかしそうに笑った。
「えっ?俺の誕生日知ってたの?」
「当たり前やんか。私、伊藤くんの担当事務員やで?だから伊藤くんが8月生まれやって言うたとき、嘘やって気付いてたんよ。でも私もホンマは誕生日やなかったし黙っとった。あのとき誕生日のお祝いらしいことせんかったんは、お祝いはホンマの誕生日にしたいなと思てたからやねん」
照れくさそうにそう言った葉月があまりにも可愛くて、俺のことを知っていてくれたことが嬉しくて思わずギュッと抱きしめると、葉月は慌てて俺の体を押し返した。
「もう!あかんて!」
「そんなこと言ったって嬉しくて……!葉月、ありがとう!めちゃくちゃ好き!」
「それでも恥ずかしいからあかんのー!」
この勢いで今夜はベッドで抱き合って朝まで一緒にいられるんじゃないかなどと思ったけれど、そんな淡い期待と下心は見事に打ち砕かれた。
恥ずかしがりやの葉月はこれまでの彼女とは違って何をするにも時間がかかり、俺を名前で呼べるようになったのは1か月以上も経ってからで、デートのときも手を繋がせてくれなかったし、もちろん簡単に体を許したりはしなかった。
俺は母親の影響もあって浮気だけは絶対に許せないし、付き合っていなくてもその場の雰囲気とか軽いノリだけで体の関係を持つ人間には嫌悪感を抱いていたから、葉月の身持ちが固いところもいいなと思った。
葉月に無理をさせないようにゆっくりと距離を縮め、抱きしめたりキスをしたり、時間と共に少しずつ触れ合えるようになり、ようやく初めて葉月と結ばれたのは付き合い始めてから3か月もあとのことだった。
そう思うと葉月のこれまでの素っ気ない態度にも納得がいって、嬉しさが胸一杯に込み上げてきた。
「じゃあ俺から改めて言うけど……俺は木村が好きだよ。めちゃくちゃ好きだから、今から木村を……葉月を俺の彼女にするけど、いい?」
しっかりと抱きしめたままそう言うと、葉月は俺の腕の中で小さくうなずいた。
「……はい」
葉月の返事があまりにも嬉しくて思わず雄叫びをあげそうになったけれど、夜も遅いのでその衝動をグッとこらえ、葉月の顔を両手でグイッと持ち上げて唇にキスをした。
すると葉月は驚き慌てふためいて、俺の体を思いきり押し返した。
「いっ、いきなり何するん!」
「いや……あまりにも嬉しくて、つい……。それに葉月、めちゃくちゃ可愛いし……」
「恥ずかしいから、そういうのは人目につかんとこでして!」
葉月はそう言うけれど、周りには誰もいないし、誰にも見られていない。
「誰も見てないけど?」
「誰も見てなくても外ではアカンの!」
葉月はそう言って俺の手を振り払い、両手で顔を覆った。
本当に恥ずかしがり屋なんだな。
会社での毅然とした姿からは想像もできないほどの可愛さに、俺の独占欲が煽られた。
葉月のこんな可愛い顔、他の男には絶対見せたくない。
もっともっと、葉月の恥ずかしがる可愛い顔が見たい。
俺は葉月を抱き寄せて、耳元に唇を近付けた。
「じゃあ……外じゃないところで二人きりならいいの?」
あわよくばこのまま朝まで二人きりになれる場所で、俺に見つめられたり触れられたりして恥じらう葉月を堪能したいと思ったけれど、現実はそんなに甘くはなかった。
葉月は両手で俺の顔を押さえて引き離し、思いっきり頬をつまんで引っ張った。
「……もう!なんでそんな恥ずかしくなることばっかり言うん!調子に乗んなアホ!」
「……はい、すんません……」
つい調子に乗って手痛いダメ出しをされてしまったけれど、この日から俺と葉月は付き合い始めた。
それから6日後の4月9日。
その日が俺の本当の誕生日だとは言い出せないまま、仕事の後に二人で食事をして葉月を家まで送り届けると、マンションの前で葉月は立ち止まり、鞄から綺麗にラッピングされた薄い長方形の箱を取り出して俺に差し出した。
「伊藤くん、誕生日おめでとう」
なんの前触れもなく葉月がそう言ったので驚いて葉月の顔を見ると、葉月はおかしそうに笑った。
「えっ?俺の誕生日知ってたの?」
「当たり前やんか。私、伊藤くんの担当事務員やで?だから伊藤くんが8月生まれやって言うたとき、嘘やって気付いてたんよ。でも私もホンマは誕生日やなかったし黙っとった。あのとき誕生日のお祝いらしいことせんかったんは、お祝いはホンマの誕生日にしたいなと思てたからやねん」
照れくさそうにそう言った葉月があまりにも可愛くて、俺のことを知っていてくれたことが嬉しくて思わずギュッと抱きしめると、葉月は慌てて俺の体を押し返した。
「もう!あかんて!」
「そんなこと言ったって嬉しくて……!葉月、ありがとう!めちゃくちゃ好き!」
「それでも恥ずかしいからあかんのー!」
この勢いで今夜はベッドで抱き合って朝まで一緒にいられるんじゃないかなどと思ったけれど、そんな淡い期待と下心は見事に打ち砕かれた。
恥ずかしがりやの葉月はこれまでの彼女とは違って何をするにも時間がかかり、俺を名前で呼べるようになったのは1か月以上も経ってからで、デートのときも手を繋がせてくれなかったし、もちろん簡単に体を許したりはしなかった。
俺は母親の影響もあって浮気だけは絶対に許せないし、付き合っていなくてもその場の雰囲気とか軽いノリだけで体の関係を持つ人間には嫌悪感を抱いていたから、葉月の身持ちが固いところもいいなと思った。
葉月に無理をさせないようにゆっくりと距離を縮め、抱きしめたりキスをしたり、時間と共に少しずつ触れ合えるようになり、ようやく初めて葉月と結ばれたのは付き合い始めてから3か月もあとのことだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】泡になった約束
山田森湖
恋愛
三十九歳、専業主婦。
夫と娘を送り出し、静まり返ったキッチンで食器を洗う朝。
洗剤の泡が立っては消えるその繰り返しに、自分の人生を重ねながら、彼女は「ごく普通」の日常を受け入れている。
愛がないわけではない。けれど、満たされているとも言い切れない。
そんな午前中、何気なく出かけたスーパーで、背後から名前を呼ばれる。
振り返った先にいたのは、かつて確かに愛した男――元恋人・佐々木拓也。
平穏だったはずの毎日に、静かな波紋が広がり始める。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました
由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。
そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。
手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。
それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。
やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。
「お前に触れていいのは俺だけだ」
逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。
これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
課長のケーキは甘い包囲網
花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。
えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。
×
沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。
実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。
大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。
面接官だった彼が上司となった。
しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。
彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。
心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡