黒猫クロの孤高のグルメ番外編猫は丸い容器が好き

西山公亮

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黒猫クロの孤高のグルメ番外編猫は丸い容器に入りたがる

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黒猫クロの孤高のグルメ 番外編 ~猫は丸い容器が好き~

ソロキャンプに疲れ果てた阿倍野平成は、愛猫クロを助手席に乗せ、車を走らせていた。目指すは焼き物の街、愛知県常滑市。常滑焼の招き猫に癒されようと考えたのだ。

「クロ、もうすぐ常滑に着くぞ。美味しいものもたくさんあるらしいから、楽しみにしててくれよな。」

助手席のクロは、窓の外を流れる景色を眺めながら、時折小さくニャアと鳴いた。

常滑の街は、焼き物の街らしく、至る所に招き猫の置物が飾られていた。大小様々な招き猫、表情豊かな招き猫、クロは興味津々にそれらを眺めていた。

「すごいな、クロ。招き猫だらけだ。どれが一番可愛いかな?」

阿倍野平成がそう呟くと、クロはまるで返事をするかのように、一際大きな招き猫の置物を見つめた。

二人は、ひときわ目を引く外資系窯元へと足を踏み入れた。そこは、伝統とモダンが融合した、スタイリッシュな空間だった。

「いらっしゃいませ。」

流暢な日本語を話す、青い目の外国人が二人に挨拶をした。彼はこの窯元の亭主、ジョン・スミス氏だった。

ジョン氏は、阿倍野平成に窯元を案内しながら、熱心に常滑焼の歴史や魅力を語った。阿倍野平成もまた、焼き物好きとして、ジョン氏の話に熱心に耳を傾けた。

その間、クロは自由に窯元の中を探索していた。中庭に出ると、巨大な壺が置かれていた。吸い込まれるように、クロはその壺の中へと入ってしまった。

しばらくして、阿倍野平成はクロがいなくなっていることに気づいた。

「クロ!クロはどこだ!」

ジョン氏も加わり、窯元中を探し回ったが見つからない。クロは忽然と姿を消してしまったのだ。

「もしかしたら、あの壺の中に…」

ジョン氏が呟いた。阿倍野平成は半信半疑で壺の中を覗き込んだが、中は暗くて何も見えない。

クロの失踪は、たちまち町中に広がり、人々はクロ探しに協力してくれた。クロは、いつしか町のアイドル的存在になっていたのだ。

その頃、クロは壺の中で不思議な夢を見ていた。

夢の中でクロは、たくさんの招き猫に囲まれていた。そして、いつの間にか自分も招き猫になっていたのだ。

「私は…招き猫?」

夢の中のクロは、戸惑いながらも、どこか嬉しそうだった。

一方、阿倍野平成は、諦めずにクロを探し続けていた。そしてついに、ジョン氏の協力のもと、特殊なカメラを使って壺の中を調べることができた。

「いた!クロだ!」

モニターに映し出されたのは、壺の中で眠るクロの姿だった。安堵した阿倍野平成は、ジョン氏に手伝ってもらい、クロを壺から救出した。

「クロ!よかった…無事だったんだな!」

阿倍野平成は、クロを強く抱きしめた。クロもまた、安心したように喉を鳴らした。

後日、阿倍野平成はジョン氏から、あの壺は特別な力を持つ壺だと聞かされた。

「あの壺は、人の願いを叶える力があると言われているんです。クロはきっと、招き猫になりたいと願ったのでしょう。」

ジョン氏は微笑んだ。阿倍野平成は、クロが招き猫になった夢を見たことを思い出し、不思議な気持ちになった。

常滑の街を後にするとき、阿倍野平成は心の中でクロに誓った。

「クロ、これからも色々な場所に連れて行ってやるからな。そして、いつか、お前にぴったりの招き猫を見つけてやるよ。」

クロは、満足そうにニャアと鳴いた。
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