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第1章

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兄上がいなくなってもうすぐ半年、
あと二週間で私はついに三歳になる。
ここでは七五三はない。
二歳参り以降でイベントと言えば入学式ぐらいだ。
夏も終わり秋が来た。

この王国にも四季はある。
辺境フランティアにも短い秋と少し長い冬が来る。
雪が積もって外出できないレベルではないが。
秋より寒いという曖昧な冬だ。

肝心の錬魔循環だが、まだできていない。
そりゃ最初の頃は亀の歩みだった。
髪の毛並の細さだった。
今では馬並みの速さ、三歳児の腕ぐらいの太さだ。
目に見えるわけではないから体感でしかないが、進歩していると思う。

しかし母上に言われた速さ・太さからすると半分ってとこだ。
頑張ったんだけどな。

でも悔しいから誕生日まで猛特訓だ。
文字の勉強も狼ごっこもなし!
ひたすら錬魔循環やりまくってやる。



疲れた……
今まで遊びながらとか、勉強しながらとか、ながら修行だったのがよくなかったのか?
本気で集中し、連続して行うと二時間と保たない。
この感覚が大事なのか?
やはり限界まで攻め込んでこそ成長があるのか。

ちなみにポーションの類は禁止されている。
理由は分からない。

魔力は消費してないはずだから、魔力ポーションを飲む意味はないが、疲れが吹っ飛ぶ気がするんだよな。

風呂と食事、睡眠で自然回復といこう。
回復を感じたら即ぶん回してやる。
風呂でもベッドでも循環させまくりだ。



こうして追い込まれないとやらない、典型的カスな本性を垣間見せたカース。
この若さでこの片鱗、将来が危ぶまれる。
明日はついに誕生日だ。
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