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第1章

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「そうかそうか。もうカースは魔力量がすごいのか。えらいぞ。
こりゃ将来は近衛騎士か宮廷魔導士か、楽しみなことだな。」

「もう貴方ったら気が早いわ。そんなのカースちゃん次第だわ。
明日からは魔法制御なの。楽しみね。」

今日もご馳走を前に両親が親バカっぷりを発揮している。

「えへへ、頑張るよ。
何になるかは分からないけどね。」

「いいのよ、そんなの慌てなくても。
ゆっくり考えましょうね。」

「ところでエリはどうなんだ? 厳しくやってるんだろう?」

「やってるわよ。母上は本当に厳しいから大変。きっと合格できるんじゃないかしら。」

「ふふっエリったら。錬魔循環もいい感じだし、悪くないわよ。
魔力量はまだまだだからこれからも地道に増やしていきなさい。
でも魔力制御に発動速度はすごいわ。」

「ほほう、すごいじゃないか。さすがイザベルが教えてるだけあるな。
私も嬉しいよイザベル。」

「あなた……照れるわ。エリが努力してるだけよ。才能はあなた似なのよ。」

だから私の誕生日会じゃないんかい!
隙あらばイチャイチャしやがって!

「姉上はやっぱりすごいんだね。
僕は今日初めて水滴みなしずくを使ったんだけど、本当に水滴すいてきだったよ……」

「何あんた、もう水滴みなしずく使えるの!?」

「いや、確かに水は出たけど、ポタッ……ポタッって感じで……」

「それで十分よ! 私だって初めての水滴は学校に行き出してからよ。一年の中頃だったわ。」

「やっぱりカースはすごいなー。僕もがんばろう。」

「あんたもそればっかりね。家事の腕はすごいと思うけどさ。」

両親があの調子なので、兄弟仲良く話が弾んだ。
姉上ももうすぐ領都に行ってしまうのか。
段々と家が広くなるな。
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