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第1章

166 カースと先輩

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おっ、あの先輩だ。

「おお、オメーまた上手くやったらしいな。」

「あっゴレライアスさん、お疲れ様です! これ、先日のお裾分けです。美味しかったんで食べてやってください。」

「んん? コカトリスの軟骨か? ありがたく貰っとくわ。しかしオメーよぉ、俺に気を遣っても何にもならんぞ?」

「いやいやゴレライアスさんは偉大な先輩じゃないですか! それにこれはただの感謝です。いつもありがとうございます!」

クタナツギルドの先輩に無能はいない。
ゴレライアスさんを含めほぼ全員が凄腕だ。
だからこのような付け届けは必須だ。

先程のような模擬戦でも相手が雑魚だから勝てたのであって勘違いしてはいけない。
この世界にはフェルナンド先生のような化け物がたくさんいるはずなのだ。
先生ですら四等星ってことは三等星もいるはずだから、恐ろしい。
だから私はここの先輩には従順だ。

ちなみにさっきのクサオは治療院に運ばれていった。金はあるのか?

治療院は高い。
怪我の程度にもよるが、骨折の治療なら銀貨五枚ぐらい。クサオは関節がグシャグシャになってるので安くても金貨四枚はかかるだろう。
まあいいや。これも実験だ。奴の末路を観察するとしよう。

しかしあれで七等星……経験十年とは……
石を用意した時点で投げてくるのもバレバレだったし、そもそもファーストコンタクトで自動防御されていたことにすら気付いてない。
いや、油断は禁物だ。低レベルを基準にしてはいけない。
私にはゴレライアスさんがどれほど強いのかすら分からないのだから。

そして私は今度こそ家路についた。

現在のカード残高は金貨三十二枚
手持ちの現金は金貨と銀貨が一枚ずつ。

貨幣価値は……
銅貨百枚で銀貨一枚。
銀貨十枚で金貨一枚。
大金貨とか白金貨とかもあるらしいが私は見たことがない。
銅貨一枚は百イェン。
銀貨一枚は一万イェンだが、あまり使われてない。銀貨何枚、金貨何枚という言い方が一般的だ。
利子計算をするにはイェンで計算をした方が便利なのだが、どうしたものか。
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