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第1章
206 初恋と恋心
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カリツォーニ・ド・アジャーニは怒りを抑えきれずにいた。転校初日ということもあり、自分と同格、そして旧知の少女と仲良くしてやろうと考えていた。だが、それがまるで相手にされなかった。また平民同然の下級貴族の分際で少女の権勢を盾に調子に乗っていた男の存在も怒りに拍車をかけた。
「カリツォーニ様、くれぐれもご自重ください。ここはクタナツです。命が簡単に無くなる土地柄なのです。ハンドラー、お前もだ。我々の役目は護衛だ。戦って勝つことではないぞ。カリツォーニ様のお命を危険に晒して何とする。」
「シフナートよ、お前の忠誠は有難く思う。あの者について何か知っているのか?」
カリツォーニは努めて冷静に聞き返した。
「いえ、存じません。ただあの時ハンドラーが剣を抜いていたら命が無かったことだけは分かります。しかもその場合、私とカリツォーニ様の命も風前の灯火だったかと。」
「シフナート! あのような下級貴族に何を恐れている!? 所詮アレクサンドル家の威光を傘に着る雑魚ではないか!」
「はぁ、ハンドラーさぁ。僕の個人魔法を知ってるだろ? 君は本当に死ぬ寸前だったんだよ? 僕が柄頭を止めなければね。」
「そ、そうだな。すまない。助かったようだ。」
「分かってくれたらいいよ。そういう訳ですカリツォーニ様、ご自重をお願いいたします。あいつはヤバい。アレクサンドル家のご令嬢が見初めるだけあるのではないかと。」
「……そうだな……」
カリツォーニは父親からある指示を受けていた。
『好きに振る舞え。いい女がいたらモノにしろ。ムカつく男がいたら殺していい』
父の真意は分からぬ。しかし父からの指示は絶対だ。平地に乱を起こすべく動く必要があるのだろう。
もっとも指示がなかったとしても同じように行動をしていたことだろうが。
幼き頃の淡い恋心などとうに忘れている。なのに……
ほとんど誰にも心を開かなかった、あのアレクサンドリーネが……
クソ、イラつきが止まらない……
あんな剣も持ってないような平民と変わらぬ下級貴族のくせに……
『アレク』だと……
殺してやる……
カリツォーニの心がどす黒く滲んでいた。
「カリツォーニ様、くれぐれもご自重ください。ここはクタナツです。命が簡単に無くなる土地柄なのです。ハンドラー、お前もだ。我々の役目は護衛だ。戦って勝つことではないぞ。カリツォーニ様のお命を危険に晒して何とする。」
「シフナートよ、お前の忠誠は有難く思う。あの者について何か知っているのか?」
カリツォーニは努めて冷静に聞き返した。
「いえ、存じません。ただあの時ハンドラーが剣を抜いていたら命が無かったことだけは分かります。しかもその場合、私とカリツォーニ様の命も風前の灯火だったかと。」
「シフナート! あのような下級貴族に何を恐れている!? 所詮アレクサンドル家の威光を傘に着る雑魚ではないか!」
「はぁ、ハンドラーさぁ。僕の個人魔法を知ってるだろ? 君は本当に死ぬ寸前だったんだよ? 僕が柄頭を止めなければね。」
「そ、そうだな。すまない。助かったようだ。」
「分かってくれたらいいよ。そういう訳ですカリツォーニ様、ご自重をお願いいたします。あいつはヤバい。アレクサンドル家のご令嬢が見初めるだけあるのではないかと。」
「……そうだな……」
カリツォーニは父親からある指示を受けていた。
『好きに振る舞え。いい女がいたらモノにしろ。ムカつく男がいたら殺していい』
父の真意は分からぬ。しかし父からの指示は絶対だ。平地に乱を起こすべく動く必要があるのだろう。
もっとも指示がなかったとしても同じように行動をしていたことだろうが。
幼き頃の淡い恋心などとうに忘れている。なのに……
ほとんど誰にも心を開かなかった、あのアレクサンドリーネが……
クソ、イラつきが止まらない……
あんな剣も持ってないような平民と変わらぬ下級貴族のくせに……
『アレク』だと……
殺してやる……
カリツォーニの心がどす黒く滲んでいた。
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