上 下
235 / 240
第1章

235、カース、大金ゲット

しおりを挟む
遠回りだが、ギルドに行く前に自宅に寄ろう。

「ただいま。」
「お邪魔いたします。」

「おかえりなさいませ。アレクサンドリーネ様もようこそいらっしゃいました。」

「母上いるかな?」

「いらっしゃいます。」

居間にいるのか。

「ただいま。」
「お邪魔しております。」

「二人ともおかえり。早かったわね。」

「実はね。サウザンドミヅチらしき魔物を倒したんだよね。で、例によって母上がやったことにして欲しいんだよね。」

「もちろんいいわよ。それよりサウザンドミヅチだなんて……一体どこにいたの? 」

「ここから東に十五キロル辺りかな。そんな近くにあんな大物がいるなんてね。」

「それは怖いわね。幼年期を地中で過ごすからどこにでも現れる可能性があるのよね。
ところでアレックスちゃん、私がやったことにしていいのかしら?」

「え、ええ。カースがそう望むのなら。私が言うことはありませんわ。」

「じゃあギルドに行きましょうか? ところでギルドの解体倉庫に入るサイズかしら?」

「たぶんギリギリ大丈夫だと思う。全長は見えなかったけど。」

「うーん、それは危ないわね。外にしましょうか。カース達は先に北の城門から出てなさい。職員を連れて後から行くわ。」

「分かった。わざわざありがとね。」
「お手数おかけいたします。」

「うふふ、アレックスちゃんたらまるで奥さんみたいな物言いね。かわいいわぁ。」

お、真っ赤になった。やはり可愛いぜ。




城門外で待つこと十五分。

マリーが御者をする馬車に乗った母上がギルド職員を連れてやって来た。キアラも一緒か。

では出すとしよう。一応母上の隣で母上が出すと見せかける。



大きい……
私の魔力庫は長辺が二十五メイルを超えると入らないはずだが……
蛇のように曲がるなら大丈夫だということか。
見た感じ胴体の太さは直径五メイル、全長は四十メイルぐらいだろうか。
あまり蛇らしく見えない、むしろツチノコに近い気もする。

「こ、これは……サウザンドミヅチの成体ではありませんが……幼生ですね。」

このサイズで幼生?
成体もどこかにいるってことだよな?
魔境は怖いな……

「で、どう? このサイズだとギルドの倉庫に入るかしら?」

「え、ええ、何とか入ると思います。」

「今ならサービスで半分に切ってあげるわよ。それとも血が勿体ないからやめておく?」

「そうですね。血も貴重な薬になりますので。このままギルドにお願いできますか?」

再び私は母上の隣に並び収納する。



そしてギルドにて。

「素材はカースの好きにしていいわよ。私は蛇嫌いだから。じゃあ先に帰るわね。」
「カー兄じゃあねー。」

「うん、母上ありがとう! キアラも後でな。」

職員と話した結果、皮の丈夫な所をコート二十着分、魔石、肉を少々貰うことにした。
牙や血などは興味が湧かないので売ることにした。

「アレクはどこか欲しい素材はないの? 今なら好きな所をあげるよ。」

「カースったら気前がいいんだから。なら牙をいただくわ。解体用ナイフにするの。」

「では後日引き取りに参りますね。買取金額はいくらぐらいになりそうですか?」

「軽く見ても金貨三百枚ですね。領都なんかに持ち込まれてオークションにかければ千枚になってもおかしくないですよ」

子供相手にえらく誠実に対応してくれる人だな。ありがたい。

「なるほど。その気はありませんので、買取お願いします。では来週末ぐらいにまた。」




「少し寄り道しよう。ファトナトゥールに行こうよ。」

ギルドからファトナトゥールは同じ一番街なので結構近いのだ。
しおりを挟む

処理中です...