<第三部開始>けもなな~ケモ耳令嬢七姉妹ハーレムを作らないと国が滅びます~

土隠まぬる

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第三部六章・未来が視える獅子耳令嬢は引きこもりたい

第66話・天岩戸(あまのいわと)バーベキュー作戦


 夕暮れ時。
 俺は女子寮の庭で肉を炭火と金網で焼いていた。
 それも、丁度匂いがレオティアの部屋の窓に行くように計算した場所で。


「な、何をしてるみゃ~?」


 レオティアが窓をわずかに開けて声をかけてきた。


「肉を焼いて食おうと思ってな」


「なんでわざわざここなんだみゃ?」


「一緒に食うか?」


 彼女のよだれがポタポタと窓から降ってきた。


「……焼けたのを持ってきてみゃ」


「そうはいかない。運ぶ間に冷えてしまうだろ」


 そこへコッペリアがやって来て、アツアツの肉に特製のソースをかけた。
 香辛料と玉ねぎの香りが鼻孔をくすぐる。
 俺はソースのかかった肉を一枚食べる。


「ほう……ソースがいいと肉がこれだけ美味くなるとは」


「もぐもぐ……おいひぃですね~。夏休みにいっぱい香辛料を買い込んだ甲斐がありました~」


 そこへ寮母さんが追加の肉を持ってきた。


「一か所では肉を焼く場所が足りないね。じゃあ、三か所くらい火を増やすか……ちょっとあんたたち!手伝って!!」


「はーい」


 ウルティアや女子寮の生徒たちがやってきて、机や椅子、皿や飲み物などを並べ始めた。
 これぞ『天岩戸(あまのいわと)作戦』。岩の中に引きこもった女神を引きずり出すには、近くで楽しそうな宴会をすればいい。


「え……みゃ~……」


「おーい、レオティア~~!! なにしてるわん。お前の分の肉が無くなるわん!!」


 俺はレオティアに声をかける。


「みんなずっと部屋から出てこないお前を心配して、今日は集まってくれたんだ。是非来てくれ」


 レオティアはそれを聞いて、バタンと窓を閉めた。


「……? ちょっと部屋まで迎えに行ってくる」


 俺はレオティアの部屋のドアを叩いた。


「どうした、レオティア。みんな待ってる……」


「か、勝手にそんなことされても困るみゃ!!! みゃーは、みゃーは人間が嫌い!!」


「……どうしてだ?」


 俺は予想を下回る彼女の反応に戸惑った。


「い、いつも気が弱いミャーのこと馬鹿にして、陰では何を言ってるかわからない……そんな連中と一緒に肉を食えっかみゃー!!」


「……何があったか知らないが、そんなに悪い人たちとは……」


 費用は俺とウルティアで持ったとはいえ、みんな急な呼びかけに快く応じてくれたしな。


「お前、誰だか知らんけど勝手に人の領域に踏み込もうとしてムカつくみゃ!!」


「え、俺、昨日名乗ったよな。クラスメイトのカナメ……」


「は? ミャーにとって名前なんてどーでもいいみゃ。お前、なんか得体が知れねーみゃ。そんな奴と仲良く肉が食えるかっ」


 ……その言い分は一理あるかもしれない。


「……すまない。後で君の分、部屋の前に置いておくから……」


「帰れみゃ!!」


 俺は肉を焼いているみんなの元へ戻った。


「どうだったわん?」


「……すまない、レオティアはこういうことをされたくないらしい」


「あのアホ猫!! 全く、あいつのためにみんなこうして……」


 俺は首を横に振った。


「……いや、俺の調査不足だった。もし、これがウルティアやクーティア、コッペリアなら喜んでくれたかもしれないが……あいつは違うんだな……」


「あいつがクソわがままなだけ……」


 俺はウルティアの口を手で抑えた。


「何か事情があるんだろう。さて、どうしたものかな……」


 唐突に、レオティアは窓から顔を出して叫んだ。


「そこの太ももぷにぷに女!! 後ろに気を付けろみゃ!!」


 コッペリアは首を傾げながら後ろを向いたが、何もない。


「顔、火傷!! 忠告はしたからみゃ!!」


 レオティアはそう言って窓とカーテンを閉めた。


「えっとぉ~? その、今のはどういう意味ですか~?」


 女子寮に住んでいる子たちが答える。


「あの子、たまに人前に出るけど……唐突に変なこと言うよねー」


「なんか、呪いみたいなこと言うから、みんなから不気味に思われてるし」


 俺は首を傾げる。


「呪い……?」


 ウルティアは微妙な顔をしている。


「一応、気を付けておくわん」


「お、おう」


 それから一時間後。
 一人の女子生徒が炭火を片づけようとしたら、まだわずかに火が残ったままの炭の一部が弾けてコッペリアの方へ飛んで行った。


「あっ!!」


「はい~?」


 コッペリアは女子生徒の短い叫びに反応して、振り返ろうとして、顔に炭が当たる……。


「伏せろ!!」


 俺は素早くコッペリアの身体に覆いかぶさった。


「大丈夫わん?!」


 コッペリアの頬にわずかな火傷が出来ている。
 寮母さんが慌てて傷口を確かめる。


「火傷は浅くてわずかだね……これなら跡にならないさ。……私の管理責任だ、申し訳ない」


「い、いえいえ~。大した事ないので~。メガネ君ありがとう~」


 炭を飛ばした女子生徒がぺこぺこと頭を下げて謝った。


「すみません、すみません……」


 俺はため息をついた。


「気を付けてくれ、直撃だったら傷が残るところだった。あいつの忠告がなかったら反応出来なかったな……」


 謝っている生徒の友人らしい女子たちが噂話をし始めた。


「やっぱ呪いじゃね?」


「レオティアが言ったからこの事故が起きたって考えられるんじゃ……?」


「そうそう、前も校庭であの子が事故を予言したら、言われた子が怪我したことあって~」


 俺はその女子たちに声をかける。


「レオティアのせいだと断言できる根拠があるのか?」


「い、いえ、ないですけど噂で~~」


 女子たちは散り散りになって逃げていった。


「……レオティア、人間嫌いとか言いながら、わざわざ忠告してくれたのか。でも、なんで一時間先のことがわかった……? ウルティア、何か知ってるのか?」


「それは、あいつに直接聞けわん」


 なにか……難しい事情がありそうだな。

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