【完結】蟻ばっかり見てないで、僕を見てっ!

大竹あやめ

文字の大きさ
19 / 24

19※

しおりを挟む
「し、秀くん……っ?」

 冬哉はまさか秀がいきなりこんな行動に出るとは思わず、驚いて彼を見る。

「ね、本当に、初めてなの?」

「……冬哉は?」

 秀はやっぱり答えない。逆に質問されてしまって、ずるいよ、と口を尖らせた。

「秀くんが答えたら答える」

「………………初めてだ」

 秀は少し長い間を置いて答える。答えたくなかったのが今の間で分かり、嫌だと思っている事はしない人なんだと分かると、先程秀のズボンに手をかけようとした時も、かわされた事を思い出した。どうやら色事での、秀自身の話は苦手らしい。

「冬哉は?」

秀はもう一度聞いてくる。考え事をしていた事に気付き、冬哉も苦笑した。

「僕も……初めてだよ」

「……………………そうか」

 そう言って、秀は冬哉に軽く口付ける。今の間は何だろう? と思っていると、冬哉、と呼ばれた。

「……今日は、止めにしないか?」

「えっ? ………………はあぁぁぁ!?」

 冬哉は飛び起きる。ここまできてそれはないよと思って、秀の頬を両手で挟んだ。それでもやっぱり眉ひとつ動かさない秀の目は、じっと冬哉を見つめている。

「僕たち、今日誕生日だよね?」

「うん」

「じゃあ、特別な事したいよね?」

「……うん」

「秀くんへのプレゼント、今からあげる。僕を秀くんのものにして」

 半分睨むようにして冬哉は言った。こんなセリフ、この状況じゃなければとてもじゃないけど言えない。

「僕がしたいならって言うならできるでしよ? まさか萎えちゃったとか?」

「…………いや」

 服で隠れて見えないけれど、萎えてはいない事を知ると、冬哉は照れてしまった。じゃあ良いよね、と冬哉は潔く下着ごとズボンを脱いだ。ムードもへったくれもない状況に冬哉は内心肩を落としたが、相手は秀だ、仕方がない。

「……冬哉、身体が冷える」

「秀くんが温めて」

 ほら脱いで、と冬哉は秀のズボンに手をかけた。観念したのか、秀はそのまま動かずされるがまま、ズボンと下着を脱ぐ。すると秀はさりげなく長めのトップスで前を隠し、冬哉に局部を見せない事に成功した。

「……恥ずかしいの?」

「……それもある」

 それも? と冬哉は聞く。他にどんな理由があるのか、と尋ねると、冬哉を大事にしたい、と返ってきた。それは嬉しいけれど、と思っていると、頭を撫でられ再び押し倒された。

 今度は驚かなかった冬哉。真っ直ぐ見てくる秀の瞳を見つめていたら、もしかして、と勘が働いてしまい赤面する。

「……もしかして……さ、触り合いっこじゃ、やだとか言う……?」

 さすがに直接口にする事はできず、遠回しな言い方をすると、秀は、うん、と頷いた。冬哉は更に顔が熱くなり、秀の顔を見られなくなる。

 しかし冬哉がしたいならと言う秀だ、その彼がここまで主張するのは珍しい。

(できれば叶えてあげたいけど……)

 何せキスすら初めてだったのだ、それ以上の知識は少しは知っているものの、やはり身構えてしまう。

「秀くん? あの、……やっぱり僕、それはちょっと怖くて……」

「……そうか」

 申し訳ないと思いながらも本音を言うと、彼は納得してくれたようだ。ごめんねと謝ると、頭を撫でられた。どうやらちゃんと話した事が嬉しかったらしい。

 秀の顔が近付いてくる。濡れた音を響かせ何度も唇を吸われると、力を失っていた冬哉の中心も、再び熱くなっていった。

 目を閉じてふわふわする快感に身を委ねていると、冬哉の分身に熱い何かが触れる。冬哉より熱く、硬いそれは、冬哉の分身にピタリと沿い、秀が冬哉の片足の膝裏を掬って上げた。それと同時に秀は更に身体を近付け、互いの怒張を大きな手でまとめて握る。

「……っ!」

 この体勢では、まるで本当にしているみたいだ、と冬哉は身震いする。秀は身体を起こし、ゆっくり腰を動かした。

「……っあ!」

 ビクン、と冬哉は背中を反らす。秀の熱いもので自身を擦られ、視界には腰を振る秀がいる。しかも秀の手は動きに合わせて動かしていて、こんなにも卑猥な事をするなんて、とゾクゾクした。

「秀くん、ホントに初めて……っ!?」

 こんなの、こんなえっちなの恥ずかしいよぅ、と冬哉は涙目になった顔を隠す。その間にも秀の動きは少し早まり、体勢も相まって本当に繋がっているかのようだ。気持ちいいのと恥ずかしいので混乱して、本当にぐすぐすと泣いてしまう。

「いやっ、秀くん出ちゃうっ、出ちゃうからぁ……!」

 すると秀は足を抱えていた手を離して、冬哉の顔を隠している腕を退けた。どうして、と冬哉は秀を見ると、前髪からチラリと見えた秀の欲情の乗った瞳とぶつかる。

 あの秀が、自分を見て興奮している。普段顔色一つ変えない秀が、うっすら耳を赤くして、息を乱している……そう思った瞬間、冬哉はどうしようもなく胸がきゅっとなって、それが甘い痺れとなって腰が震えた。

 そして一際大きく仰け反ると、白濁したものが胸やお腹に落ちてくる。

「あ、ああ……っ」

 はぁはぁと荒い息をしながら肩を震わせていると、その唇に軽くキスされた。力尽きてぐったりしていると、冬哉、と声がかかり、まだ萎えきっていない分身を再び扱かれる。

「んッ! ちょっと……っ!」

 敏感になっているそこには、秀の与える刺激は強すぎて、冬哉は思わず彼の手を取った。

 そして、彼の足の間に付いた、男なら誰でも付いているモノを見てしまう。それは見るからに凶暴そうな存在感で、冬哉の全力を出しても敵わないほど、圧倒的だった。

(せ、背が高いから、比例してソコも大きいのかな……っ!? ってか、コレを入れようとしてたの!?)

「冬哉、俺はまだだ……」

 秀はさすがに余裕が無い様子で、冬哉の手を取って、熱く滾った彼の肉棒へと持っていく。誘われるままそっとそこを握ると、秀は短く息を吐き、目を伏せた。

 握ってしまった、と冬哉はドキドキする。自分のとは違う性器に触れたのはもちろん初めてなので、戸惑いと緊張の方が大きい。

 すると秀は冬哉の手の上から自らも握り、上下に動かした。冬哉は半身を起こしてその様子を見ていて、何故か自分も、再び身体に火がつくのを感じる。

 秀は前髪の奥の目をうっすら開け、冬哉を見つめた。唇も軽く開け、小さく早い呼吸を繰り返している。耳が完全に赤く染まり、時折何かに耐えるように目を閉じる姿はとても扇情的で、冬哉はそれを見ているだけでゾクゾクした。

「秀くん、すごくえっちな顔……気持ちいい?」

「うん……」

 冬哉はくすくすと笑う。他の人とではこんな事までできなかったのに、どうして秀なら良いと思うのだろう? と不思議に思った。

「冬哉……」

 静かに息を弾ませる秀が、冬哉を呼ぶ。ん? と顔を覗くと、彼は短く息を吐いて息を詰めた。

「あっ……」

 冬哉は思わず声を上げる。秀のいきり立ったモノの先端から白濁したものが飛び出し、冬哉の胸を汚す。その熱さに冬哉は肩を震わせ、自分が出したものと混ざって、何とも言えない羞恥心が湧き上がった。

「……ありがとう」

 まだ弾んだ息で秀は呟くと、冬哉に軽くキスをした。冬哉も好き、とキスのお返しをすると、胸の中がじわりと熱くなる。

「……秀くん、僕のこと……好き?」

「好き」

 やっと聞けた質問に秀は即答してくれた。冬哉は微笑むと、秀は頭を優しく撫でた。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

竜神様の番

田舎
BL
いつかX内で呟いた、 『えーん、えーん…💦 竜人の攻めが長いこと探してた番の人間くんを探して(半強制的)に結婚したのに、ツンデレどころかクーデレが過ぎてたせいで、ある日人間くんが「離縁します」と置き手紙残して失踪…! 後悔とブチギレしてる話がなきゃ掃除と洗濯できない😭😭』 という自分の愚痴から始まったツイノベもどきを、再構成と校正しました。 「番」とは何かも知らされず、 選択肢すら与えられなかった人間リオと、 大切にしている“つもり”だった竜人のナガレ。 ちゃんとハッピーエンドです。

処理中です...