ジリ貧迷宮主が教える──ハーレムダンジョンの作り方

RYOMA

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ダンジョンウォー

ウィルオウィスプ

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言霊宝玉からの報告を聞いて、紋次郎は固まっていた。
「アラクネが殺られた・・・」
リリスが今回の戦いにと召喚してくれた眷属である彼女には、召喚された時に会っていた。
「彼女はよくやってくれたよ、かなりの時間を稼いでくれた」
「生き返らせられるんだよね?」
「リリスなら蘇生できるみたいだから安心していいよ」
「そうか、よかった。それで戦況はどうなってるのかな」
「敵の残りのダンジョンは5つだね、もう少しでデナトスのパーティーが攻略が終わるみたいだから後4つ、1パーティーで1つ攻略すればこちらの勝ちだから悪くないと思うよ、ただ・・・それまでリュヴァとグワドンに耐えてもらう必要があるけどね」
幼いリュヴァに負担をかけるのは忍びない、だけど彼女の力に期待するしかないこの状況に、紋次郎は自分の不甲斐なさを痛感していた。しかし、今やれるのは敵のダンジョンを少しでも早く攻略することだけである。


「メイル、プロテクションをかけてくれ!」
「わかったよ、任せて」
「デナトス、援護を頼む!」
「了解よ」

プロテクションで守りを固めたミュラーナは敵の集団に突入する。デナトスは攻撃魔法でそれを援護した。魔波動の力で大幅にアップした攻撃力とスピードで、敵を圧倒するミュラーナ。

「あらかた片付いたわね」
「そうだな、後はボスだけかな」
「ちょっと待って・・何か変な感じがする・・・」
メイルは何かの気配を感じたのか、周りをキョロキョロ見渡す。広い空間の異変に、ランティークの冒険者の一人である、重騎士のバルトが気がついた。
「見てください、あそこに変な空間の歪みがあります」

「何あれ・・・」
空気の歪みがある場所から何やら幾つもの発光体が生み出されてくる。大量に出てくるその物体は、空一面に広がり、その光は周りを異様な光源で照らし出していた。

「ウィルオウィスプ・・・なんて数だよ・・」
1体でも並の冒険者では脅威となるその発光体。それが今空中に何百と浮遊していた。発光体同士にしか分からない合図があったのか、楔を切ったように一斉に攻撃してきた。メイルは急いで防御フィールドを展開する。メイルを中心に、青紫の魔法の障壁が現れる。

「みんな! この中に入って!」
メイルの声に従い、パーティーのメンバーが次々とそこへ飛び込んできた。しかし、ランティークの冒険者の二人が逃げ遅れる。発光体から稲光が走り、その冒険者たちに直撃する。何十という攻撃を受けて、炭のように変色して動かなくなる。

「くっ、間に合わなかったか・・・」
ダンジョンウォー中はルール上、蘇生は出来ない。ただでさえ人数の少ない紋次郎側にとっては、痛い犠牲であった。

メイルのフィールドとウィルオウィスプがぶつかり、激しい火花が散る。数百の発光体が次々に休みなくぶつかってくる。それを障壁が弾きはするが、ぶつかるたびにその力が弱まってくるのがわかる。

「メイル、どれくらい持ちそう?」
「3分くらいだと思う」

「ミュラーナ、あなたの魔波動は、エレメンタル生命体にも有効?」
「もちろん! 万能が売りだからね、なんでもござれだよ」
「では、私がとっておきの魔法を使ってウィルオウィスプの大半を殲滅するわ。でもこれを使うと魔力が枯渇してしばらく役に立たなくなるので、残りの敵をお願いします」
デナトスはそう言うと、長い詠唱に入った。それは彼女の使う魔法では最強の威力を誇るものであった。全ての魔力を絞り出す、本来では使うことの出来ない高レベル、高魔力の攻撃魔法である為に、一時的に己の魔力を暴走させて爆発させる。それは体にも心にも負担のかかる諸刃の剣であった。

「アイシクル・ビックバン!!」

ウィルオウィスプの群れの中心に、白い光の球体が現れる、それが膨らんでいき、一気に弾ける。強烈な冷気と、大地を震わすほどの爆風が巻き起こる。その魔法に巻き込まれたウィルオウィスプが凍りつきながら粉々に粉砕される。

その攻撃で約八割ほどのウィルオウィスプを破壊した。しかし、デナトスは全ての力を使いきり、その場に崩れ落ちる。

メイルのフィールドがもう切れそうなのを見て、ミュラーナがバルトたちに声をかける。
「お前たち、デナトスとメイルを守れ!」
そう言って自分は魔波動を発動して、ウィルオウィスプの群れに突っ込んでいく。 

ミュラーナは自ら旋風となり、残ったウィルオウィスプを次々と撃破していく。通常の武器では触れることも出来ないエレメンタル生命体の体を、魔波動の力を秘めた双子鬼は、果物を切るかのように両断していく。

デナトスとメイルを守るバルトたちが数体倒したが、残りは全てミュラーナが片付けた。このダンジョンのボスが大量のウィルオウィスプというのは予想外であったがなんとか攻略できた。しかし、思ったより時間がかかってしまったので、急ぎ次のダンジョンへと向かうのであった。
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