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ダンジョンウォー
難攻不落
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紋次郎たちは敵の残された最後のダンジョンを進んでいた。一階層から強敵であるバジリスクなどが配置されていて、難易度が高いことが伺える。しかし、そんな強敵たちも、リンスと紋次郎の活躍、クロノスたちの奮闘、そしてアスターシアの支援のおかげで、それほど苦労することもなく、先に進んでいた。
「・・ちょっと止まってください・・」
リンスが何かの気配に気がつき、進行を止める。
「どうしたの?」
「この先ですが・・すごく嫌な気配がします」
それを聞いてたアスターシアも、リンスのその話に同調する。
「これは悪魔の気ですわね」
「え、リリスと同族ってこと、それじゃあルール違反じゃないの?」
「残念ながら、亜人じゃなければ、悪魔でも問題ないです」
「そうなんだ」
危険を認識していはいるけど、ダンジョンを攻略しなければいけないので、慎重に先を進んでいく。
それは唐突に現れ、絶望とも言える一撃を放ってきた。凄まじい黒い嵐が紋次郎たちを襲う。アスターシアがすぐに防御魔法を唱える。
「パーフェクト・フィールド!」
アスターシアの展開したフィールドに、謎の敵の攻撃がぶつかる。地鳴りのするような衝撃がそのあたりの空気を破滅的に揺らす。おそらく、アスターシアの防御魔法が、後少しでも遅ければ、致命的なダメージを紋次郎たちは受けていただろう。
攻撃を放った敵に対して、リンスが攻撃魔法で反撃する。
「アゾルティ・レーザー!」
黄色い光の線が、その敵に向かって一直線で伸びていく。貫通力の高いその光の魔法は、通常であれば光を屈折させるシールドなどで防ぐのがセオリーであった。しかし、その敵は何事もなかったようにその光の線を手のひらで受ける。そしてその手を握りこむと、光はその拳に握り締められるように消滅する。その行為は常識の範囲を超えていた。異様なその存在に、リンスやクロノスたちだけではなく、あのアスターシアも言葉を失っていた。
「あれは何? 通常のモンスターとは何か違う・・・・」
「わかりませんわ、ただ、一つだけ言えるのは、あれは悪魔なんかじゃないってことですわね」
その得体の知れない敵から、二撃目の攻撃が放たれた。それは数え切れないほどの炎の玉の大群であった。一つの炎の玉が、上級冒険者の使う、ファイアーボールほどの威力があるそれが、数えることが困難なほどの数、紋次郎たちに襲いかかる。アスターシアのパーフェクト・フィールドはあらゆる攻撃に対抗できる防御魔法であるが、持続時間が短く、展開から十秒ほどしか持たない。しかも一度使用すると、しばらく使うことができない弱点を持っていた。その為に、敵のその驚異的な攻撃に対して、アスターシアは完璧ではない手段で対応するしかなかった。
「サード・インパクト!!」
無数の追撃用のレーザーミサイルがアスターシアの周りに出現する。それは一斉に空に飛立ち、炎の玉を撃墜していく。だが、全てが命中するわけでもなく、炎の玉のほうがレーザーミサイルより数が多いこともあり。多くの炎の玉が紋次郎たちの元へ到達する。クロノスの仲間の二人が、その直撃を受け、体の一部を溶かして倒れていく。リンスとアスターシアはさすがに目視でそれを回避する。紋次郎も先読みのスキルを使用しているのか、ぎこちないながらもその攻撃を回避する。
「紋次郎、クロノス! 支援するから突っ込むですわ!」
「わかった」「はい!」
「マスター・ブースト!」
最強の支援魔法であるヒロイック・ブーストは単体強化で、しかも使用制限がある為に、アスターシアは、複数強化で、使用制限のない達人強化《マスター・ブースト》を使用した。これでも普通では考えられないような強力な能力アップの効果があり、その力は脅威である。
強力に能力がアップされた、クロノスと紋次郎は、敵との距離をものすごい速さで縮めていく。最初の一撃を放ったのはクロノスであった。愛用のパルチザンを鋭く回転させながら一直線に敵に向かって突き抜く。
「熾烈旋転突き!」
強烈な殺傷能力があるその槍技に、敵は臆すこともなく、軽く振り払うような仕草でそれを跳ね返す。簡単な動作のように見えたが、クロノスはそれによって10mほど吹き飛ばされる。
目の前でクロノスが吹き飛ばされるのを見て、紋次郎は少しひるんだ、その隙を突かれて、同じように紋次郎も吹き飛ばされる。
「あれは強敵ですわね・・」
アスターシアは静かにそう呟く。妖精王にしてそう言わしめるその敵は、今まで、紋次郎の前に現れた者の中で、おそらく一番の強敵であるに違いなかった。
そして、紋次郎たちにとっては、さらに不幸な現実が訪れる。その強敵と同じ姿形の存在が、その後方から、二つも現れたからである。
「・・ちょっと止まってください・・」
リンスが何かの気配に気がつき、進行を止める。
「どうしたの?」
「この先ですが・・すごく嫌な気配がします」
それを聞いてたアスターシアも、リンスのその話に同調する。
「これは悪魔の気ですわね」
「え、リリスと同族ってこと、それじゃあルール違反じゃないの?」
「残念ながら、亜人じゃなければ、悪魔でも問題ないです」
「そうなんだ」
危険を認識していはいるけど、ダンジョンを攻略しなければいけないので、慎重に先を進んでいく。
それは唐突に現れ、絶望とも言える一撃を放ってきた。凄まじい黒い嵐が紋次郎たちを襲う。アスターシアがすぐに防御魔法を唱える。
「パーフェクト・フィールド!」
アスターシアの展開したフィールドに、謎の敵の攻撃がぶつかる。地鳴りのするような衝撃がそのあたりの空気を破滅的に揺らす。おそらく、アスターシアの防御魔法が、後少しでも遅ければ、致命的なダメージを紋次郎たちは受けていただろう。
攻撃を放った敵に対して、リンスが攻撃魔法で反撃する。
「アゾルティ・レーザー!」
黄色い光の線が、その敵に向かって一直線で伸びていく。貫通力の高いその光の魔法は、通常であれば光を屈折させるシールドなどで防ぐのがセオリーであった。しかし、その敵は何事もなかったようにその光の線を手のひらで受ける。そしてその手を握りこむと、光はその拳に握り締められるように消滅する。その行為は常識の範囲を超えていた。異様なその存在に、リンスやクロノスたちだけではなく、あのアスターシアも言葉を失っていた。
「あれは何? 通常のモンスターとは何か違う・・・・」
「わかりませんわ、ただ、一つだけ言えるのは、あれは悪魔なんかじゃないってことですわね」
その得体の知れない敵から、二撃目の攻撃が放たれた。それは数え切れないほどの炎の玉の大群であった。一つの炎の玉が、上級冒険者の使う、ファイアーボールほどの威力があるそれが、数えることが困難なほどの数、紋次郎たちに襲いかかる。アスターシアのパーフェクト・フィールドはあらゆる攻撃に対抗できる防御魔法であるが、持続時間が短く、展開から十秒ほどしか持たない。しかも一度使用すると、しばらく使うことができない弱点を持っていた。その為に、敵のその驚異的な攻撃に対して、アスターシアは完璧ではない手段で対応するしかなかった。
「サード・インパクト!!」
無数の追撃用のレーザーミサイルがアスターシアの周りに出現する。それは一斉に空に飛立ち、炎の玉を撃墜していく。だが、全てが命中するわけでもなく、炎の玉のほうがレーザーミサイルより数が多いこともあり。多くの炎の玉が紋次郎たちの元へ到達する。クロノスの仲間の二人が、その直撃を受け、体の一部を溶かして倒れていく。リンスとアスターシアはさすがに目視でそれを回避する。紋次郎も先読みのスキルを使用しているのか、ぎこちないながらもその攻撃を回避する。
「紋次郎、クロノス! 支援するから突っ込むですわ!」
「わかった」「はい!」
「マスター・ブースト!」
最強の支援魔法であるヒロイック・ブーストは単体強化で、しかも使用制限がある為に、アスターシアは、複数強化で、使用制限のない達人強化《マスター・ブースト》を使用した。これでも普通では考えられないような強力な能力アップの効果があり、その力は脅威である。
強力に能力がアップされた、クロノスと紋次郎は、敵との距離をものすごい速さで縮めていく。最初の一撃を放ったのはクロノスであった。愛用のパルチザンを鋭く回転させながら一直線に敵に向かって突き抜く。
「熾烈旋転突き!」
強烈な殺傷能力があるその槍技に、敵は臆すこともなく、軽く振り払うような仕草でそれを跳ね返す。簡単な動作のように見えたが、クロノスはそれによって10mほど吹き飛ばされる。
目の前でクロノスが吹き飛ばされるのを見て、紋次郎は少しひるんだ、その隙を突かれて、同じように紋次郎も吹き飛ばされる。
「あれは強敵ですわね・・」
アスターシアは静かにそう呟く。妖精王にしてそう言わしめるその敵は、今まで、紋次郎の前に現れた者の中で、おそらく一番の強敵であるに違いなかった。
そして、紋次郎たちにとっては、さらに不幸な現実が訪れる。その強敵と同じ姿形の存在が、その後方から、二つも現れたからである。
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