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選手として
【07-04】
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昼食。
模擬戦を終えた僕たちは一階の食堂で昼食を食べていた。
エントランスを通る時に記者に人たちによる襲撃があったが朝と同様に上手く回避したため大きな問題にはならなかった。
「瑠太君も思った以上に動けてたと思うよ」
今の話題はもちろん先程まで行われていた模擬戦。
すでに昼食は手元にあり、今は飲み物を待っているところだ。昨日と違って食堂にいるスタッフの人が多い気がする。というか、多い。飲み物に関しても僕たちが席に着くとエプロンをつけた人が「何飲みますか?」と聞きに来て、希望を言うと「用意します」と言ってドリンクサーバーの方へ行ってしまったのだ。
僕は昨日と違う状況に少し戸惑ったが、そんなことがありながらもカズさんたちは気にせず話しを続けていた。
話されることは主に僕の動きについて。
カズさんは僕の動きが思いの外良かったと言ってくれた。僕からすればなんの慰めにはならないが頑張って笑みを浮かべておいた。
「そうですね。思いの外、よかったですね」
矢澤コーチも追随した。思いの外という部分を強調しているように聞こえた。本当に良かったのだろうか。避けることも防ぐこともできず戦いにすらならなかったのに。
「私からすると全部和道の一撃で終わっていたようにしかみえなかったが……」
「そうでもないよ。結果だけ見れば全部同じだったけど、過程は違っていたよ。色々な方法でで僕の攻撃を止めようとしていたし、僕の動きに反応してなかったわけではないからね」
「そうだったのか。全くわからなかったが」
「モニター越しでは分かりづらかったかもしれませんね。私もモニターだけではそう思ったかもしれません」
そう言って矢澤コーチがタブレットを取り出した。美樹さんは僕よりの考えみたいだ。
「実は、さっきまでの模擬戦はゲーム内のレベルのままでやっていたものなんだ」
矢澤コーチが僕に向かって続けた。
「だからこの結果はある意味当然のものなんだよ。ごめんね」
僕はいきなり謝られたが、その意味がわからなかったのでとりあえず笑って頷いた。
「午後からはレベルを合わせての模擬戦になるからもう少し戦いになると思いますよ」
矢澤コーチが僕から美樹さんの方を向き直して言った。
僕としてはそうして貰わないと延々と一刀両断され続けることになるので嬉しい報告だった。
「そうか。なら、楽しみだな」
美樹さんは矢澤コーチに頷いて食事を再開した。
僕も残っていたご飯を口に入れて水で流しこんだ。
-------
昼食は滞りなく進み何事もなく終了した。途中、食事中にエントランスの方が騒がしくなったことはあったが別に関係ないことだ。僕以外もそれについて何か触れることはなかった。食べ終わった四人は食休みとして話を続けていた。話の内容は模擬戦から今年の選手の事に移っていた。
「それにしても今年は隊長さんが参加できないとはねー」
「そうですね。これに関しれはどうしようもないこともありますがスタッフからすれば大事件ですよ」
「ははは。それにしても妊娠とはね」
聞くところによると、『隊長』と呼ばれているプレイヤーが現実《リアル》で妊娠してしまったため、今年の選手選抜を辞退したらしい。呼ばれ方と話の内容からするとそのプレイヤーはチーム内で重要な役割を持っていたので参加ができない今年はその穴をどうやってカバーするかが大きな問題、とのことだ。
僕はその話をただ聞いていた。隊長と呼ばれている選手がどんな選手なのか知らないので話がわからないのだ。
食休みの間、矢澤コーチの今年の選手の事情を聞いた僕たちは食後30分を過ぎた辺りでようやく訓練室に戻ることになった。
最後に方は、内心、合宿という割にはのんびりしているので少し不安になったのだが二人が三人が話している横から口を出すこともできず僕は黙っていた。
食堂からの帰り道、例によって記者の嵐が吹き荒れるかと思いきや、そんなことはなかった。エントランスにいる記者の人も少なくなっていた。なにかあったのだろうか。
人波に揉まれることも覚悟していた僕は安堵しそんなことを考えているとカズさんが話しかけられた。
僕の目からは、その人物が朝から見ている記者の人とは違った雰囲気を持っているように見えた。そんな僕の直感も間違っていなかったのかカズさんもその人物と挨拶を交わしていた。
挨拶だけだったのかすぐに声をかけてきた人は食堂の方に行ってしまった。その後は、何事もなく訓練室に到着する。
訓練室にに入れば、再び口調を正した矢澤コーチの説明が始まる。やることは先と同じ。 模擬戦をすること。違うのはレベルの統一とステージのランダム変化だと言う。レベルの調整は矢澤コーチの方でうまくやってくれるようで違和感はほとんど出ないだろうと言っていた。ステージに関しては、実際の大会も複数のステージが存在するからだそうだ。
僕からは特に異論のある内容ではない。僕にできることはただカズさんと一秒でも長く戦い続けること。そして、カズさんの練習相手としての役割を果たすこと。そして欲を出せば僕自身のスキルアップもできたらいいなと思う。一プレイヤーとしてトッププレイヤーとの戦闘はいい経験になる。午前中の戦闘ではそんなことを考えている暇はなかったが今度はどうだろうか。僕は知らずうちに胸を躍らせた。
-------
模擬戦が始まって一時間弱。僕は連敗を喫している。
試合内容としては午前のような一方的なものではないがそれでも勝てていない。薄々気づいてはいたが僕の自動防御《オートガード》は刃物に対してあまり有効ではない。カズさんのような強者からすれば蛇の体を両断することなんて容易い事だ。両断した上で本体である僕に斬りつけてくることも多いある。そうなれば、僕としては迫り来る剣を防ぐ為には剣の刃に触れないように防がなくてはならない。剣の腹や持ち手に攻撃して敵の攻撃を防ぐのは難しい。それが、一度や二度であれば僕にもできる。しかしそれ以上となれば厳しくなる。そうして防御に集中していくにつれて僕の攻撃の頻度は落ちていった。
模擬戦を終えた僕たちは一階の食堂で昼食を食べていた。
エントランスを通る時に記者に人たちによる襲撃があったが朝と同様に上手く回避したため大きな問題にはならなかった。
「瑠太君も思った以上に動けてたと思うよ」
今の話題はもちろん先程まで行われていた模擬戦。
すでに昼食は手元にあり、今は飲み物を待っているところだ。昨日と違って食堂にいるスタッフの人が多い気がする。というか、多い。飲み物に関しても僕たちが席に着くとエプロンをつけた人が「何飲みますか?」と聞きに来て、希望を言うと「用意します」と言ってドリンクサーバーの方へ行ってしまったのだ。
僕は昨日と違う状況に少し戸惑ったが、そんなことがありながらもカズさんたちは気にせず話しを続けていた。
話されることは主に僕の動きについて。
カズさんは僕の動きが思いの外良かったと言ってくれた。僕からすればなんの慰めにはならないが頑張って笑みを浮かべておいた。
「そうですね。思いの外、よかったですね」
矢澤コーチも追随した。思いの外という部分を強調しているように聞こえた。本当に良かったのだろうか。避けることも防ぐこともできず戦いにすらならなかったのに。
「私からすると全部和道の一撃で終わっていたようにしかみえなかったが……」
「そうでもないよ。結果だけ見れば全部同じだったけど、過程は違っていたよ。色々な方法でで僕の攻撃を止めようとしていたし、僕の動きに反応してなかったわけではないからね」
「そうだったのか。全くわからなかったが」
「モニター越しでは分かりづらかったかもしれませんね。私もモニターだけではそう思ったかもしれません」
そう言って矢澤コーチがタブレットを取り出した。美樹さんは僕よりの考えみたいだ。
「実は、さっきまでの模擬戦はゲーム内のレベルのままでやっていたものなんだ」
矢澤コーチが僕に向かって続けた。
「だからこの結果はある意味当然のものなんだよ。ごめんね」
僕はいきなり謝られたが、その意味がわからなかったのでとりあえず笑って頷いた。
「午後からはレベルを合わせての模擬戦になるからもう少し戦いになると思いますよ」
矢澤コーチが僕から美樹さんの方を向き直して言った。
僕としてはそうして貰わないと延々と一刀両断され続けることになるので嬉しい報告だった。
「そうか。なら、楽しみだな」
美樹さんは矢澤コーチに頷いて食事を再開した。
僕も残っていたご飯を口に入れて水で流しこんだ。
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昼食は滞りなく進み何事もなく終了した。途中、食事中にエントランスの方が騒がしくなったことはあったが別に関係ないことだ。僕以外もそれについて何か触れることはなかった。食べ終わった四人は食休みとして話を続けていた。話の内容は模擬戦から今年の選手の事に移っていた。
「それにしても今年は隊長さんが参加できないとはねー」
「そうですね。これに関しれはどうしようもないこともありますがスタッフからすれば大事件ですよ」
「ははは。それにしても妊娠とはね」
聞くところによると、『隊長』と呼ばれているプレイヤーが現実《リアル》で妊娠してしまったため、今年の選手選抜を辞退したらしい。呼ばれ方と話の内容からするとそのプレイヤーはチーム内で重要な役割を持っていたので参加ができない今年はその穴をどうやってカバーするかが大きな問題、とのことだ。
僕はその話をただ聞いていた。隊長と呼ばれている選手がどんな選手なのか知らないので話がわからないのだ。
食休みの間、矢澤コーチの今年の選手の事情を聞いた僕たちは食後30分を過ぎた辺りでようやく訓練室に戻ることになった。
最後に方は、内心、合宿という割にはのんびりしているので少し不安になったのだが二人が三人が話している横から口を出すこともできず僕は黙っていた。
食堂からの帰り道、例によって記者の嵐が吹き荒れるかと思いきや、そんなことはなかった。エントランスにいる記者の人も少なくなっていた。なにかあったのだろうか。
人波に揉まれることも覚悟していた僕は安堵しそんなことを考えているとカズさんが話しかけられた。
僕の目からは、その人物が朝から見ている記者の人とは違った雰囲気を持っているように見えた。そんな僕の直感も間違っていなかったのかカズさんもその人物と挨拶を交わしていた。
挨拶だけだったのかすぐに声をかけてきた人は食堂の方に行ってしまった。その後は、何事もなく訓練室に到着する。
訓練室にに入れば、再び口調を正した矢澤コーチの説明が始まる。やることは先と同じ。 模擬戦をすること。違うのはレベルの統一とステージのランダム変化だと言う。レベルの調整は矢澤コーチの方でうまくやってくれるようで違和感はほとんど出ないだろうと言っていた。ステージに関しては、実際の大会も複数のステージが存在するからだそうだ。
僕からは特に異論のある内容ではない。僕にできることはただカズさんと一秒でも長く戦い続けること。そして、カズさんの練習相手としての役割を果たすこと。そして欲を出せば僕自身のスキルアップもできたらいいなと思う。一プレイヤーとしてトッププレイヤーとの戦闘はいい経験になる。午前中の戦闘ではそんなことを考えている暇はなかったが今度はどうだろうか。僕は知らずうちに胸を躍らせた。
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模擬戦が始まって一時間弱。僕は連敗を喫している。
試合内容としては午前のような一方的なものではないがそれでも勝てていない。薄々気づいてはいたが僕の自動防御《オートガード》は刃物に対してあまり有効ではない。カズさんのような強者からすれば蛇の体を両断することなんて容易い事だ。両断した上で本体である僕に斬りつけてくることも多いある。そうなれば、僕としては迫り来る剣を防ぐ為には剣の刃に触れないように防がなくてはならない。剣の腹や持ち手に攻撃して敵の攻撃を防ぐのは難しい。それが、一度や二度であれば僕にもできる。しかしそれ以上となれば厳しくなる。そうして防御に集中していくにつれて僕の攻撃の頻度は落ちていった。
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