甘ったれ第四王子、異世界に夢を馳せるが…

木野 章

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翠蓮様からのお誘い

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『ナギ様へ

桜も散り、庭園は今藤の花で埋め尽くされております。藤の花は枝垂れて私達を覆い隠してくれて、ナギ様と二人でこの中に隠れてしまいたくなりますね。
桜の木に纏わる言葉、風流で私も好んでおります。ナギ様は美しく儚くて桜に攫われてしまいそうですから、私が先に攫ってしまわなくてはなりませんね。

イッセ王国の紅茶、多種多様な茶葉がある様ですね。便箋の香りも大変香ばしくてずっと肌に付けていたくなる香りでした。
良ければ今度、私の庭園でお茶をしませんか。春が終わる前にもう一度貴方にお会いしたいのです。

凪という字は我々廻凪国の民にとってとても大切な文字です。その文字とナギ様のお名前が似通っているのは、運命かも知れませんね。とても嬉しく思います。

もっと書き連ねたい事は御座いますが、残りは対面でお会いした時のお楽しみにしようと思います。

それでは、お元気で。

翠蓮 より』


「はわわぁ…………」

「な、なんて風流な御方なのでしょう!!!」

「ちょっと!!盗み見しないでよムース!」

「ひゃっ!?あ、も、申し訳御座いませんナギ様!!」

便箋を震える手で持ちながら、ムースと二人で頬を染めてベンチで悶えてしまった

か、隠してしまいたいだなんて小説の告白シーンでしか見たことないよぉ…!
俺一応男なのに、女の子みたいにキュンキュンしてるのも複雑だし……っ!


「と言うかナギ様!!お茶会のお誘いじゃないですか!!直ぐにお返事して日程を決めなくてはですよ!!!!」

「あ、そ、そうだよね、ムース!俺直ぐに部屋戻る!新しい便箋用意しなきゃ…!」

「任せてくださいナギ様、上質かつ流行も捉えた柄の便箋をご用意致しますね!」

「ありがとう、あぁ~どうしよう、どうお返事かこう……」


ムースが横で飛び跳ねながら便箋の柄を一生懸命考えてくれているのを見つつ、早歩きで部屋に戻る


「やっぱり無しって思われないように、素敵なお返事書かなきゃ…!!」

翠蓮様に会えるのは勿論の事だし
なんてったって、あの閉鎖的な廻凪国に入ることが出来るんでしょ!?
絶対に行かなきゃ!!


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