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Prologue-プロローグ-
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不穏な空気の漂う殺風景な部屋の中に、4人の女性がまばらに立っていた。
「それでは、始めるとするかのぉ…」
他の3人とは少し離れた所に半ば座っているような格好の壮大な雰囲気を出している黄金の防具を纏った女性が切りだし、周りの3人はそれに頷く。そんな彼女達は全員、頭に2本の巨大な龍の角を模した装飾品をつけている。
傍目から見れば師匠と弟子のような4人は、円状に等しく立って聴き慣れないような言葉で詠唱を始める。すると突然彼女達の足元にいきなり線が走り、それは一つの円を作りだす。そしてそれを確認すると、4人は声を揃えて新たな詠唱を開始する。
「「「「継界召龍陣 『幻』!」」」」
最初の一節を唱えると、円の内に一筋の曲線が浮かびあがり、彼女達の詠唱が進んでいくたびにそれらは複雑な文様を描きだす。それと同時に、妖しげな瘴気が円から漏れ出して部屋をあっという間に覆っていく。
この4人の正体は、いわゆる『龍喚士』と呼ばれし存在…彼女達は龍との絆が強く、呼び出して共に戦うことの出来る稀有な者達である。そしてそれは-今、彼女達が描きだしている魔法陣-は、かつて世界を闇へと染めかけた龍を呼び出す為の門であった…勿論、それは使おうなら命の保証は出来ないレベルの禁呪であるが、まるで大好きな歌を歌っているかのように彼女達の詠唱は何処か軽やかである。
「始まりを司りし『零』の名前を冠せし龍よ」と紅き鎧を身につけている紫髪の龍喚士が声高らかに紡ぎ、
「終わりを告げし『零』の名前を冠せし龍よ」と翠の鎧が褐色の肌と対照的な銀髪の龍喚士のハスキーな声が響き、
「ゼツボウを招きし滅びのコクリュウよ」と蒼い鎧の金髪の龍喚士が片言混じりの中性的な声で繋げる。
「我が名は龍と共にありし者…『ソニア』!我が命に従い、この世界に再び破滅と災厄を呼び起こせ!」3つの祝詞を纏め上げるかのように威風堂々とした声でソニア、と名乗った龍喚士が最後の一節を詠みあげると、彼女達の詠唱毎に輝いていた魔法陣の煌めきが一層増し、その煌めきが収束した後に一体の龍の姿がそこにはあった。
禍々しい気配を出しているそれの身体は鈍い鋼色の鱗に覆われており、未発達の翼とは対照的に頭の双角は顔の大きさを凌駕しそうな程にまで成長している。そんな悍ましい姿の龍を彼女達の虚ろなオッドアイが見つめている…と、
「…封印されている間に、幼体にまで戻ってしまいましたか…」突然に、4人と1体しかいない空間に誰のものでもない声が響きわたる。その声が契機となったかのように、魔法陣があった中心地にいる黒龍が目を覚ます気配があった。
「グラ、ガァァァァァア!!」
欠伸、ともとれそうな黒龍の目覚めの咆哮が部屋を揺らすと共に、その身体から今まで以上に濃密な瘴気が噴きだしていき、いつの間にか一体だけ取り残された物悲しい空間を黒く黒く染めていって、それは徐々に外へと漏れ出していく…そして、神話は崩壊の途を歩みだしたのである……。
「それでは、始めるとするかのぉ…」
他の3人とは少し離れた所に半ば座っているような格好の壮大な雰囲気を出している黄金の防具を纏った女性が切りだし、周りの3人はそれに頷く。そんな彼女達は全員、頭に2本の巨大な龍の角を模した装飾品をつけている。
傍目から見れば師匠と弟子のような4人は、円状に等しく立って聴き慣れないような言葉で詠唱を始める。すると突然彼女達の足元にいきなり線が走り、それは一つの円を作りだす。そしてそれを確認すると、4人は声を揃えて新たな詠唱を開始する。
「「「「継界召龍陣 『幻』!」」」」
最初の一節を唱えると、円の内に一筋の曲線が浮かびあがり、彼女達の詠唱が進んでいくたびにそれらは複雑な文様を描きだす。それと同時に、妖しげな瘴気が円から漏れ出して部屋をあっという間に覆っていく。
この4人の正体は、いわゆる『龍喚士』と呼ばれし存在…彼女達は龍との絆が強く、呼び出して共に戦うことの出来る稀有な者達である。そしてそれは-今、彼女達が描きだしている魔法陣-は、かつて世界を闇へと染めかけた龍を呼び出す為の門であった…勿論、それは使おうなら命の保証は出来ないレベルの禁呪であるが、まるで大好きな歌を歌っているかのように彼女達の詠唱は何処か軽やかである。
「始まりを司りし『零』の名前を冠せし龍よ」と紅き鎧を身につけている紫髪の龍喚士が声高らかに紡ぎ、
「終わりを告げし『零』の名前を冠せし龍よ」と翠の鎧が褐色の肌と対照的な銀髪の龍喚士のハスキーな声が響き、
「ゼツボウを招きし滅びのコクリュウよ」と蒼い鎧の金髪の龍喚士が片言混じりの中性的な声で繋げる。
「我が名は龍と共にありし者…『ソニア』!我が命に従い、この世界に再び破滅と災厄を呼び起こせ!」3つの祝詞を纏め上げるかのように威風堂々とした声でソニア、と名乗った龍喚士が最後の一節を詠みあげると、彼女達の詠唱毎に輝いていた魔法陣の煌めきが一層増し、その煌めきが収束した後に一体の龍の姿がそこにはあった。
禍々しい気配を出しているそれの身体は鈍い鋼色の鱗に覆われており、未発達の翼とは対照的に頭の双角は顔の大きさを凌駕しそうな程にまで成長している。そんな悍ましい姿の龍を彼女達の虚ろなオッドアイが見つめている…と、
「…封印されている間に、幼体にまで戻ってしまいましたか…」突然に、4人と1体しかいない空間に誰のものでもない声が響きわたる。その声が契機となったかのように、魔法陣があった中心地にいる黒龍が目を覚ます気配があった。
「グラ、ガァァァァァア!!」
欠伸、ともとれそうな黒龍の目覚めの咆哮が部屋を揺らすと共に、その身体から今まで以上に濃密な瘴気が噴きだしていき、いつの間にか一体だけ取り残された物悲しい空間を黒く黒く染めていって、それは徐々に外へと漏れ出していく…そして、神話は崩壊の途を歩みだしたのである……。
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