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 第2章

第19話 噂話

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 商人のグリットさんと護衛に別れを告げ、俺達は再びヘーニル領を出るために歩き始めた。
 それから少しして、小さな町を見つけた。そこでギルドの依頼を受け、泊まる場所をどうしようか聞いてみた。
「Eランク以下の人はギルド宿舎と言うものを使えるみたいなの」
「ギルド宿舎?」
「そう、始めてお金は貰うものの宿屋に泊まるほどの物じゃないの」
「あー、確かに…」
 俺は始めてクエストを受けた時のお金を思い出した。
「だから、Eランク以下の人はギルド宿舎を使える様に作ったの」
「なるほど…だからギルド宿舎か。…そもそも、ギルド宿舎って何?」
「ギルド宿舎と言うものは町にある宿屋の事よ」
 

「アリー、さっきのグリットさんとはどういう関係なの?」
「グリット叔父さん?元々は商人だったんだけど今は貴族になったみたい。私も詳しくは知らないの…。私の母の弟なんだけど良く心配してくれてたの」
「貴族になったって…それアリーの家族も知ってるの?」
「いや、『家族は知らないから皆に言うな』って叔父さんは言ってた。」
 俺はその言葉に絶句し、そんなにアリーの家族は信用されてないんだと感じた。それにしても…さっきの人が貴族だったとは…
「それじゃ、家名は知ってる?」
「えっと…確かハンテットだって言ってた。1年前に家名を貰ったんだって」
 その言葉に
「もしかして、グリットさんがアリーに優しくしてくれた人?」
「あの家族や親せきの中では…優しくしてくれたのは叔父さんと叔母さん夫妻だけなんだ」
「そ、そうなんだ。こんなこと聞くのはいけないと思うんだけど……アリーも俺と同じ環境だったの?」
「ううん、叔父さん達は半月に1回ぐらいしか会えなかったから…」
「ごめん、俺よりひどい状況だと思わなかった」
 俺は聞いたことを後悔した。

 もうすぐヘーニル領を抜けそうだと思い、次の目的地を探しながらギルドに入った。そしたら、3人組の男達が
「おい、聞いたか?ハンテット子爵が捕まったみたいだぜ」
 えっ!?ハンテット子爵…って、まさか…アリーと顔を見合せて
「あー、あの黒い噂があった所?」
 男達の後ろの席に座って、休憩しながら…耳を傾けたら…。
「でも1年前に変わったみたいだよ」
「じゃあ、前子爵か…」
 その言葉にホッとして
「でも、新しい子爵は元々商人だったみたいだよ」
「じゃあ、内政とかはどうするんだ?」
「それであの依頼じゃないか?」
 男達は壁にあるクエストを見て指さした。
 俺達も壁を見てみたら、『ハンテット領で働いてくれる人募集中、給料は要相談』と、書いてあった。
「でもあんなクエストじゃあ、誰も受けないんじゃないか?」
「それにここから一週間はかかるんだから…」
「そもそもあれ、クエストなのか?」
「そういえば…」
 そんな話を聞きながら、席をたって前にいる人達の所に勇気を出して聞いてみた。
「すいません、ハンテットに行くにはどうやって行けばいいですか?」
「ハンテット?」
 顔を見たら、メガネをかけた人、優しそうな人、頬から大きな傷があり顔が怖い人、皆個性的で驚いた。
「さっき、近くの席に座っていたらその話が聞こえて来たので…」
 アリーがすまなそうな顔をして
「すいません…いきなり」
「いや、いいんだけど…リーダーの顔を見たら皆引いてくから…」
と、優しそうな人が答えた。
「俺達、ハンテットに知り合いが居るんですが行き方が分からなくて…」
「あぁ、それで俺らに聞いてきたのか…」
 頬に傷があるリーダーと呼ばれている人がそう答えた。

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