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 第2章

第28話 符術の使い方

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「アリー、おはよう」
 何だかアリーに迷惑を欠けてるみたいで悪い感じがした。
「ジル様から貰った符術が書いてあるノートを出して。そしたら魔力を込めて『強』と書いて」
 そう言われ、符術が書いてあるノートを出して『強』と書いた。
「そしたら、剣の持ち手か鞘に符術を付けるの…
 。大体、みんな鞘の方に付けるよ」
「?なんで?」
「持ち手だといつか紙が切れちゃうけど、鞘の部分だと切れにくいからね」
「あー、なるほど。確かに持ち手の部分は、汗や傷で駄目になる確率が高い」
 納得しながらアリーの説明を聞いた。

「ほら…符術ってさ、魔力を必要としないから…みんな欲しいけど…。そんな簡単には買える値段じゃないからね」
「あっ…だから俺が符術を持ってる事がうらやましいと?」
 スキルを持ってる人はただで手に入るし、値段を勝手に決めて売ることが出来る。
「符術は店ではいくらで買えるの?大体の値段教えて」
「うーん、大体銀貨2枚かなぁ…。平民にはちょっときついんだよ。平民は1ヶ月の稼ぎが銀貨3枚前後だから」
「えっ!?平民ってそんなに少ないの!?」
 驚きながらアリーの反応を見ていると
「え?なんでそんな事を聞くの?」
 と、不思議そうな顔で言われ
「ほら、俺…平民になったばっかだから」
 その事をアリーに告げると
「あっ!!そうだった…。ごめんね、ランが貴族だって事を忘れてた…」
「い、いや…いいんだよ」
 おろおろしながら返事をし、微妙な空気を作ってしまった事に後悔した。
「じゃあ、話を戻して…平民は毎日の生活に使うから符術は買えないの」
「だから、豪商やお金持ちしか買えないんだ…」
「そう、だからランも符術のスキルは誰にも言わない方がいいよ。バレたら金持ちや貴族から狙われるから」
 アリーからそんな忠告を受けた。
「分かった、気を付けるよ。ジル兄上以外の家族はバカだったのかな?まぁ…そのお陰で助かったけど…」
「うーん、分からない…。珍しいスキルは調べれば分かると思うけど、聞いたことがないから外れスキルだと思っていたかも知れない」
「あー、それはあり得るかも…」
 そんな納得をしながらあることに気付き、アリーからの忠告を理解した。
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