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第4章 馬車
第58話 過去4
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マックの声は、どこか安堵したような……それでいて、少しだけ照れくさそうだった。
そんなマックを見ながら、ディーンはふっと小さくため息を吐いた。
そのとき、乗り合い馬車の下で『ガコン』と車輪が跳ねる音がして、俺たちは顔を上げた。どうやら……町に着いたらしい。
「……話の続きは、また後でね」
ディーンが静かに言うと、町の入り口から何人かの町人が乗り込んできた。乗り合い馬車はそのまま、ゆっくりと村の中央に向かって進み始める。
そして、マックが言っていた『3つ目の町』に、俺たちはとうとう到着したのだった。
町に着いたばかりの俺たちに、マックが振り返って尋ねた。
「おい、お前たちはどうするんだ? ……まあ、今日はここで泊まることになるけどな」
「ん? なんでですか?」
俺が聞き返すと、マックは肩をすくめて言った。
「ああ、俺たちはまだ動けるが……馬たちはさすがに疲れてる。これ以上の移動は厳しい」
なるほど、と俺は思った。俺たちよりはるかに重い荷車を引いて、何日もかけて移動してきたんだ。限界がきて当然だ。
「あぁ……そうですよね。わかりました」
「じゃあ、今日は一緒に泊まるか」
「そうですね」
俺とアリーは顔を見合わせて、頷き合った。
夕暮れがじわじわと町を染めていく。町の空気は少し埃っぽくて、けれどどこか安心するような温もりがあった。
俺たちは乗り合い馬車を降り、ディーンたちの後ろに続いて宿へと向かった。
ディーンがいつも使っているという宿に着くと、入口から出てきた中年の女性と目が合った。
「あら、ディーン。また泊まるの?」
「はい、今日もお願いしたいんですが……」
にこやかに応じる彼女だったが、俺たちの存在に気づいて少し目を丸くした。
「あら? 今日はいつもと違うんだね。そちらのお2人は?」
「あぁ、そうなんだ。今日はいろいろあってな……。5人で泊まれる部屋はあるか?」
あれ、なんだか俺たちの意思を聞く間もなく、話がどんどん進んでる……。
「ごめんなさいね、この宿は3人部屋までしかないのよ」
「そっか……。なら、3人部屋を一つと、2人部屋を一つ。空いてるか?」
「ええ、大丈夫よ。準備しておくわね」
「助かる」
マックがにこりともせず頷くと、俺たちは荷物を抱えて宿の中へと入っていった。
そんなマックを見ながら、ディーンはふっと小さくため息を吐いた。
そのとき、乗り合い馬車の下で『ガコン』と車輪が跳ねる音がして、俺たちは顔を上げた。どうやら……町に着いたらしい。
「……話の続きは、また後でね」
ディーンが静かに言うと、町の入り口から何人かの町人が乗り込んできた。乗り合い馬車はそのまま、ゆっくりと村の中央に向かって進み始める。
そして、マックが言っていた『3つ目の町』に、俺たちはとうとう到着したのだった。
町に着いたばかりの俺たちに、マックが振り返って尋ねた。
「おい、お前たちはどうするんだ? ……まあ、今日はここで泊まることになるけどな」
「ん? なんでですか?」
俺が聞き返すと、マックは肩をすくめて言った。
「ああ、俺たちはまだ動けるが……馬たちはさすがに疲れてる。これ以上の移動は厳しい」
なるほど、と俺は思った。俺たちよりはるかに重い荷車を引いて、何日もかけて移動してきたんだ。限界がきて当然だ。
「あぁ……そうですよね。わかりました」
「じゃあ、今日は一緒に泊まるか」
「そうですね」
俺とアリーは顔を見合わせて、頷き合った。
夕暮れがじわじわと町を染めていく。町の空気は少し埃っぽくて、けれどどこか安心するような温もりがあった。
俺たちは乗り合い馬車を降り、ディーンたちの後ろに続いて宿へと向かった。
ディーンがいつも使っているという宿に着くと、入口から出てきた中年の女性と目が合った。
「あら、ディーン。また泊まるの?」
「はい、今日もお願いしたいんですが……」
にこやかに応じる彼女だったが、俺たちの存在に気づいて少し目を丸くした。
「あら? 今日はいつもと違うんだね。そちらのお2人は?」
「あぁ、そうなんだ。今日はいろいろあってな……。5人で泊まれる部屋はあるか?」
あれ、なんだか俺たちの意思を聞く間もなく、話がどんどん進んでる……。
「ごめんなさいね、この宿は3人部屋までしかないのよ」
「そっか……。なら、3人部屋を一つと、2人部屋を一つ。空いてるか?」
「ええ、大丈夫よ。準備しておくわね」
「助かる」
マックがにこりともせず頷くと、俺たちは荷物を抱えて宿の中へと入っていった。
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