4 / 5
第4話 ネットで良さそうな物件を見つけた
しおりを挟む
俺は、田舎暮らしのための物件を探していた。
パソコンの画面に表示された、某県K市の物件の詳細を開いた。
場所は、K市の駅や中心街からかなり離れた、農村地帯だ。
土地の広さは約五百坪(1650平方メートル)あるから、ちょっとした菜園はできるな。
ゲッ、掲載されてる写真が拡大できない。
関心があるなら、現地に行ってくださいということか?
建物の写真を見る限り、外観はあまり痛んでいないようだか、但書に「古家あり」と書いてあるから、土地だけ売って「建物の取り壊しは、買主がやってね」ということか。
でも、この家、母屋に蔵に納屋と、農家の建物一式が残っているぞ。
しかも、写真で見る限り、建物が痛んでいる所が見えないから、柱や梁がしっかりしてるようだ。
俺一人で住んで、DIYで修繕すればいいか。
建物に関しては、現地で内覧させてもらってからの話だな。
俺的には、屋敷林があるのが高ポイントだ。
群馬、栃木、埼玉は冬の空っ風がキツいし、千葉は春の風がキツい。成田空港に着陸する飛行機が、横風にあおられるのは春の風物詩だ。
茨城は空っ風はそれ程強くないが、南部は山が無いから千葉同様、風が強い。
風で屋根を飛ばされると、困るからな。
トイレはポットン便所の可能性があるから、浄化槽の設置工事が必要かも知れない。
建物に関することは、実際に商談に入ってから順番に確認すればいいか。
備考欄に目を移すと、「畑と田んぼ合わせて1ヘクタール以上の農地も付けて販売可能です(農地購入費は別料金)。農業をされたい方はご相談ください」
・・・。
ネットをちょっと検索しただけで、いきなり農地付き物件にあたるとは・・・。
しかも、K市は大手ケーブルテレビ会社の対応エリアだ。
早速、購入に動きたいが、一番の難題があるんだよな。
それは、俺が年食った独身底辺だと言うことだ。
もし、30代までの若い夫婦がこの物件を見つけて、「農業をやりたい」と不動産屋を訪ねれば、地元が大歓迎してくれる事を分かっているから、不動産屋や売主はすぐ商談に入って売ってくれるだろう。
元の職業が、外資系証券会社や大手コンサルタント会社勤務で、土いじりすらしたことが無くても問題ないし、夫婦二人で小さな焼き鳥屋やキッチンカーで露天商していてもOKだ。
仲の良さそうな夫婦というのが、不動産屋や売主にとって重要なポイントだ。
奥さんが目をキラキラさせて「農業をやってみたい」と言えば、すぐ売買契約書を出してくれるだろう。
小さな子を一緒に連れて行ったなら、契約確実だ。
それに、若夫婦なら購入資金や就農支援資金は農協がかなり緩い条件で貸してくれるだろうし、某県やK市の補助金もがっつりもらえるから、手続きをとれば簡単にこの物件を購入できる。
しかし、俺は底辺の独身オヤジだ。
現金を用意してもというか、現金で購入するといった瞬間に、組織的窃盗団の一員か違法産業廃棄物処理業者の一員と、絶対に疑われる。
良くて半グレ、悪けりゃ不良外国人とつるんだ暴力団のフロントと思われるな。
ローンを組むことでごまかそうとしても、今度は金融機関から怪しまれる。
現金100億円を担保に融資してもらうことは理論的には可能だが、そんな変なことをする奴は怪しいとなってしまう。
農協も金融部門持っているから、俺が組んだローンの担保が現金という謎事情はすぐバレる。
村人の“怪しい”よそ者を排除する習性は、日本全国どこに行っても変わらない。
東京の下町はいかにも都会だと想像するが、田畑が商店街に変わるだけだ。
当たり前の事だ、店を開いたものの数ヶ月で夜逃げされたら、大家や周囲も迷惑なだけだからな。
どこに行っても、新参者が溶け込むには時間がかかる。
俺みたいな怪しそうなオヤジは、むしろ東京都区部の投資用不動産の方が、購入をしやすいだろう。
都会の投資用不動産は、知識がある人にとって、株式と大して変わらない投資案件の扱いだからな。
管理会社を間に挟めば、物件を振り込め詐欺の拠点にされたとしても、善意の第三者で済むからな。
ふぅ・・・。
だが、俺が組織的窃盗団の一員と疑われる可能性が極めて高いと分かっていても、交渉を始めないと事には、絶対に家の購入はできない。
当たり前だ、無断で空き家に入って暮らし始めたら、タダの犯罪者だ。
・・・、だったら、ダメ元で交渉を始めてみるか。
うまく入り込めたなら、ぽつんと一軒家よりずっと安全だ。
山の購入は、家を買ってからゆっくり考えればいい。
しばらく考えていた俺は、「物件詳細」の下に表示された【資料請求、現地案内、お問い合わせ】欄をクリックして、必要事項の入力を始めた。
物件内覧の日程まで、入力可能なんだ。
ホント、ネットって便利だな~
*********
一週間程たった。
俺は、朝の某県K市のK駅駅前にいた。
不動産屋に会うのは明日にしているが、不動産を買うなら地域の雰囲気などの風土を知っていた方がいい。
特に、農業など天候に左右される仕事をする場合、気候や天候は重要な要素だ。
排他的な土地柄かどうかは、明日の不動産屋の案内で態度がどれくらい変わるか、見ることができるからだ。
村をうろつく見かけない人物だから、すぐ村人にマークされて、空き巣の下見と疑われるだろうが。
俺は、レンタカー屋の店舗がある方向へ歩き始めた。
目的地は駅から離れた農村地帯だから、徒歩で行くのは無謀に近い。路線バスが通っていればいいが、農村地帯は一日数本通っているくらいだろう。
田舎は狭い道もあるから、天気が良ければオートバイの方が行動しやすいが、オートバイを借りて観光地で無い場所を走り回っていれば、村人から怪しい奴認定だ。
そして、パトカーに乗った警官様から、職務質問されるおまけまで付いてくる。
一番疑われにくいのは、天気の良い休日にサイクルウェアを着てロードバイクでツーリング中という雰囲気を演出するスタイルだ。
自転車こいで疲れたという設定なら、民家そばの木陰で休んでいても不自然では無い。
ただ、やたらとキョロキョロ周囲を伺っていれば、やっぱり警戒対象認定はされる。
つまり、よそ者が紹介者なしで村を訪れれば怪しい者と疑われる、と言うことだ。
だから、疑われる事が最初から分かっているのなら、レンタカー借りて目的の村へ堂々と乗り込んでいって、ビデオカメラで動画を撮りながら、周囲を確認すればいい。
道に迷ったら、スマホやカーナビで位置確認しながら、走ればいい。
警官から職質されたら、土地を買う下見だと正直に答える事にしよう。
そのような大まかなプランを立てて、レンタカー屋で車を借りる手続きをした。
レンタカー屋のK市支店は、営業時間が異常なほど長い。
ここを拠点に、山の方に観光に出かけると言うことなんだろうか?
それとも車を持たない○○都民か東京都民様が、ドライブ等で車を借りるから、営業時間が長いのか?
まあ、考えてもしょうがないし、俺の今日の行動に関係ないことだ。
唯一の問題が、職場の同僚がこの地域に来ているケースだが、見つかったときは転職活動をしていると言ってごまかそう。
大事なのは、俺が大金を持っていると悟られないことだからな。
手続きが終わったので、店を出て、店舗前に停めてある軽自動車のそばへ行き、店員から車の傷跡等の説明を受けた。
軽自動車を借りたのは、田舎の狭い道を走ることに一番適した車だからだ。
田舎の路地は、小型車(幅1.70メートル以下)でも通り抜けるのが厳しい道が結構あるからだ。
軽トラも考えたが、貸出車種に無かったので諦めた。
店員の説明が終わったので、借りますと店員に挨拶をして、ドアを開け助手席に鞄を置き、運転席に乗り込んだ。
車を動かして、最初に行くのはレンタカー屋近くのコンビニだ。駐車場に車を止めて、目的地の売家と思われる住所をカーナビに入力して、案内開始のボタンを押す。
その後、車を降りて店に入り、スポーツドリンクを購入する。
日が差してくれば、車の中は以外に暑くなる。汗をかくので塩分も補給できるスポーツドリンクが一番いい。塩分が入っていないと、トイレが近くなると言う問題が起きるからだ。
これから行くところは、普通の農村だ。
公衆トイレなど無いと思った方が良い。大きな川が比較的近くを流れているので、その河川敷にトイレがあるくらいだろう。
俺は、車に乗ってエンジンをかけた。カーナビの目的地案内が動作していることを確認してから、
K市の市街地を抜けて、幅の広い国道を横切ると、農村地帯に車を走らせる。
ナビの案内にしたがっいて、右や左へハンドルを切って交差点を曲がり、目的の売り家近くまでたどり着いた。
田んぼ越しに見える、売家と予想した家の周囲を車で回りながら、ネットに掲載された写真と同じアングルを探していく。
売家の南側を走っていると、写真とほぼ同じに見える場所があった。
その場所に車を止めて、鞄からデジタルカメラを取り出し、可能な限りの望遠にして、写真を何枚か撮った。
そして、今度は4Kビデオカメラで売家をしっかりとレンズに捉える角度に固定してから録画ボタンを押し録画を始めた。
それからゆっくりと車を発進させた。
ある程度車が動いて、隣の家に隠れてしまった時点で、車を止めてから録画を停止して、ビデオカメラを助手席に置いた。
そう言った行動を何度も繰り返し、売家を東西南北すべての方向から撮影をした。
屋敷林は手入れが必要なようだか、それは購入してからの話だ。
俺は、物件の撮影を終わらせ機材を鞄に入れた後、車を走らせ始めた。
村内の細かな道を、あちこち走り回った後、一旦国道に出てから、また村内に入る道に入った。
そこで車を止めて、カーナビに売家から一番近いコンビニを目的地としてセットして経由地に売家をセットすれば、売家からコンビニまでのルートと距離がある程度推定できる。
カーナビのセットが終わったので、車でまた走り出した。
俺は、車をゆっくり走らせながら、売家のそばを一回通って、それから目的地のコンビニに向かった。
コンビニに着いたので、駐車場に車を止めた。車内から周囲をぐるりと見回して、こちらをうかがっている人物がいないか確かめた。
今のところ人影は見えない。
俺は、車を降りて周囲を気にしながら、コンビニの店内に入った。
店員にトイレを借りたいと一声かけてから、トイレに入った。
声をかけたのは、農村にあるコンビニだからだ。
おそらくこのコンビニは、大きな川の向こうにある工場やJR沿線に立っている工場の通勤経路にあるのだろう。
地元民だけで経営が成り立つほど、コンビニ周辺に人家は多くない。
俺はトイレを済ませ、レジの前に歩いて行き、ホットコーヒーのSを頼んだ。
俺は若い男性の店員に、気になっている事を尋ねた。
「このあたりで風が強いのは、いつの季節なの?」
「そうっすね~、やっぱり冬ですね」
「教えてくれて、ありがとう」
俺は、コーヒーカップを受け取り、コーヒーサーバーに入れて、ボタンを押した。
コーヒーが抽出されるのを待っていると、地元の農家と思われる男性が一人店内に入ってきた。
俺は、サーバーからコーヒーカップを取り出し、イートインスペースの椅子に座って、スマホをいじり始めた。
その間に、いかにも午前の農作業を終わったという感じで、一人また一人と店内に入ってきた。
一人は、ラックの本を立ち読みしている風にして、俺の様子をうかがっている。
わかりやすい人たちだ。
明日、顔を会わせた時にどんな顔をするか、楽しみだ。
俺は、コーヒーを飲み終わって、店を出た。
車に乗って、コンビニの店内に視線をやると、複数の客と店長らしき人物が話をしているのが見えた。
おそらく、俺の情報の共有だろう。コンビニも地域から嫌われれば、経営続行は困難だからな、地元民にこびを売るのは当たり前だ。
さて、物件と村の雰囲気は分かったから、今夜は家に帰って、動画で物件とその周辺の確認だ。
俺は、K駅前のレンタカー屋に車を返却するために、車を発進させた。
午後は、別の要件がある。
急がないと。
俺は次のことを考えながら、K駅へと車を走らせた。
パソコンの画面に表示された、某県K市の物件の詳細を開いた。
場所は、K市の駅や中心街からかなり離れた、農村地帯だ。
土地の広さは約五百坪(1650平方メートル)あるから、ちょっとした菜園はできるな。
ゲッ、掲載されてる写真が拡大できない。
関心があるなら、現地に行ってくださいということか?
建物の写真を見る限り、外観はあまり痛んでいないようだか、但書に「古家あり」と書いてあるから、土地だけ売って「建物の取り壊しは、買主がやってね」ということか。
でも、この家、母屋に蔵に納屋と、農家の建物一式が残っているぞ。
しかも、写真で見る限り、建物が痛んでいる所が見えないから、柱や梁がしっかりしてるようだ。
俺一人で住んで、DIYで修繕すればいいか。
建物に関しては、現地で内覧させてもらってからの話だな。
俺的には、屋敷林があるのが高ポイントだ。
群馬、栃木、埼玉は冬の空っ風がキツいし、千葉は春の風がキツい。成田空港に着陸する飛行機が、横風にあおられるのは春の風物詩だ。
茨城は空っ風はそれ程強くないが、南部は山が無いから千葉同様、風が強い。
風で屋根を飛ばされると、困るからな。
トイレはポットン便所の可能性があるから、浄化槽の設置工事が必要かも知れない。
建物に関することは、実際に商談に入ってから順番に確認すればいいか。
備考欄に目を移すと、「畑と田んぼ合わせて1ヘクタール以上の農地も付けて販売可能です(農地購入費は別料金)。農業をされたい方はご相談ください」
・・・。
ネットをちょっと検索しただけで、いきなり農地付き物件にあたるとは・・・。
しかも、K市は大手ケーブルテレビ会社の対応エリアだ。
早速、購入に動きたいが、一番の難題があるんだよな。
それは、俺が年食った独身底辺だと言うことだ。
もし、30代までの若い夫婦がこの物件を見つけて、「農業をやりたい」と不動産屋を訪ねれば、地元が大歓迎してくれる事を分かっているから、不動産屋や売主はすぐ商談に入って売ってくれるだろう。
元の職業が、外資系証券会社や大手コンサルタント会社勤務で、土いじりすらしたことが無くても問題ないし、夫婦二人で小さな焼き鳥屋やキッチンカーで露天商していてもOKだ。
仲の良さそうな夫婦というのが、不動産屋や売主にとって重要なポイントだ。
奥さんが目をキラキラさせて「農業をやってみたい」と言えば、すぐ売買契約書を出してくれるだろう。
小さな子を一緒に連れて行ったなら、契約確実だ。
それに、若夫婦なら購入資金や就農支援資金は農協がかなり緩い条件で貸してくれるだろうし、某県やK市の補助金もがっつりもらえるから、手続きをとれば簡単にこの物件を購入できる。
しかし、俺は底辺の独身オヤジだ。
現金を用意してもというか、現金で購入するといった瞬間に、組織的窃盗団の一員か違法産業廃棄物処理業者の一員と、絶対に疑われる。
良くて半グレ、悪けりゃ不良外国人とつるんだ暴力団のフロントと思われるな。
ローンを組むことでごまかそうとしても、今度は金融機関から怪しまれる。
現金100億円を担保に融資してもらうことは理論的には可能だが、そんな変なことをする奴は怪しいとなってしまう。
農協も金融部門持っているから、俺が組んだローンの担保が現金という謎事情はすぐバレる。
村人の“怪しい”よそ者を排除する習性は、日本全国どこに行っても変わらない。
東京の下町はいかにも都会だと想像するが、田畑が商店街に変わるだけだ。
当たり前の事だ、店を開いたものの数ヶ月で夜逃げされたら、大家や周囲も迷惑なだけだからな。
どこに行っても、新参者が溶け込むには時間がかかる。
俺みたいな怪しそうなオヤジは、むしろ東京都区部の投資用不動産の方が、購入をしやすいだろう。
都会の投資用不動産は、知識がある人にとって、株式と大して変わらない投資案件の扱いだからな。
管理会社を間に挟めば、物件を振り込め詐欺の拠点にされたとしても、善意の第三者で済むからな。
ふぅ・・・。
だが、俺が組織的窃盗団の一員と疑われる可能性が極めて高いと分かっていても、交渉を始めないと事には、絶対に家の購入はできない。
当たり前だ、無断で空き家に入って暮らし始めたら、タダの犯罪者だ。
・・・、だったら、ダメ元で交渉を始めてみるか。
うまく入り込めたなら、ぽつんと一軒家よりずっと安全だ。
山の購入は、家を買ってからゆっくり考えればいい。
しばらく考えていた俺は、「物件詳細」の下に表示された【資料請求、現地案内、お問い合わせ】欄をクリックして、必要事項の入力を始めた。
物件内覧の日程まで、入力可能なんだ。
ホント、ネットって便利だな~
*********
一週間程たった。
俺は、朝の某県K市のK駅駅前にいた。
不動産屋に会うのは明日にしているが、不動産を買うなら地域の雰囲気などの風土を知っていた方がいい。
特に、農業など天候に左右される仕事をする場合、気候や天候は重要な要素だ。
排他的な土地柄かどうかは、明日の不動産屋の案内で態度がどれくらい変わるか、見ることができるからだ。
村をうろつく見かけない人物だから、すぐ村人にマークされて、空き巣の下見と疑われるだろうが。
俺は、レンタカー屋の店舗がある方向へ歩き始めた。
目的地は駅から離れた農村地帯だから、徒歩で行くのは無謀に近い。路線バスが通っていればいいが、農村地帯は一日数本通っているくらいだろう。
田舎は狭い道もあるから、天気が良ければオートバイの方が行動しやすいが、オートバイを借りて観光地で無い場所を走り回っていれば、村人から怪しい奴認定だ。
そして、パトカーに乗った警官様から、職務質問されるおまけまで付いてくる。
一番疑われにくいのは、天気の良い休日にサイクルウェアを着てロードバイクでツーリング中という雰囲気を演出するスタイルだ。
自転車こいで疲れたという設定なら、民家そばの木陰で休んでいても不自然では無い。
ただ、やたらとキョロキョロ周囲を伺っていれば、やっぱり警戒対象認定はされる。
つまり、よそ者が紹介者なしで村を訪れれば怪しい者と疑われる、と言うことだ。
だから、疑われる事が最初から分かっているのなら、レンタカー借りて目的の村へ堂々と乗り込んでいって、ビデオカメラで動画を撮りながら、周囲を確認すればいい。
道に迷ったら、スマホやカーナビで位置確認しながら、走ればいい。
警官から職質されたら、土地を買う下見だと正直に答える事にしよう。
そのような大まかなプランを立てて、レンタカー屋で車を借りる手続きをした。
レンタカー屋のK市支店は、営業時間が異常なほど長い。
ここを拠点に、山の方に観光に出かけると言うことなんだろうか?
それとも車を持たない○○都民か東京都民様が、ドライブ等で車を借りるから、営業時間が長いのか?
まあ、考えてもしょうがないし、俺の今日の行動に関係ないことだ。
唯一の問題が、職場の同僚がこの地域に来ているケースだが、見つかったときは転職活動をしていると言ってごまかそう。
大事なのは、俺が大金を持っていると悟られないことだからな。
手続きが終わったので、店を出て、店舗前に停めてある軽自動車のそばへ行き、店員から車の傷跡等の説明を受けた。
軽自動車を借りたのは、田舎の狭い道を走ることに一番適した車だからだ。
田舎の路地は、小型車(幅1.70メートル以下)でも通り抜けるのが厳しい道が結構あるからだ。
軽トラも考えたが、貸出車種に無かったので諦めた。
店員の説明が終わったので、借りますと店員に挨拶をして、ドアを開け助手席に鞄を置き、運転席に乗り込んだ。
車を動かして、最初に行くのはレンタカー屋近くのコンビニだ。駐車場に車を止めて、目的地の売家と思われる住所をカーナビに入力して、案内開始のボタンを押す。
その後、車を降りて店に入り、スポーツドリンクを購入する。
日が差してくれば、車の中は以外に暑くなる。汗をかくので塩分も補給できるスポーツドリンクが一番いい。塩分が入っていないと、トイレが近くなると言う問題が起きるからだ。
これから行くところは、普通の農村だ。
公衆トイレなど無いと思った方が良い。大きな川が比較的近くを流れているので、その河川敷にトイレがあるくらいだろう。
俺は、車に乗ってエンジンをかけた。カーナビの目的地案内が動作していることを確認してから、
K市の市街地を抜けて、幅の広い国道を横切ると、農村地帯に車を走らせる。
ナビの案内にしたがっいて、右や左へハンドルを切って交差点を曲がり、目的の売り家近くまでたどり着いた。
田んぼ越しに見える、売家と予想した家の周囲を車で回りながら、ネットに掲載された写真と同じアングルを探していく。
売家の南側を走っていると、写真とほぼ同じに見える場所があった。
その場所に車を止めて、鞄からデジタルカメラを取り出し、可能な限りの望遠にして、写真を何枚か撮った。
そして、今度は4Kビデオカメラで売家をしっかりとレンズに捉える角度に固定してから録画ボタンを押し録画を始めた。
それからゆっくりと車を発進させた。
ある程度車が動いて、隣の家に隠れてしまった時点で、車を止めてから録画を停止して、ビデオカメラを助手席に置いた。
そう言った行動を何度も繰り返し、売家を東西南北すべての方向から撮影をした。
屋敷林は手入れが必要なようだか、それは購入してからの話だ。
俺は、物件の撮影を終わらせ機材を鞄に入れた後、車を走らせ始めた。
村内の細かな道を、あちこち走り回った後、一旦国道に出てから、また村内に入る道に入った。
そこで車を止めて、カーナビに売家から一番近いコンビニを目的地としてセットして経由地に売家をセットすれば、売家からコンビニまでのルートと距離がある程度推定できる。
カーナビのセットが終わったので、車でまた走り出した。
俺は、車をゆっくり走らせながら、売家のそばを一回通って、それから目的地のコンビニに向かった。
コンビニに着いたので、駐車場に車を止めた。車内から周囲をぐるりと見回して、こちらをうかがっている人物がいないか確かめた。
今のところ人影は見えない。
俺は、車を降りて周囲を気にしながら、コンビニの店内に入った。
店員にトイレを借りたいと一声かけてから、トイレに入った。
声をかけたのは、農村にあるコンビニだからだ。
おそらくこのコンビニは、大きな川の向こうにある工場やJR沿線に立っている工場の通勤経路にあるのだろう。
地元民だけで経営が成り立つほど、コンビニ周辺に人家は多くない。
俺はトイレを済ませ、レジの前に歩いて行き、ホットコーヒーのSを頼んだ。
俺は若い男性の店員に、気になっている事を尋ねた。
「このあたりで風が強いのは、いつの季節なの?」
「そうっすね~、やっぱり冬ですね」
「教えてくれて、ありがとう」
俺は、コーヒーカップを受け取り、コーヒーサーバーに入れて、ボタンを押した。
コーヒーが抽出されるのを待っていると、地元の農家と思われる男性が一人店内に入ってきた。
俺は、サーバーからコーヒーカップを取り出し、イートインスペースの椅子に座って、スマホをいじり始めた。
その間に、いかにも午前の農作業を終わったという感じで、一人また一人と店内に入ってきた。
一人は、ラックの本を立ち読みしている風にして、俺の様子をうかがっている。
わかりやすい人たちだ。
明日、顔を会わせた時にどんな顔をするか、楽しみだ。
俺は、コーヒーを飲み終わって、店を出た。
車に乗って、コンビニの店内に視線をやると、複数の客と店長らしき人物が話をしているのが見えた。
おそらく、俺の情報の共有だろう。コンビニも地域から嫌われれば、経営続行は困難だからな、地元民にこびを売るのは当たり前だ。
さて、物件と村の雰囲気は分かったから、今夜は家に帰って、動画で物件とその周辺の確認だ。
俺は、K駅前のレンタカー屋に車を返却するために、車を発進させた。
午後は、別の要件がある。
急がないと。
俺は次のことを考えながら、K駅へと車を走らせた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~
わんた
ファンタジー
「今日中に出ていけ! 半年も家賃を滞納してるんだぞ!」
現代日本にダンジョンとスキルが存在する世界。
渋谷で錬金術師として働いていた裕真は、研究に没頭しすぎて店舗の家賃を払えず、ついに追い出されるハメになった。
私物と素材だけが残された彼に残された選択肢は――“現地販売”の行商スタイル!
「マスター、売ればいいんですよ。死にかけの探索者に、定価よりちょっと高めで」
提案したのは、裕真が自作した人工精霊・ユミだ。
家事万能、事務仕事完璧、なのにちょっとだけ辛辣だが、裕真にとっては何物にも代えがたい家族でありパートナーでもある。
裕真はギルドの後ろ盾、そして常識すらないけれど、素材とスキルとユミがいればきっと大丈夫。
錬金術のスキルだけで社会の荒波を乗り切る。
主人公無双×のんびり錬金スローライフ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる