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門松一里

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「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話

「東アジアの思想」という話-13

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「東アジアの思想」という話-13

【秦】(紀元前221年―紀元前207年)
〈秦の始皇帝〉
紀元前221年、秦の始皇帝が中国を統一します。中央集権的な専制君主制を確立します。その名は、三皇五帝から「皇帝」としました。最初の皇帝ですから「始皇帝」です。

紀元前213―212年、李斯の奏言から、焚書坑儒が行われます。

秦は周代からあり、春秋時代の十二列国、戦国時代の戦国七雄と生き残ってきました。ようやく一つになった中国ですが、わずか15年で儚く国は滅びます。

秦は私たちが考える古い中国の原形です。秦が転訛して、支那(しな)になりました。外国人が中国を呼ぶときの名称です。はじめはインドの仏典で、インドでの中国の名前を音訳したものだそうです。英語やドイツ語の"China"や、フランス語の"Chine"も同じです。

なお、英語の小文字の"china"は「陶磁器」という意味です。"japan"は「漆」です。

そういえば、キャセイパシフィック航空の「キャセイ」は中国のことですが、こちらは「契丹(遼)」という国が元になっています。遼の末裔がモンゴル帝国に仕えた耶律楚材(やりつそざい)です。

〈陳勝呉広〉
紀元前209年に、陳勝と呉広が秦に叛します。秦の滅亡の端を開きましたが、二人とも部下に殺されてしまいます。

「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」

陳勝の若いころの言葉です。大きな口をたたいて非難されても「小人(しょうじん)には大人(だいじん)の大きな志を知ることができない」と意に介しませんでした。

反乱は失敗してしまいますが、功績は非常に高く、ある事のさきがけをすることを「陳勝呉広」というようになりました。

紀元前207年に、項羽と劉邦によって、秦が滅びます。

その後、楚王項羽と漢王劉邦が争います。

垓下の戦いで、項羽は破れ籠城します。そのとき、四方から楚の歌が聞こえてきました。敵に楚人が多いということです。もうどうしようもない「四面楚歌」です。

項羽の女に、虞美人がいました。項羽は「虞や虞や若を如何せん」と嘆きます。虞美人の身の上が心配なのです。どれだけヘタレなんだと思いますが、ずっと部下を信用しなかった罰です。項羽は自刎(じふん、自分で首チョンパ)します。

あわれな虞美人の名は、虞美人草(ヒナゲシ)に与えられます。夏目漱石の小説『虞美人草』の題名にもなっています。

【前漢-1】(紀元前206年―紀元後(西暦)8年)
紀元前202年に、劉邦が項羽を破り、帝位につきます。劉邦の優位性は、張良・蕭何・韓信の三傑によるものです。

特に韓信は、蕭何によって「国士無双」――天下第一の人物と言われました。麻雀の役になるほどメジャーな言葉です。

紀元前141年―紀元前87年が、第7代武帝の時代です。

紀元前136年に、武帝は五経博士を置き、儒学(儒教)を国教化しました。

ここに、東アジアの思想――儒教の光と陰の歴史が始まります。
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