転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第一章 

転生の押し売りを受け取ってやりました。

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 エイダンへの想いを手放さず、生まれ変われるなど、私とて本気で信じている訳ではありません。

 しかし、こんな人間なんだかトカゲなんだかハッキリしない中途半端な紳士に、改めて諭されると腹も立ちます。

 私は淑女にあるまじき視線を紳士に向けました。

「そこまで未練があるのならば、何故、我が輩の話を聞かんのだ。汝の願いを叶えてやろうと、馳せ参じたというに」

「私、お友達は選びますの。心通じ合う御方でなければ、相談事など出来ませんわ」

「ほう、本当によいのか? 我が輩が叶えてやるのは、汝の復讐ぞ。女神の加護を撥ね除ける、その醜き浅ましき願いを叶えたいとは思わぬのか」

 復讐、その言葉に私は反応してしまいました。奥底に鳴りを潜めていた、あの女への嫉妬が、一瞬で穏やかだった心を目の前の紳士のような黒へと染めます。

「我が輩は汝との邂逅を大事にしたい。女神の加護なき汝が、なんの因果か我が輩の眷属をその身に宿すなど、これを運命と呼ばずなんと呼ぶや」

 紳士は大きな羽を伸ばし、私を覆うよう広げます。ミシミシと骨の軋むような音を聞きながら、迫る魔性の者を見つめました。

「汝の連れ添い、あの忌々しい雄の隣に立つ雌。汝をあの雌に転生させてやろう。汝はあの雌から全てを奪うのだ」

「……人は転生など出来ぬと、貴方がおっしゃったではありませんか」

 紳士の言葉に私は自分の胸が高鳴っていくのを抑えられませんでした。エイダンと共に生きる人生が手に入る、それは今の私が何より欲しているものでございます。

「我が輩の力を貸してやる。ここにある小瓶の中身を飲み干せ」

 スッと差し出された手には虹色に輝く小瓶がありました。美しくも禍々しい小瓶を私は迷わず受け取ります。

「人間に我が輩の魔力は毒であるが、汝には耐性があるのでな。必ず望みは叶うであろう」
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