転生令嬢の幸福論

はなッぱち

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第二章

舌鼓を打ってやりました。

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 しかもサリー様の魔術とやらの効果は、自身の肉体強化と一部を変質させるという、実に地味なものならしく、一つ派手に魔術を披露して下さいなというお願いも即座に却下されました。

「あんたも悪趣味なことを言うねぇ。芝居じゃあ本性はそうそう隠せないか、ちっと安心したよ」

 少々不躾でしたでしょうか、反省です。まあサリー様の不信感を拭えたのなら良しとしましょう。

 そんなお話をしておりますと、両手両腕に曲芸染みた数のお皿を乗せたウエイトレスが、なんの危なげもなしに料理を運んでまいりました。

 テーブルいっぱいに並べられたのは、どれも質より量といった実にこの場所に合ったメニューでした。

 フライにパスタ、炒め物の上には豪快な焦げ目が付いたステーキです。揚げたお魚の付け合わせで僅かにお野菜の緑が見えますが、全体的にギラギラしている感じに、食欲より先に胸焼けを覚えました。

「さあ、とっとと食って仕事と行こうぜ」

 サリー様がグラスにワインを注いで下さります。胸焼けのせいか、喉の渇きを思い出しましたので、遠慮なくグラスを手に取りました。

 サリー様の言う通り、いつも頂いていたワインのような芳醇さは感じられませんでしたが、食欲をそそるような不思議な魅力のある香りが広がります。

 目の前で、分厚いステーキを豪快に食べ進める姿を見ておりますと、胸焼けは通り過ぎ私のお腹も少し鳴りました。

 空腹には適いません。ナイフで一口大に切り分けたフライに、ほんの少しソースを乗せパクリとやります。

「あら、美味しい」

 揚げたての衣はサクッと軽やかですし、中のお魚は衣にかかっているソースとは別の香草を使ったソースで挟んであり、見た目とは裏腹に実に上品なお味です。使用している油も、きっと定期的に入れ替えているのでしょう、古い油特有の臭いなど微塵もなく、本当に美味しい。
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