39 / 59
第三章
成金を見抜いてやりました。
しおりを挟む
シスターに案内されて通されたのは、質素なお部屋でした。飾り気が一つもない粗末な私室。
しかし、私の目は誤魔化されません。質素に見えて、部屋に置かれた一つ一つの家具や小物は全て、王室御用達のブランド品ばかりです。
「さあ、どうぞ召し上がれ」
目の前に置かれたティカップも、そこから立ち上る芳しい香りも、全てシスターの懐具合を物語ります。
この方、シスターとは名ばかりの成金です。
「確か……エレノアさん、だったからしら」
自身も席に着き、シスターは私の方へ視線をやり呟きます。
「いいえ、フィアとお呼び下さい。シスター」
もう正直、自分の名前など、どうでもよろしい。今後はフィア嬢として動くのですから、ややこしいのは御免です。
「手紙では全く乗り気じゃないってお話だったけれど、彼女はやる気になってくれているみたいね」
「そう言うこった。アタイもサリーとして動くよ」
「まあ頼もしいわ」
サリー様がそう言うと、シスターは豊満な胸の前で手を組み少女のような、実にアンバランスな表情をお見せになります。
「じゃあ、この依頼、引き受けてくれるのね」
「替え玉の件は了承だ。相方がやる気になってるからね。だが、それ以上のことは話を聞いてからだ」
私が欠員の出た穴埋めにフィア嬢の替え玉として遠征軍に参加する。それ以上に何かあるのでしょうか。サリー様と一緒にシスターへ視線を向けます。
「先に返事は頂けないのね。まあ、仕方ないわ。貴女と私の仲だしね。ここからは他言無用でお願いね」
シスターは意味深な視線をサリー様に向けると、随分ともったいを付けた前置きをしました。
「今回の援軍にガルーダ王子がお忍びで参加されるのよ」
ガルーダ王子は王位継承権をお持ちの我が国の第二王子です。確か第一王子は側室の子だとかで、色々ときな臭い噂の絶えないご兄弟仲だとか。
「おいおい、冗談は止しとくれよ」
サリー様は手で顔を覆います。
「冗談ではないの。窮地を救い隣国の姫に求婚すると、今回の援軍を送る件は彼が言い出したことなのよ」
それはなんと夢見がちな王子様でしょうか。我が国の将来が不安です。
しかし、私の目は誤魔化されません。質素に見えて、部屋に置かれた一つ一つの家具や小物は全て、王室御用達のブランド品ばかりです。
「さあ、どうぞ召し上がれ」
目の前に置かれたティカップも、そこから立ち上る芳しい香りも、全てシスターの懐具合を物語ります。
この方、シスターとは名ばかりの成金です。
「確か……エレノアさん、だったからしら」
自身も席に着き、シスターは私の方へ視線をやり呟きます。
「いいえ、フィアとお呼び下さい。シスター」
もう正直、自分の名前など、どうでもよろしい。今後はフィア嬢として動くのですから、ややこしいのは御免です。
「手紙では全く乗り気じゃないってお話だったけれど、彼女はやる気になってくれているみたいね」
「そう言うこった。アタイもサリーとして動くよ」
「まあ頼もしいわ」
サリー様がそう言うと、シスターは豊満な胸の前で手を組み少女のような、実にアンバランスな表情をお見せになります。
「じゃあ、この依頼、引き受けてくれるのね」
「替え玉の件は了承だ。相方がやる気になってるからね。だが、それ以上のことは話を聞いてからだ」
私が欠員の出た穴埋めにフィア嬢の替え玉として遠征軍に参加する。それ以上に何かあるのでしょうか。サリー様と一緒にシスターへ視線を向けます。
「先に返事は頂けないのね。まあ、仕方ないわ。貴女と私の仲だしね。ここからは他言無用でお願いね」
シスターは意味深な視線をサリー様に向けると、随分ともったいを付けた前置きをしました。
「今回の援軍にガルーダ王子がお忍びで参加されるのよ」
ガルーダ王子は王位継承権をお持ちの我が国の第二王子です。確か第一王子は側室の子だとかで、色々ときな臭い噂の絶えないご兄弟仲だとか。
「おいおい、冗談は止しとくれよ」
サリー様は手で顔を覆います。
「冗談ではないの。窮地を救い隣国の姫に求婚すると、今回の援軍を送る件は彼が言い出したことなのよ」
それはなんと夢見がちな王子様でしょうか。我が国の将来が不安です。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?
ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」
建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。
だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。
「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」
宝石代、夜会費、そして城の維持費。
すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。
「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」
暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。
下着同然の姿で震える「自称・聖女」。
「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」
沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる