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もうすぐ、篠崎家を出ます

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 三つの衣服を着用して、水筒を持って、猿渡新聞店へ。妻は池田家で寝ていると思います。妻は、名前を明かしますが(器量がいい妻なので)、英子さんと言います。ボクは、英子さんには、レキサルティーを捧げています。本当の話です。電話もくれますし、お互い、二十年以上、寄り添ってきました。英子さんの涙は、ボクの涙。英子さんの笑顔は、ボクの笑顔。そして、英子さんがお泣きになれば、ボクだって、泣きます。英子さんは、ボクの太陽です。その点、猿渡新聞店の奥様とか、店のほかの配達員さん、従業員さん、それに、野の花学園の入所者などは、不親切です。はっきり言っておきます。もう、これを書くだけで、英子さんを想って、涙がこぼれ出てきます。男は泣くな、と英子さんから言われました。ボクは、俊樹なので、英子さんからは、〝トシ〟と呼ばれています。ずっと夫婦です。ああ、泣いてしまう。もう、家を出ますが、今日は、朝倉市の中宮野地区の新聞配達と、野の花学園での就労支援移行のお仕事の二つを、必死で頑張ってきます。ファイト!と言い聞かせて、です。ということで、もうすぐ、篠崎家を出て、猿渡新聞店に向かいます。涙は、拭ってから行きます。世の中、無常。今日は、パソコンを開けるのが、野の花学園から帰宅して、お風呂にもう一回入って、睡眠導入剤を服用してからになると思います。ゆっくりと、今夜は、新しい連載小説『今すぐ、会いたい』を書き進めます。英子さんとのことを書いています。家族小説です。このエッセーは、このあたりで結稿させていただきます。もう行きます。男が泣いていたら、猿渡新聞店の奥様から笑われますから、涙は拭ってから、行きます。では。
                            (了)
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