『今すぐ、会いたい』

篠崎俊樹

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第12話。

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 俺と、妹夫婦も、いつしか距離ができて、離れてしまった。俺が、仕事の傍ら、小説を書くのが忙しくて、はっきり言って、父親を相手している暇はないし、俺にとって、もはや、小説のほうが、比重が増してきた。いつも、そう思う。何と言うか、俺は、作家業が本職じゃないにしても、忙しいのだった。父親の陽一が好色で、女子高生とか、妙齢の女性のスカートを盗撮しようとして、何度も、朝倉署の刑事に捕まったのに対し、俺は、そんなことは、一度もしてない。陽一は、変態なのだった。猿のような目つきと、異様な性欲……、俺は、もう投げた。陽一を、人様に会わせたくない。俺は、勤務先の新聞店から帰ってきたら、お風呂に入って、自宅の裏二階の書斎で、仕事をする。はっきり言って、寝付けない夜は、ずっと書く。使っているパソコンは、型が古いけど、自作していて、全部、自分で組み立てた。俺にとって、寝れるまで、パソコンを見ながら、過ごすのが常だ。テレビで、ユーチューブを見ながら、小一時間、頑張る。それで、俺の小説家としての生活は成り立っている。新聞店の仕事は、あくまで、食べるための仕事に過ぎない。(以下次号)

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