『雨天殺人事件』

篠崎俊樹

文字の大きさ
上 下
17 / 34

第17話。

しおりを挟む
     17
 インターネットを見ながら、ゆっくりと寛ぐ時間が好きだった。俺は元々、インドアなのだ。新聞店に行く以外は、家にいる。自宅の自室が、俺の居場所だった。部屋のデスクトップパソコンは、インターネットに繋いでいて、ずっと、接続していた。また、検索エンジンは、グーグルとヤフーを二つ、使いこなしていて、いつも、どっちも見ている。俺にとって、インターネットは、便利な代物だった。スマホは、通話か、アプリを取るぐらいで、ほとんど、インターネットに接続しない。別に、俺としても、いいのだった。そういった使い方で、俺は、インターネットをしていた。世の中、紛い物もある。くだらないものだってある。俺は、いろいろなものを見ながら、日々、勉強していた。何と言うか、人は、日々、勉強なのだ。俺は、それを固く信じていた。俺にとって、目に見える全てのものが、物珍しく思えた。俺にとって、インターネットも、電動自転車も、うちに来る訪問看護の看護師も、皆、いろんな意味で刺激があって、いいものなのだ。俺は、常にそう思っていた。俺が、新聞店に行って、外出している間も、幸子がいる。家は、母が守ってくれていた。俺は、安心して、仕事に行けた。これも、お互いの信頼関係の証なのだ。
しおりを挟む

処理中です...