古の龍神と神子

那岐

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古の龍神と神子 ― 一章 魔族の胎動 2 ―

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ごごご、と音を立て地震が起こった事に老婆は驚いた様子で天井を見つめた。程なく揺れはおさまったが険しい表情を浮かべるも左右に首を振り俺に視線を向けた。

「今の地震、大きかったな。怪我は無いか?」
「私なら平気じゃよ、心配を掛けた。じゃが龍神様が居なくなって数百年…、そろそろ、限界かのう…」

老婆の言葉と声音はフードで顔は見えないものの悲しげに言葉を紡ぎだした。

「さて、改めて次は何を話そうか…、ふむ、まだ名前を聞いておらんかったな、青年、名前を聞いても良いか?」

「俺か?俺はユース・リスクト。先に伝えたが旅の者さ」

「ユース、良い名じゃな。ではユース、なんの話を聞きたい?」

「そうだな、婆さんが居た場所、ルト…、だったか?そのまちが知りたい。」

「解った…。次は龍神とルトの繋がりと街の成り立ちについて、そしてなぜ滅んだかを話すとしよう。」

龍神はひと昔前には三体おった。それが一体、また一体と堕龍へとその身を落としていってしまった。
龍神は人を殺めることはできない。
人を殺めた龍神は堕龍と呼ばれ人に害を与える存在になる。それの理由は、強靭な力を手にしているからこそ何重もの戒めが成されているからじゃ。

それを解かなければ力は使えない、との事だった。

そしてルトについてじゃ。
ルトは龍神が居られる地。龍神が護りし街だった。龍神が作り上げ移り住んで来た者達すらも受け入れ慈しんだ。
緑は豊かで、水も尽きる事はなかった。人々は恩恵を与えられ本当に豊かだった。
まさに一人は皆のため、皆は一人のため。そんな感じじゃった。
そして民も傷つけ合う事も、妬み、憎しみ合う事もなかった。

そしてそんな穏やかな毎日を過ごしていたルトと民に転機が訪れた。ルトの穏やかな土地を妬み、それが原因となり悪魔に落ちた他の国の軍勢が攻めてきた。悪魔の強い力にルトは太刀打ち出来ずルトは滅び、龍神は最後の力を振り絞り人間達を正気に戻し姿を消した。
これが真実だ。


老婆は息を吐き出し暖炉に火をつけるべく立ち上がり準備を始めた。

「ついでに神子の話もしてしまおうか。」

老婆は暖炉に火を灯しはぁ…と息をついた。そして、神子の話を始めた。

神子は龍神が選ぶ番(つがい)の事をさす。神子に選ばれた者は純潔を龍神に捧げた。龍神は神子を護り愛し、神子は腹に子を宿し護る。そして腹に子を宿した時、兆候として腕、や足、首などに鱗が生え、長い眠りに落ちる。そうじゃな、長いときで三月ほど眠るときもあるんじゃ。その間は龍神がその者を守り生き抜けるように護っておった。

そしてその子供は半神半人、人とは違う時間の流れを生きるもの、龍神の力は薄れど、その力は絶大だった。

神子も我が子の龍神の力を封じ人と同様に育て上げる。そして子供の成長が止まった折りに龍神の子であることを本人に告げたしきたりだった。

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