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58 三重の仕掛け
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仕掛けた罠にきれいに嵌まってくれた。
長髪の幹部は用心深そうだったけど髪の毛が逆立っている方が慢心して突撃してくれたからこちらの犠牲が出ずに済んだ。
罠は三重仕掛け。事前に伏兵を潜り込ませた一帯にこちらが普通に進軍していると見誤らせ突撃してきてもらった。
アールグレイの魔法「鋼線」で数十人くらいは勝手に倒れてくれた。その後、髪の毛が逆立った男が魔力で見分けられると叫び、それに従った馬上にいる手下が全員、次の罠にかかった。アールグレイの視えない魔力を応用した視えない鋼線へ蜘蛛の糸に吸い寄せられる蝶々のように幹部の男も含め、あっさり全滅した。
長髪の幹部が追ってこなければそこからはガチンコで叩こうと思っていた。だがこちらの罠の殺傷性の高さを見くびってくれたので助かった。先に森に入った騎兵を追いかけてきたが、視えない鋼線の罠に気が付き、手下に待機を呼びかけてしまった。
大声で命令するヤツが敵将……これは常識、なので退却の号令を出す隙を与えず首を刎ねた。
あとは彼ら魔人の進行方向の木々の裏へ土魔法の使えるロニが穴を掘り、エマが木の葉を被せてその下に伏兵を潜ませておいた。
あとから来た魔人の歩兵たちが十分、視える鋼線と視えない鋼線のエリアに入ったところで、伏兵が不意をついて迂闊に動けない魔人たちを襲い始めた。
当然、伏兵たちも視えない鋼線の方は視えないので、ちょっとした工夫をしておいた。敵側から見て木々の裏側にナイフで印をつけた。味方は木の印で右側と左側にどの罠を仕掛けたのか確認できる。
鋼線がどこにあるのか視えない恐怖にある魔人と戦いに集中できる人間とでは話にならず、魔人を簡単に始末できた。
だけど私の作戦はこれで終わりではない。幹部ふたりの首を持って、速やかに丘を駆け上がる。実はこの丘が私たちの最初の関門になり得たが、少しの工夫で容易く突破できた。。
斥候の報告通り、先に斜めに走っている川があり、橋の向こう側で狼狽している敵兵の一団を確認した。まあ驚くでしょうね。森のなかの罠地帯を中心にミラノの風魔法、〝吸音層〟を掛けてもらっていたので仲間の断末魔も聞こえなかったはずだから……。
当然、次に彼らが取る行動は私たちが橋を渡らないよう、橋そのものを落とそうとしてくる。
でも残念でした。半日前にすでに手を打っておいたので橋は落とせない。
レオナード皇子と傷がだいぶ癒えたウェイクのふたりが率いる別動隊が湾曲した緩やかな川の中を川の底を歩いて橋の真下に潜んで待機していた。
彼ら別動隊には水魔法のスペシャリストである私が潜水気泡という長時間水中で呼吸ができる魔法の泡を掛けておいた。まさかすでに橋の下に別動隊が潜んでいるとは敵兵たちも思いもよらなかったのだろう。まんまと皇子たちが不意を衝いて、私たち本体が橋に到達するまで足止めをしてくれた。
無事、全員が橋を渡り切った。橋の近くにいたのは予備兵だったのだろう。練度も低く数も500人も満たなかったので、蹴散らした。その気になれば全滅させることもできたが、次の計略のために100人くらいはワザと逃がした。
橋を渡ったところで布陣する。数時間のうちには幹部クラスがひとりかふたりが来るだろう。レオナードたちがいた村のそばで敵将に吐かせた情報にあった四騎士を片付けてしまえば、ほぼ詰みといえる。
──数時間後、予定どおり幹部クラスが1,000人程度の軍を率いてやってきた。右腕だけが異常にデカい大男。乗っている馬も他よりひと回り大きいがそれでもかなり無理して走らされている。
てっきり、ここまであっさり半分くらいの魔人の兵と四騎士のふたりを討ち取った私たちを警戒して、兵の動かし方を少しは考えてくるかと思ったが、まさかのノープランでの突撃とは……。
まあ、ラッキーだと考えよう。
効果があるかもと敵将ふたりの首を前の方へ置いていたのが功を奏したかもしれない。
長髪の幹部は用心深そうだったけど髪の毛が逆立っている方が慢心して突撃してくれたからこちらの犠牲が出ずに済んだ。
罠は三重仕掛け。事前に伏兵を潜り込ませた一帯にこちらが普通に進軍していると見誤らせ突撃してきてもらった。
アールグレイの魔法「鋼線」で数十人くらいは勝手に倒れてくれた。その後、髪の毛が逆立った男が魔力で見分けられると叫び、それに従った馬上にいる手下が全員、次の罠にかかった。アールグレイの視えない魔力を応用した視えない鋼線へ蜘蛛の糸に吸い寄せられる蝶々のように幹部の男も含め、あっさり全滅した。
長髪の幹部が追ってこなければそこからはガチンコで叩こうと思っていた。だがこちらの罠の殺傷性の高さを見くびってくれたので助かった。先に森に入った騎兵を追いかけてきたが、視えない鋼線の罠に気が付き、手下に待機を呼びかけてしまった。
大声で命令するヤツが敵将……これは常識、なので退却の号令を出す隙を与えず首を刎ねた。
あとは彼ら魔人の進行方向の木々の裏へ土魔法の使えるロニが穴を掘り、エマが木の葉を被せてその下に伏兵を潜ませておいた。
あとから来た魔人の歩兵たちが十分、視える鋼線と視えない鋼線のエリアに入ったところで、伏兵が不意をついて迂闊に動けない魔人たちを襲い始めた。
当然、伏兵たちも視えない鋼線の方は視えないので、ちょっとした工夫をしておいた。敵側から見て木々の裏側にナイフで印をつけた。味方は木の印で右側と左側にどの罠を仕掛けたのか確認できる。
鋼線がどこにあるのか視えない恐怖にある魔人と戦いに集中できる人間とでは話にならず、魔人を簡単に始末できた。
だけど私の作戦はこれで終わりではない。幹部ふたりの首を持って、速やかに丘を駆け上がる。実はこの丘が私たちの最初の関門になり得たが、少しの工夫で容易く突破できた。。
斥候の報告通り、先に斜めに走っている川があり、橋の向こう側で狼狽している敵兵の一団を確認した。まあ驚くでしょうね。森のなかの罠地帯を中心にミラノの風魔法、〝吸音層〟を掛けてもらっていたので仲間の断末魔も聞こえなかったはずだから……。
当然、次に彼らが取る行動は私たちが橋を渡らないよう、橋そのものを落とそうとしてくる。
でも残念でした。半日前にすでに手を打っておいたので橋は落とせない。
レオナード皇子と傷がだいぶ癒えたウェイクのふたりが率いる別動隊が湾曲した緩やかな川の中を川の底を歩いて橋の真下に潜んで待機していた。
彼ら別動隊には水魔法のスペシャリストである私が潜水気泡という長時間水中で呼吸ができる魔法の泡を掛けておいた。まさかすでに橋の下に別動隊が潜んでいるとは敵兵たちも思いもよらなかったのだろう。まんまと皇子たちが不意を衝いて、私たち本体が橋に到達するまで足止めをしてくれた。
無事、全員が橋を渡り切った。橋の近くにいたのは予備兵だったのだろう。練度も低く数も500人も満たなかったので、蹴散らした。その気になれば全滅させることもできたが、次の計略のために100人くらいはワザと逃がした。
橋を渡ったところで布陣する。数時間のうちには幹部クラスがひとりかふたりが来るだろう。レオナードたちがいた村のそばで敵将に吐かせた情報にあった四騎士を片付けてしまえば、ほぼ詰みといえる。
──数時間後、予定どおり幹部クラスが1,000人程度の軍を率いてやってきた。右腕だけが異常にデカい大男。乗っている馬も他よりひと回り大きいがそれでもかなり無理して走らされている。
てっきり、ここまであっさり半分くらいの魔人の兵と四騎士のふたりを討ち取った私たちを警戒して、兵の動かし方を少しは考えてくるかと思ったが、まさかのノープランでの突撃とは……。
まあ、ラッキーだと考えよう。
効果があるかもと敵将ふたりの首を前の方へ置いていたのが功を奏したかもしれない。
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