異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天

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第五章 叛逆

第五十二話 対ラー戦 前編

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 闘技場。

 そこは巨大な円形状の戦闘施設だった。あまりに大きいその施設ははっきり言って、巨人用に思えた。
 
 上は開いており、本来なら何も見えないであろうに、空が見える。さらに、巨大な膜――結界が展開されているのがわかる。

 【術理】によって、解析する。

 どうやら、高いレベルの回復魔術を瀕死状態のものに与えるようだ。

 俺は息を吐いた。

 観覧席に、ルシちゃんや創造神が座る。

 「ついてきてください」

 悪魔が静かに言った。真剣な眼差しでこちらを見ている。もしかしたら、心配しているのかもしれない。

 「わかった」

 俺は短く返し、高鳴る鼓動を抑えつつ、席の間を縫うかのように移動した。


 廊下に出てすぐ、階段が現れた。

 装飾は最低限。だが、それが不思議と雰囲気というものを創りだしていた。


 階段を下ると、さらに長い廊下に出た。

 「ここからは一人です。どうぞ」

 悪魔が言った。

 俺は無言で頷き、歩き出した。

 壁には松明が、等間隔に整然と並べられている。

 カツン……カツン…

 足音だけが響き渡る。

 俺は戦者用と書かれた入り口から入る。

 大きな入口を抜けた先に広がるのは、何の変哲もないフィールド。だが、静かにラーが立っていた。

 「では、始めましょう」

 静かに言った。

 落ちついて彼は剣を取り出す。

 「あぁ」

 俺は剣を取りださず、静かに構える。

 一息つく。

 緊張しているのかもしれない。手は湿っていて、心臓の鼓動がやけに煩い。

 「行きます」

 ラーが宣言する。

 その瞬間、彼が視界から消滅した。

 否。高速で距離を詰められた。

 「【絶断】」

 短く呟かれた技名と共に、剣は黒く輝く。そして、触れた瞬間に、全てを切り裂く魔剣と変わる。

 【龍眼】により、強化された動体視力で何とか追いつく。

 突きだ。

 判別できたなら、避けれる。
 俺は身体を捻り、避ける。

 そして、この距離。

 彼が突きから横薙ぎに変更するまでのタイムラグ。

 本来なら、途方もなく短い時間。

 だが、今ならそれはとんでもない隙だ。

 「【貫け】!」

 刹那、風が凝縮し、弾丸となる。幾重に張られた弾幕がそこにあった。

 俺とラーの間に創られた風の弾幕は、ラーに向かって動き出す。

 「【断絶空間】!」

 さらに俺は魔術を展開する。ラーのいる空間を固定する魔術だ。これにより、逃げれない。

 最後にもう一つ。

 「【重力場】!」

 敵の周辺空間に一秒未満だが、重力を生み出し、物を引き寄せるという物。勿論、術者は任意で自身を重力の対象外へと置ける。

 俺は勿論、自分を対象外に置き、彼だけを対象へと設定する。

 後は勝手に彼が弾幕へと引かれるようにして、貫かれる。

 ここまで僅か秒未満。

 防げる手段があるはずもなく、必中必殺の弾幕によって死ぬ。

 「……とでも思いましたか?」

 ラーが俺に呟く。

 まるで考えを読んだかのような口ぶり。

 「甘いですね」

 【空間破壊】……!?

 俺は驚きのあまり、距離を取る。

 猛烈に膨れ上がる魔力。それが意味するのは強力な魔術。そうその通り。

 ――破壊の権化の魔術。

 「【破壊渦】!」

 それは渦を巻くようにして、力を収束していった。周辺に漂う魔力を吸収するかのようにして、抱き込み、そして更に渦を増していく。まるで全ての力を吸収するように思えた。

 だが、一転。

 収縮したはずの力は、解放される。

 圧縮、濃縮、凝縮された破壊の力は、周辺空間どころか、この巨大な闘技場全てを破壊しつくすまでの豪大な力へと生まれ変わる。

 そんな暴力的な破壊の前に、硝子細工のような脆い魔術は吹っ飛ぶ。すなわち、魔術の強制キャンセルだ。

 俺は舌打ちをする。

 すぐさま、防御術式を張る。

 「そんな紙装甲で攻撃が防げるとでも? 【絶断】」

 黒い光に再度、包まれた剣。

 それは本来、ありえざる速さで俺に襲いかかる。

 ――剣が振り下ろされる。

 やけにスローモーションに見えるその世界で、俺は空間から剣を取り出す。


 ――キンッ!


 金属と金属がぶつかりあう高い音がした。

 黄金色に輝く俺の剣は、黒い魔剣の攻撃を防いだ。そのまま俺は身体を捻り、横に薙ぐ。

 攻撃が当たる。

 「うぐぅ」

 わずかなうめき声。

 「やりますね。防御術式を張ったのは、ブラフでしたか」
 「あぁ」

 実際は、偶然だ。

 俺は防御術式で本当は防ぎきるつもりだった。だが、防げないとわかり、剣で防ぐことにした。下手したら、こちらの剣が壊れるかもしれないけど、どうやらうまくいったようだ。

 俺はほっとするが、戦闘は継続している。

 安心はできない。

 ――何より、彼は大幅に力を制限して、手加減している。

 「いつになったら、本気を出すんだ?」

 俺は声をかける。

 「流石に気付いてましたか」

 ラーは若干、おどけるようにして言った。

 「さて、では少しずつ力を解放していくとします」

 途端、力が増大する。

 先ほどとは比べ物にならない。

 だがしかし、まだまだ力を隠してる。

 ラーはニヤリと挑発的に笑った。

 「さぁ、第二ラウンドです!」
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