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今に至るまで?教えてやろう

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 ここらで一応、俺の自己紹介とこの世界について説明しよう。
俺の前世の名前は山田翔大、頭以外何も良いところがなく昔から親に見放されるなどといった人生を送っていた。そんなある日俺は事故に合い死んでしまった、あぁもう死ぬんだ…。と理解した時俺が願ったのは、来世ではもっとチートになりたい。だった。そしてもう一度目を覚ますと俺の体は三歳の体格に変化していた。そこで俺はこれが転生した体なのだと悟った。しかし、人生とはやはり全て思い通りにはいかないものだ。実は、俺が死に際に願ったのはチートだけではない、異世界へ転生するなどといった転生物お約束のやつは嫌だと願ったのだ。理由は簡単、異世界の生活に付いていけそうな気がしなかったし、何より異世界とか、非現実的過ぎて怖かったからだ。そう、俺は異世界への転生ではなく日本での生まれ変わり、人生のやり直しを願った。だがしかし、神は俺を裏切り異世界なるところへ転生させた。
ここからは少しこの世界についても交えて話すとしよう。
当たり前だが俺が転生したのは日本ではない。と言うか、この世界に日本とかアメリカとかインドとかの国と言う物はない。大陸的には前世と同じく分かれているが、この世界では全ての大陸をまとめて国と呼んでいる。大陸は【火の大陸】【氷の大陸】【木の大陸】などといった風に分かれており、全てで七つの大陸がある。因みに俺が産まれたのは【血の大陸】と呼ばれる大陸の【アルブール】と言う街だ。。名前は物騒だが、ただ単に戦闘に特化し、戦闘が好きな人種が多いだけで、特に恐ろしいところではない。
次に人種、これは大陸によっても変わってくる。俺が産まれた血の大陸には【猫族】【ウルフ族】【エルフ族】【魚人族】【小人族】【巨人族】【死神族】がいた。まぁ、ハッキリ言えば存在する人種の殆どかいるわけだが。当たり前だ、どんな人種もそれぞれの戦闘に最も適した体なのだから。まぁそれは置いておいて、その人種の中でもエルフ族、小人族、巨人族、死神族はまとめて【人型】と呼ばれており、名前の通り見た目が人間に近い、同じく猫族、ウルフ族、魚人族は【動物型】と呼ばれており、見た目は人より動物に近かったり半分動物だったりする。因みに俺は人型の死神族だ。死神族は他の人種よりも戦闘力が高く、同じく戦闘力が高い方にあるウルフ族にすら恐れられる事がある。特に、と言うか俺は、剣術、体術、魔法全ていける。チートだからな。
次は金、マネーだが、説明が面倒なので簡単に説明すれば、一の位は一円に対し銅貨一枚、二の位は十円に対し小銀貨一枚、百の位は百円に対し銀貨一枚、千の位は千円に対し小金貨一枚、一万の位は一万円に対し金貨一枚だ。個人的だが、案外考え方は日本と似ていると最初は思ったものだ。
次にスキルについて、剣術や体術、魔法は別に変わった事はないし、殆どの人はまず、剣術、体術、魔法とそれぞれ不得意が分かれるのだ、俺みたいな奴は珍しい。ただ剣術には魔法を組み合わせる事が在るから、普通は覚えた方が良いと思う。だから重要視すべきはスキル。これがないとどれを覚えたって辛いのではと思う。スキルは数えてしまえば切りがないので俺のスキルに限って説明する。俺のスキル名は【学業】と【暗殺】それと【神の加護】だ。学業は恐らく前世の名残だろう、スキルの内容は【学習】【予習】【復習】【ど忘れ】【凡ミス】がある、最初の三つは自分に、残り二つは相手に効果がある。学習は一度見た技を記憶し、レベルによっては技を会得出来る。予習は相手の技を予測できる。復習は覚えた技を短期間でレベルupすることが出来る。ど忘れは相手を混乱状態にする事が出来る。凡ミスは相手の技をを三回成功させないように出来る。
暗殺は死神族特有のスキルだ。内容は【抜き取り】【掃除】【毒】【影潜り】【魂食こんぐい】だ、抜き取りは相手を瞬殺出来る技、その代わり一日三回しか使えない。掃除は証拠隠滅みたいなものだ。毒は相手の傷跡に触れた時に使えば毒を盛れる。影潜りは自分の存在感を消して行動出来る。最後に魂食いは過去に殺した奴のスキル何かを一日五回までではあるが自由に使うことが出来る。
神の加護は俺が転生者だからだろうスキルで、【判決】【強制治癒】【治癒】【治癒力強化】【身代わり】【神の瞳】判決は相手の言動の真実と嘘を判別することが出来る。強制治癒は心臓さえ止まっていなければ腕が千切れていようと治せる、代わりに使えるのは一日に一回だ。治癒はそのまま、軽い怪我を治せる。治癒力強化は治癒の力を強める事が出来る。身代わりは自分の生命が危ないとき幻覚を見せて身代わりに出来る。神の瞳は相手のスキルやレベルを知る事が出来る。
取り敢えずスキルの説明は終わらせ、最初の話の観点に戻ろう。
そんなこんなで異世界に転生した俺は、今度こそコミュ力を身に付け結構、と言うかかなり楽しく人生を過ごしていた。そして十歳を迎えた頃、俺が産まれたアルブールでは、子供が十歳になると五~七年間の旅に出すらしい、俺は最低でも五年間は戻ってきては駄目だぞと言い渡され旅に出された。この旅では、家を出たらそこからは子供の自由で、犯罪を犯さない限りは働いても学校へ行っても本当に旅をしても良いとなっている。そこで俺は働くのは良いがたった五年、長くても七年しか働けないのだったら働くは除外。学校は、学校に通って学ぶ知識はもう付いているので勉強の意味などないと考え除外。その時点で、必然的に俺がやるのは旅だと決まった。旅では狩りをしたりギルドに入って狩りをしたりパーティーを組んで狩りをしたり…、つまりは魔獣の狩りをしてレベルupを目指すのだ。そして俺は今ある知識を最大発揮し、誰よりも強くなってやると意気込んで旅に出た。
まぁ結論を言えば最初から失敗続きだった。元々異世界の事などは十歳までに頭に無理やり詰め込んだようなものだし、だいたい旅の仕方なんて知らない。最初は本当に野宿が続いていた。余談だが、その地点での俺のレベルは50だ、十歳にしてレベル50はかなり高いだろう、かなり。
そんなある日、俺がまた狩りをしていた日の事、ここからは信獣がいないと通せませんとある街の門の前で止められた。そこで俺は仕方なく自分の信獣をつくる事に決め、早速さっそく朝から儀式の準備に取り掛かった。
因みに信獣とは、呼び出したんだ主人に仕え、時には共に戦ったりなどをしてくれる使い魔のようなもので、呼び方が違うだけだ。また、信獣を呼び出す方法は簡単。魔方陣を人が四人程入れるの大きさに描き、魔方陣の中に入って、「我に仕えしじゅうよ、今、我の血を喰らい我に忠誠を誓い、我の力となれ」と唱えた後自分の血を魔方陣の中央に一滴垂らす。信獣は呼び出す時点では自分のものではないから、獣となる。しかし俺はこれが、この儀式がめちゃくちゃ、もうめっちゃ、もう本当に嫌いだ。生まれ変わったら厨二病みたいな事をやらなければいけないとは…、一体誰が考えれる。あの時改めて転生などしたくなかったと思ったのは記憶に新しい。
話は逸れたが、そこで出てきた信獣がベルだ。実は信獣にも種類、と言うか種族がある。【悪魔系】【天使系】【けもの系】の三種族、ベルは悪魔系で、死神に悪魔とはなんともお似合いな事だと、この時はまるで他人事のように考えたものだ。悪魔は攻撃力を劇的に上げてくれ、天使は治癒力を劇的に上げてくれる、そして獣は武器の装備レベルを上げれる。戦闘好きの死神族の俺としても悪魔が信獣になったのは嬉しい限りだった。しかしそれがどうだろう、確かにベルは悪魔だし力も其処そこらの悪魔なんかより強いし俺の言う事も聞いてくれるが一つ欠点があった、俺に忠実ではないのだ、普通儀式で信獣の契約をした瞬間、出てきた獣は喰らった血の持ち主に忠誠を誓うため、忠実になるはずなのだ、それがベルには当てはまらない。「○○をしてくれ」とお願いすれば毎回やってくれはするが、ベルからの要求が俺の要求を上回っている、ような気がする。「腹が減った血を寄越せ」だの「もう今日は面倒くさいからお前一人で魔物倒せ」だの、この前なんて戦いの最中に「眠い」と一言言って信獣なら姿を眩ます事も出来るのにそのまま姿も眩まさずに寝るもんだから俺がベルの事も守りながら戦う羽目になった、しかもその後目を覚ましたと思ったら「おいヨル、お前戦うなら俺を安全な場所に連れてってからにしろよ」なんて言われる始末。何様ですか!?お前は俺の何なんだよ!!?あぁそうです俺の信獣でした!なら忠実になれよ!!そんな風に毎日文句のレパートリーが増えていっている。取り敢えず形はどうであれ、それが俺とベルの出会いだった。そんなこんなでギルドやパーティーに加わる事もなく俺はベルと共に旅を続け二年、俺は昨日の朝、王から手紙を貰った、と言っても獣系の獣が手紙を持ってきただが、内容は明日の朝9時に王宮に来てほしいとの事。何でも、王直々に俺に話があるらしい。それを昨日ベルに言ったらお前は一体何をしでかしたのかとめちゃくちゃ怒られた。しかし生憎、俺にはわざわざ王に呼び出されるまでの事をやった記憶はないので、正直好奇心半分不安半分と言ったところだ。だから知らないのだ、何故俺が王宮に呼ばれたのか、この時レベルMAXになっていた俺が周りからどう言われどう見られていたのかなど知る筈もなかった。

「おいヨル、いい加減早くしろ!流石にこれ以上遅刻は出来ないだろ!?」
「へいへい、ずいぶんと良い子なんですね、悪魔なのに」
数メートル前を歩いて…いや飛んでいたベルに呼ばれ俺は少しスピードを上げ、ベルの横に立つ、勿論嫌味を言うのも忘れずに。
さぁ、そろそろ本当に、ベルが言うように王宮へ急ごう、流石にこれ以上遅れれば周りからの白い目は避けられまい、それは面倒だから絶対に避けたい。
俺はまた少し、スピードを上げた。
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