7 / 11
デイブの嫉妬
「婚約……ですか!?」
「君が前と違い、デイブに冷たく接していたから、君にも記憶があるのだと気付いた。冷たくしていたということは、デイブと婚約する気はないのだろう?」
デイブ様を遠ざける事ばかり考えていたから、他の方と婚約するなんて考えてもみなかった。
でも、フィン様となら……
「私でよかったら……お願いします。」
フィンは満面の笑みを浮かべ、アイラを抱きしめた。
「ありがとう。全力で君を守ってみせる。」
フィンはアイラが自分を愛していない事は分かっていた。それでも、近くでアイラを守っていけることが、何より幸せだった。
そしてアイラは、少しづつフィンに惹かれ始めていた。
お父様には手紙を書くことにした。お父様は、いつも『お前のしたいようにしなさい』と言ってくれて、私の意思を尊重してくれるから、反対されることはないと思う。
まあ、娘がフィン様と婚約すると聞いて、反対する貴族は誰一人いないかも。
ウォーカー公爵はフィン様と私の婚約を喜んでくれた。女性に冷たいフィン様を見てきて、実は女性嫌いなのでは? と思っていたらしく、いきなり婚約したいと言い出し、かなりびっくりしているようだった。
侯爵家の婿養子になる事も、快く承諾してくれた。
お父様の返事が届くまでは、婚約の話は内緒にする事にしたけど、学園では一緒にいる事が多くなっていた。
「アイラ、これ。父からアイラに渡して欲しいと頼まれたんだ。」
机の上に置かれたのは、エメラルドのブローチ。
「これを私に?」
「それは母の形見なんだ。義姉には違う形見を渡したそうだ。」
「そんな大切な物を? 嬉しい……」
コリンズ侯爵からは、何も頂いたことはなかった。別に何かが欲しいわけじゃないけど、私の事をお金としか思っていなかったのだと思うと悲しくなる。
フィン様はお父様に似たのね。
「こんなに嬉しい贈り物を頂いたのは初めてです。大切にしますね。」
アイラはブローチをなくさないように大切にしまった。
その様子を、デイブはずっと見ていた。
頬を赤く染め、贈り物を受け取る姿はまるで恋する乙女。
「贈り物をしたら、俺にもあんな顔をしてくれるだろうか。」
アイラとフィンを見ながら、デイブがボソッとつぶやくと……
「もちろんです! デイブ様から贈り物を頂けるなら、私はどんな顔でも致しますわ!」
フランシスがそれに答えた。
デイブは心の中で、『お前ではない』と思った。
「いつの間にあんなに仲良くなったんだ……」
「フィン様とアイラの事ですか? 2、3日前から距離が近くなりましたね。あの2人は想いあってますね。」
デイブの事に関しては鈍感なのに、そのほかの人に対してはよく気がつくフランシス。
「想いあってる!? そんなわけないだろ!!」
デイブは焦った。
だが、その気持ちが何なのかは、自分でも分かっていなかった。
あなたにおすすめの小説
拗れた恋の行方
音爽(ネソウ)
恋愛
どうしてあの人はワザと絡んで意地悪をするの?
理解できない子爵令嬢のナリレットは幼少期から悩んでいた。
大切にしていた亡き祖母の髪飾りを隠され、ボロボロにされて……。
彼女は次第に恨むようになっていく。
隣に住む男爵家の次男グランはナリレットに焦がれていた。
しかし、素直になれないまま今日もナリレットに意地悪をするのだった。
自由を求める婚約者様は恋におちた
木蓮
恋愛
イザーク・ランゴ伯爵令息は親切な人だ。
元婚約者のヴィオラは自由を求めるイザークの望みが叶うように密かに願っている。
一方、決められた人生に不満を感じていたイザークは助けた令嬢と恋におち、自分が望む幸せを掴もうと動く。
調子に乗った傲慢な令息が鼻柱を折られて今ある幸せに気づいた、あるいは恋におちたお話。
【完結】ハーレム構成員とその婚約者
里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。
彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。
そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。
異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。
わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。
婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。
なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。
周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。
コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。
王太子殿下との思い出は、泡雪のように消えていく
木風
恋愛
王太子殿下の生誕を祝う夜会。
侯爵令嬢にとって、それは一生に一度の夢。
震える手で差し出された御手を取り、ほんの数分だけ踊った奇跡。
二度目に誘われたとき、心は淡い期待に揺れる。
けれど、その瞳は一度も自分を映さなかった。
殿下の視線の先にいるのは誰よりも美しい、公爵令嬢。
「ご一緒いただき感謝します。この後も楽しんで」
優しくも残酷なその言葉に、胸の奥で夢が泡雪のように消えていくのを感じた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」「エブリスタ」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎泡雪 / 木風 雪乃
親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
あなたは愛を誓えますか?
縁 遊
恋愛
婚約者と結婚する未来を疑ったことなんて今まで無かった。
だけど、結婚式当日まで私と会話しようとしない婚約者に神様の前で愛は誓えないと思ってしまったのです。
皆さんはこんな感じでも結婚されているんでしょうか?
でも、実は婚約者にも愛を囁けない理由があったのです。
これはすれ違い愛の物語です。
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。