〖完結〗もう私に関わらないでください!

藍川みいな

文字の大きさ
18 / 44

18、心強い味方


「ティアナ……嬢……?」

 彼は、意味が分からないという顔をしています。
  
 「私に触れないでください。……虫唾が走る」

 思わず口にしてしまったけど、後悔はしていません。彼は下を向いたまま黙ってしまいました。悲しそうというよりも、怒りに震えているように見えます。本当は殴りたいのに、我慢しているのでしょうか? ここで本性を現してくれたら楽なのですが……

 「あははっ! 嫌われてしまったようですね。だからといって、あなたを諦めたりはしません。今日は帰りますね。また来ます」 

 笑顔を浮かべて帰って行くエリック様。やっぱり、そう簡単ではありませんでした。
 
 「お嬢様……あの方は、どういうおつもりなのでしょうか? リオン王子様の噂を流したのに、あんなに平然と嘘をつくなんて……」

 ミランダがいてくれて、良かったです。2年経ったら実家に帰ってしまうけど、私にとって大切な存在だし、家族だと思っています。
 
 「絶対に信用してはダメだからね。ホージー侯爵は、悪魔よ」

 
 
 「ティアナ嬢?」

 名前を呼ばれて振り返ると、シェイド様が立っていました。

 「シェイド様、今日は稽古はなかったはずですが、どうされたのですか?」

 稽古以外の日に、いらっしゃるなんて珍しいです。

「実は、俺なりにリオン王子の噂について調べたんです。
 どちらか行かれるのですか? こんな所でお話する事ではないので、お邸にお邪魔したいのですが……日を改めます」

 シェイド様は本当にリオン王子を想っているのですね。エリック様とは大違いです。
 
 「街に出かける所だったのですが、急用ではないので大丈夫です。お入りください」

 シェイド様を応接室にお通しして、ミランダにお茶を頼みました。ソファーに座ると、シェイド様は真面目な表情で話し出しました。
 
 「どうやらリオン王子の噂を流したのは、ホージー侯爵の使用人のようなのです」

 シェイド様は意外と有能なのですね。初めて会った時の印象が強かったので、少し抜けているのかと思っていました。
 私は最初からエリック様だと分かっていたけど、普通ならリオン王子の側近であるエリック様を疑うことはないと思います。

 「シェイド様は、ホージー侯爵を疑っているのですか?」

 「疑っているのではありません。確信しています。ホージー侯爵は、リオン王子を裏切っている」

 誰もが、エリック様の偽りの姿に騙されていると思っていました。もしも、巻き戻る前にシェイド様と知り合っていたら、あんなことにはならなかったのかもしれません。

 「シェイド様は凄いですね。私も、ホージー侯爵を信用していません。あの方がどんな人間なのか、全て明らかにしたいと思っています。
 手伝っていただけませんか?」

 シェイド様の目を見つめていた私の目を、シェイド様が見つめ返して来ます。

 「愛する人の力になるのは、当然のことです。たとえこの想いが受け入れてもらえなくても、俺はティアナ嬢の1番の味方です!」

 真っ直ぐ私を見つめながら、シェイド様はそう言ってくださいました。とても心強い味方です。気持ちを利用するみたいで心苦しいですが、信用出来る人は限られています。

 「感謝いたします」

 今の人生を、あの男に絶対に奪わせたりしません!
 あの時は死を選んでしまったけれど、せっかくやり直すことが出来たのだから、全力で生きてみせます!
 
感想 62

あなたにおすすめの小説

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

後妻の条件を出したら……

しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。 格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。 だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。 しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。 妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。 その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。 家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。 ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。 耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド