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20、婚約者
この人は、何を言っているの……?
私達が婚約? そんな事、承諾した覚えはありません。
「あなたは、俺の婚約者です。やっと俺のモノに出来ます」
そう言って、私の頬に手を伸ばして来ました。私はその手を避け、エリック様を睨み付けました。
「仰っている意味が分かりません! 私はホージー侯爵と婚約した覚えなどありませんが?」
絶対にありえません! せっかくやり直す事が出来たのに、なぜまたあの地獄に戻らなければならないのですか!?
大丈夫……私は、承諾していません。エリック様は、何か勘違いをしているのかもしれませんね。
「ゴードン伯爵からは、婚約を認めていただきました。俺達を、祝福してくれていますよ」
どうしてお父様が? そんな事、あるわけありません。お父様は、私が自分で婚約者を選ぶ事を了承してくれているのですから。
「嘘をつくのは、やめてください。お父様が、そんな事を認めるはずがありません!」
「疑うなら、ご本人に聞いてみればいい。やっと手に入れたのだから、絶対に離さない」
エリック様の口調が変わりました……
本当に、私を手に入れたと思っているということでしょうか……?
私は何も言わずに、応接室から出て走り出し、お父様のいる書斎に着くと、勢いよくバンッとドアを開けました!
「……ティアナ……か」
お父様は、私と目を合わそうとしません。いったい、何があったというのですか!?
お父様のこの様子を見たら、何かあった事くらい分かります。いつもは私の顔を、真っ直ぐ見てくれるのに、今はオドオドしながらうつむいています。
「お父様、何があったのですか?」
こんなお父様を見たのは初めてです。エリック様との婚約の事よりも、お父様の事が心配になって来ました。
「すまない! お前が嫌だという事を分かっていたのに、ホージー侯爵との婚約を承諾してしまった……」
切羽詰まった様子のお父様を、責めることは出来そうにありません。きっと、エリック様が何かしたのでしょう……
「理由を聞かせてください」
「知りたい?」
お父様の様子に動揺して、後ろにエリック様がいた事に気づきませんでした……
「……そうですね。大嫌いなホージー侯爵と、なぜ婚約しなければならないのか、お聞かせください」
私が甘かったようです。この人は、私を手に入れる為ならどんな事でもすると分かっていたはずでした。どうしてここまで私に執着するのかは分かりませんが、彼の思い通りになんてさせません!
「あははっ! なぜ、こんなにも嫌われちゃったかな? 君の事、本当に愛しているんだけどな」
愛していたら、何をしても許されると思っているのですか?
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「ホージー侯爵の愛と、私の考える愛は全く違うもののようです。一方的に想いを押し付ける事を、愛とは呼ばない……私は、そのように思います」
あなたにとって私は、大好きなオモチャでしかありません。自分の思い通りにならないと暴力をふるう……それが愛だなんて、ふざけないでください!
「見解の相違だな。
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差し出させたの間違いですよね……
それに、そのミスも計画でしょうね。まさか自分の部下を、私を手に入れる為に殺したのでしょうか。
お父様が私を差し出すはずがありません。私の命か、婚約を選ばせたのでしょう。私に、お父様とお母様の命を奪うと脅した時のように……
まだ婚約です。全てを暴いて、この婚約を解消します!
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